「あなたはDXとはなにか、簡潔に説明できますか?」
経済産業省(以下:経産省)の提唱する「2025年の崖問題」も近づき、ますます各企業での取組が顕著になってきたDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)。しかし、多くの企業ではうまくいっていないのが実情です。
では、改めて冒頭の問いかけに、あなたは胸を張って「YES!」と答えられますか?
DX推進がうまくいかない理由のほとんどは、企業全体、中でも経営層が「本当の意味でDXを理解していない」からです。
上記のグラフは、2021年7月にアイブリッジ株式会社が公表した、「あなたは、DX(デジタルトランスフォーメーション)について知っていますか?」というアンケートの結果です。対象者は20~60代の会社員で男女合わせて1,000名が回答しました。
アンケートによれば、「理解している(7.6%)」と「やや理解している(15.3%)」を合わせても、22.9%の理解度しかありません。
しかも、これはあくまでも回答者の自己評価。この中で、真の意味でDXを理解している人は果たしてどれ位いるのでしょうか。
そこで今回は、あなたがDXについてどれだけ理解できているかをチェックするための、セルフチェックシートをご用意しました。
25個の項目を読んで、それぞれの問いに答えてみてください。その結果であなたのDX理解度が分かります。現時点での理解度を適切に把握することは、DX推進のために必要不可欠です。
DX理解度を客観的に認識することは、あなたやあなたの会社が今後DXを推進していくための、大きな指針となってくれるはずです。
貴社のDX推進への取り組み度合いが診断できる【DX度診断システム】では、自社のデジタル戦略、組織の柔軟性、データ活用能力、技術インフラなど、さまざまな側面にわたる38の項目に選択式で答えるだけで、現状の課題を浮き彫りにし、さらに診断結果として貴社がこれから取るべき具体的なアクションを提示します。 DXへの取り組みをさらに深めていきたいと考える企業様は、どうぞ気軽にお試しください。 |
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目次
DX理解度セルフチェック25項目
1.経産省の「DXレポート」を読んだことがある
経産省が2018年9月に公開した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~/以下:DXレポート」、及び2020年12月の「DXレポート2(中間とりまとめ/以下:DXレポート2」、2021年8月の「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)/以下:DXレポート2.1」は、日本企業のDX推進の現状を推し量る上で貴重な資料です。DX推進を目指すのであれば必読なので、チェックをつけられなかった方は是非ご一読ください。
2.経産省が提唱する「DXの定義」を理解している
2018年12月に経産省が公開した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0/以下:DX推進ガイドライン」は、同年9月に公開された「DXレポート」に基づき、日本企業のDX実現やITシステム構築を進める上でのポイントを書き記した文書です。
その中で、経産省はDXというものを次のように定義づけています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用:「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0/以下:DX推進ガイドライン」
3.経産省「2025年の崖」で警鐘を鳴らす1番の問題が分かる
DXレポートで警鐘を鳴らされた「2025年の崖」。
実際にDXを推進しようと試みても、なかなか思うようなビジネス改革へとつながっていかないのは「日本のインフラ整備や各企業がデジタル化の波に取り残され、古い技術のまま事業を続けている」ことに最大の問題があります。
こうした古いシステムや技術=レガシーシステムが、システムの老朽化や人材不足、サポートの終了など様々な要因で沸点を迎えると予想されている分岐点が2025年です。その影響で、それ以降は毎年12兆円もの経済損失が引き起こされると試算されており、DX推進が待ったなしな課題であることは明らかです。
4.経産省「DX推進ガイドライン」の2つの構成軸が分かる
DX推進ガイドラインによれば、DXは次の2つの構成軸に分けて考えられます。
- (1)DX推進のための経営のあり方、仕組み
- (2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
DX推進のためには、この2つの軸を意識し、その両者に取り組んでいく必要があります。
5.DX推進ガイドラインの「DX推進のための経営のあり方、仕組み」の5要素が分かる
DX推進ガイドラインにおいて、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」は次の5要素として解説されています。
- (1)経営戦略・ビジョンの提示
- (2)経営トップのコミットメント
- (3)DX推進のための体制整備
- (4)投資等の意思決定のあり方
- (5)DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力
6.DX推進に必要な3要素はなにか説明できる
- (1)経営トップのコミットメントと全社的な改革
経営トップのコミットメントと合わせ、現場各部署の協力がなければDX推進はままなりません。そのためには経営とDXのビジョンを明確にし、周知徹底して社内全体の意識改革が必要となります。 - (2)一貫性のあるシステム構築
2025年の崖でも取り沙汰されるレガシーシステムの大きな問題点は、場当たり的に拡張して複雑化・ブラックボックス化して構築されたシステムです。これを一新するためにはDX全体を俯瞰して一貫性をもったシステムを構築する必要があります。 - (3)DX人材の登用
実際に現場でDX推進にあたる人材は、他部署との兼任ではうまくいきません。しっかりとした知識とスキルをもった人材が、専任で業務にあたることが望まれます。そうしたITやデジタル技術に精通した人材の確保や育成は、DX推進には欠かせない要素です。
7.DXへのステップが分かる
DXは一朝一夕には成らず、既存業務のデジタル化など、身近な所から次のようなステップを踏んで進めるべきです。
- 【ステップ1】デジタイゼーション:アナログデータのデジタル化
- 【ステップ2】デジタライゼーション:ビジネスプロセスのデジタル化
- 【ステップ3】デジタルトランスフォーメーション(DX):新しいビジネス価値の創出
