「これから先も厳しいビジネスの世界で戦い抜いていくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)を取り入れる事が大切なのは分かっている。」
「だけど、時間も人も足りなくてなかなか実施に踏み出せない」、若しくは「DX推進を始めてはみたけどうまく機能しない」といった中堅企業・中小企業は多いようです。
そこで今回は、中堅企業・中小企業のDX推進を阻む3つの要因を考えるとともに、それを乗り越えて、DX推進を効率化する3つの提案をご紹介します。
DX推進の壁を感じている中堅企業・中小企業の経営者や担当者の方は、ぜひとも最後までお付き合いください。
目次
企業のDX取り組みに対する意欲は上昇傾向
IT投資に関する動向調査を毎年行っているデル・テクノロジーズによると、中堅企業においてはここ1~2年で急速にDX化が進みつつあり、全社横断的なDXによる事業変革に取り組む企業のうち、51.7%の企業が「昨年12月から今年2月にかけて業績が回復傾向にある」とされています。
これまではDXの前段階であるデジタイゼーション、デジタライゼーションなど「部分的なデジタル運用による効率化」に過ぎなかった取り組みが、全社横断的な事業変革という真のDXへと進化したことによりこうした成果が表れているのは、今後の日本経済を占う上でも非常に頼もしいデータだと言えるでしょう。
しかしその一方で、まだまだ中堅企業・中小企業の多くではデータがアナログのまま活用されていないなど、DXへの入り口にも立てていないというのも事実です。
DX推進を阻む3つの要因
中堅企業・中小企業がDX推進を考えた場合、それを阻害する要素は大きく分けて次の3つです。
- DX予算の確保が難しい
- デジタル人材が足りない
- 業務負担が多すぎて時間が取れない
それぞれについてさらに詳しく解説します。
DX予算の確保が難しい
先のデル・テクノロジーズの調査でも、「7割強の企業がDX予算確保のためにコスト削減の必要性を感じている」というデータがあります。
DX投資には少なくない費用がかかるのは事実で、業績好調な企業ならばともかく、現在の閉塞感を打破したい中堅企業・中小企業にとっては、まずDX投資の予算確保が難しいというのが本音でしょう。
既存業務の最適化(守りのDX)と事業変革(攻めのDX)という両軸のDXへ、バランスよく投資する事は多くの企業にとって大きな壁となっているようです。
デジタル人材が足りない
2025年の崖問題に向けて経済産業省が「DXレポート」などで警鐘を鳴らし続けているのも作用して、現在は急ピッチで日本企業のDX化は進められています。
しかし、その一方でこれまでDX後進国の名に甘んじてきた日本では、圧倒的にデジタル人材が不足しています。
その傾向は新型コロナウイルスの蔓延でデジタル化の波が押し寄せてきたことにより急激に深刻化を増し、多くの企業が人材確保・育成に労力を取られているのが実情です。
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業務負担が多すぎて時間が取れない
不足するDX投資予算と人材をどうにか工面してDX推進部署を立ち上げたとしても、今度はそこへの負担が多すぎて時間に追われてしまい、なかなか前に進まないという企業も少なくありません。
その細かな理由としては次のようなモノが考えられます。
- 既存システムの運用に追われ、新しい業務に着手できない。
- 作業内容がそもそも多すぎる
- 「たかが」の作業に思いのほか時間がかかる
- 突発的なユーザー対応が大変
- 想定通りシステムが動いていない
- 社内のDXリテラシーが不足している
中堅企業・中小企業のDX推進効率化へ向けた3つの提案
DX推進を阻む要因をうまく取り除き、真なるDX推進へと邁進するためには作業の効率化を図ることが肝心です。
そのために必要な3つの改善策をご提案します。
必要な作業をリスト化・可視化する
数少ない人材でDXを効率化して進めるためには、徹底的に無駄な作業を省かなければなりません。
そのために必要な事は、現在やっている作業をリスト(システムリスト、サービスリスト)化する事です。
これは感覚値ではなく、しっかりと可視化したデータとして共有すべき問題で、時間が足りない理由を明らかにすれば無駄を省き、必要な部分にのみリソースを割いていくという事が可能になります。
社内全体でDX化のベクトルを合わせる
DX推進がうまくいかない企業の多くでは、経営者・担当部署・現場社員といった企業内のそれぞれの部署で、DX推進に対する理解のベクトルがずれているケースが見受けられます。
DX推進への理解度合いや向かう方向、熱量のベクトルが社内全体で揃っていないと、進む方向を見失い余計な手間と経費ばかりがかかるのです。
- 現場(担当部門)で起きている現状を経営層がリアルタイムで理解する
- 業務を可視化して、経営陣や他部門と担当部署がこまめなキャッチボールを行う
- 各部門の問題点を正確にリサーチし、的確な説明・提案を行う
これらはすべて一度で伝えられるものではなく、担当者は繰り返し説明しなければなりません。
この際に大切なのは、説明内容や主張がその都度変わらないよう、一貫性をもって伝えるということです。
人材を採用・育成する
DXを効率的に推進するためには、何より担当部署の人材には高いITスキルやデジタルリテラシーが求めらます。
とはいえ、そう都合良く社内にそうした人材が在籍している企業は少なく、高い報酬を支払い外部からIT人材を採用する必要があるでしょう。
もしくは少しでも見込みのある現存社員にリスキング(再開発・再教育)してもらい、ITスキルを身に着けさせるという手法も、最近ではトレンドとなりつつあります。
同時に経営者を含めた経営陣がDXに対しての正しい知識を身に着けている事、さらにいえばデジタルリテラシーを持っていることは大事なファクターです。
担当部署任せのDX推進は迷走しがちですので、経営者自身がリーダーシップを発揮してDX化を推進するためにも、まずは経営陣がITスキルを身に着けるということも必要となるでしょう。
しかしそうは言っても、人材の採用や育成は一朝一夕には成らず、各企業が最も頭を悩ませているのもこの点だと言って間違いありません。
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中小企業のDX推進こそベンダーをうまく使うべき
潤沢な予算とリソースを割いてDX推進をすべて内製化できる大企業ならともかく、多くの中堅企業・中小企業では何もかもが足らずDXの入り口にも立てないという現状では、やはり外部のベンダー企業をどう使うかがポイントです。
今年8月31日に経済産業省より発表された「DXレポート2.1」でも、これから中堅企業・中小企業が効率的にDXを推進するためには、企業(ユーザー企業)とベンダー企業がその境をなくし、デジタルケイパビリティ(デジタル化を推進するうえで求められる組織能力)を磨く必要があると述べられています。
その上で新しい価値を創出し、成長していく関係性を構築していくことが、既存企業がデジタル産業へと生まれ変わるための必要条件です。
これまでのようなベンダー企業に丸投げするだけの低位安定的な相互依存の関係ではなく、企業側がしっかりとしたデジタルリテラシーを持ち、DX推進という持続可能な目標を成功へ導くためにリードする体制を作り上げなければなりません。
そうすれば自ずと費用・時間・人材を効率よく運用でき、DX推進業務の本質に迫ることが可能なはずです。
自社とうまく足並みを揃え、二人三脚でDX化のプロジェクトを推進してくれるパートナー企業探し。
それこそが中堅企業・中小企業がもっとも効率よくDX推進を行う、最大のポイントだとは言えないでしょうか。
株式会社MUが二人三脚でDX推進をお手伝い
株式会社MUでは、常にDX推進も視野に入れた提案活動を実施させて頂いております。
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