8.デジタイゼーションを説明できる
デジタイゼーション(Digitization)とは、アナログをデジタルに変換する作業を指します。
紙ベースで管理していた資料やリストをデータベース化したり、稟議書を印刷し捺印して回る作業をオンラインで済ませられるようにするなどの作業がデジタイゼーションです。
9.デジタライゼーションを説明できる
デジタイゼーションで生み出されたデータを利活用し、ビジネス及び業務全体を効率化する事をデジタライゼーション(Digitalization)といいます。
発注業務をクラウド利用により全社統一で使えるようにするなど、デジタルの力で業務プロセスを効率化する段階です。
10.攻めのDXとは主にどういうものを指すか説明できる
NTTデータ経営研究所によれば、「攻めのDX」とは「顧客を中心としてたステークホルダーや自社だけでなくエコシステムをも巻き込むテーマ」と定義されています。「攻めのDX」は大きく分けて以下の3つの取り組みのことを指します。
- (1)既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上
- (2)顧客接点の抜本的改革
- (3)ビジネスモデルの抜本的改革
11.守りのDXとは主にどういうものを指すか説明できる
同資料によると、「守りのDX」とは「自社でコントロール出来る改革的なテーマ」と定義されており、大別して、以下の3つの要素があります。
- (1)業務処理の効率化・省力化
- (2)業務プロセスの抜本的改革・再設計
- (3)経営データ可視化によるスピード経営・的確な意思決定
12.デジタルとITの違いが説明できる
- ITは機械をつなげるもの
- デジタルは人をつなげるもの
この区分けは台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン氏の言葉ですが、日本では混同されやすい2つの違いを的確に表現しています。
13.DXとIT化の違いをひとことで説明できる
IT化とは手段、DXは目的です。
14.DXのキーとなるデジタルトレンド4つが分かる
- クラウド
- モバイル
- ソーシャル
- ビッグデータ・アナリティクス
15.UIとはなにか?
UIとはユーザーインターフェイス(User Interface)の略称で、一般的にはユーザーとプロダクトをつなぐ接点を意味します。
16.UXとはなにか?
UXとはユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の略称で、プロダクトやサービスを通じて得られるすべてのユーザー体験を指します。
17.AIとはなにか?
AIとは人工知能(Artificial Intelligence)の略称。人間の知的ふるまいなどの一部を人工的に再現し、AI自体の経験やプログラミングの追加などで、人間が思考するような柔軟な応用性を持っています。
18.IoTとはなにか?
IoT(アイオーティー)とはInternet of Thingsの略で、通常「モノのインターネット」と訳されています。
文字情報や映像、音楽など、これまでインターネットでつながっていなかったあらゆるデータ(モノ)がインターネット経由でつながる事を指しています。
19.SaaSとはなにか?
SaaS(サース、またはサーズ)とはSoftware as a Saviceの略で、ベンダーが提供するクラウド上のソフトウェアをインターネット経由でユーザーが利用できるサービスの事を指します。
20.ブロックチェーンとはなにか?
ブロックチェーンは「インターネット上での取引の公明な記録を残すこと」を目的として開発された技術を指します。
その語源「ブロックチェーン(Blockchain)」とは、「暗号技術を使ってリンクされた『ブロック』と呼ばれるレコードの増大するリスト」の事。
この技術を応用・有効活用することでインターネット取引の利便性を高めつつ、透明性や安全性といった課題を一気に解決する可能性を秘めているとして、現在では様々な取引に活用されています。
21.RPAとはなにか?
RPA(アールピーエー)とはRobotic Process Automationの略で、人間がコンピュータ上で行っている定形作業を、ロボットで自動化する事をいいます。別名「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」。
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22.アジャイルとはなにか?
柔軟で効率的なシステム開発によって、迅速なシステム提供を目ざすというソフトウェア開発手法の総称です。アジャイル開発、アジャイル開発プロセスともいいます。(引用:日本大百科全書)
23.DX人材に求められる6つの役割が分かる
- (1)ビジネスプロデューサー:DXの取り組みをリード
- (2)ビジネスデザイナー:ビジネスモデルやプロセスを描き、DXの企画・立案・推進を担う
- (3)アーキテクト:DXやデジタルビジネスのシステム設計を行う
- (4)データサイエンティスト:IoTなどで集めたデータを解析する
- (5)UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザーに対するデザインを担当する
- (6)エンジニア:システムの実装やインフラ環境を構築・整備する
24.DX推進に役立つ助成金を知っている
DX推進に役立つ助成金は、主に次のようなものがあります。
25.ベンダー企業の役割を理解している
ベンダー(Vendor)とは本来売り手や販売者を表す言葉で、主にIT業界で製品やサービスを販売する会社の事です。
DX推進は出来る限り内製化して行う事が望ましいですが、中小企業などにおいてはそれも現実的ではない部分も多く、既存のITベンダー企業とタッグを組むことで、よりスピーディなDX化を推進できます。
しかし、その場合でもすべてをベンダー企業に丸投げするのではなく、自社のDX人材との連携を取りつつ、二人三脚での推進が求められます。
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まとめ
DX推進を円滑にすすめるためには、DXを真に理解していることが必要です。
ここでは、DX理解度をチェックするための25項目をご紹介しました。
概念的なものから、実際のツールまで様々な項目があったと思いますが、DXのリーダーシップを取っていくために最低限必要な知識です。
DX推進は経営層の理解が重要な鍵となってきますので、答えられない項目は、関連記事などを読み込んでしっかり理解出来るようにしてください。
これらの項目が理解できていれば、後は自社の経営ビジョンに照らし合わせて、猛然とDX化を推し進めていくだけです。