中小企業がDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)を進めるにあたっては、優秀なDX人材の確保が至上命題です。
しかし、優秀なDX人材とは単にITスキルが高いというだけでは足りません。
多くの企業がDXに失敗する理由は、このポイントを理解していないからでもあります。
そこで今回は、DX人材に求められる5つのマインドセットをご紹介し、合わせて優秀な人材を確保するための経営トップの思考についても解説しました。
DXを成功へ導く人材確保に悩む経営者は、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
DX推進をはばむ深刻な人材不足
新型コロナウイルスの蔓延以降、日本企業はようやく重い腰をあげてデジタル産業化、つまりDX化へとシフトしました。
しかしすべての企業がDX化を成功へと導けているとはいい難く、様々な要因で成功への道を阻んでいます。
その最たる要因は優秀なDX人材の不足で、DXは内製化で進めるのがいいとは分かっていても、実際には人手が足りず外部のベンダー企業等に頼らざるを得ないのが実情です。
仮に社内にITスキルに長けた人材がいたとしても、その人材がそのままDX人材足り得るとも限りません。
DX人材には特有のマインドセットが求められ、ITスキルと同時にそれらを兼ね備えた人材の確保こそ、多くの企業が最重要事項で考えなければいけない問題なのです。
DX人材に求められる5つのマインドセット
DX人材と一口に言ってもいくつかの役割があり、それぞれに求められるスキルや適性も微妙に異なります。
しかし、どの役割のDX人材だとしても、求められるマインドセットは大きく次の5つに絞って考えることができます。
- 現状を変え新しいものを生み出す思考
- 諦めずやり抜く姿勢
- 発想の転換がきく柔軟性
- 自ら考え解決する実行力
- 周囲を巻き込むマネジメント力
このような素養を持った人材を確保・育成していくことこそ、DX成功のカギを握ると言っても過言ではありません。
1.現状を変え新しいものを生み出す思考力
DXは時に経営理念や企業体質そのものを変革し、既存の業務に捕われず新たなビジネスチャンスを創出するものです。
現状に甘んじず、常に課題意識を持って新しいものを生み出そうとする思考力こそ、本当の意味でDXをゴールへと導きます。
新しい知識やスキルの習得にも全力で挑む必要がり、そうした姿勢は新しい価値を創出するDXには外せないものです。
2.諦めずやり抜く姿勢
DXとは一朝一夕には成らず、多くの失敗と試行錯誤を繰り返して前へと進んでいくものです。
そもそも常にアジャイル開発で試用と検証を繰り返すのが、DXを成功に導く最も効率の良い方法で、そのためには少々の失敗にくじけていては始まりません。
失敗を恐れず貪欲に突き進む姿勢や、周囲の反対を跳ね返す意思の強さも、DX人材に求められる重要な資質です。
3.発想の転換がきく柔軟性
どんな企業にとっても大事業であるDX推進は、企業内外に大きな変革をもたらします。
既存のシステムや組織構造に捉われずDXを推し進めていくためには、強固な意思に基づく実行力も必要ですが、反面、時には発想を転換させる柔軟性も必要です。
意固地に自身の信じる道を突き進むだけでなく、必要があれば周囲の意見も取り入れたり、常識を疑い固定観念に捉われない考え方ができる人物こそ、DX人材としての適正があります。
4.自ら考え解決する実行力
DXの推進は部署を超えた企業全体のリーダーシップを発揮する必要があります。
そのため、担当者にはそれ相応の権限が与えられる分、プロジェクトを強力に推し進める実行力が必要です。
それは上司の指示を待っていて進むものではありません。
時に上司や経営陣に意見するほどの意思を持ち、自身で考え生じた問題を解決していこうという意思と実行力は、DX人材には欠かせない素養です。
5.周囲を巻き込むマネジメント力
DXの成功は組織の縦割り構造下にあっては絶対に成功しません。
部署や部門間を横断した権限を持ち、時に経営陣まで巻き込んだアクションを起こさなければならないDXでは、周囲を巻き込んで1つの目標へと向かう推進力を生み出す人材が求められます。
社内全体だけでなく、外部のステークホルダー達へも影響力を持ち、彼らをまとめ上げ調整するマネジメント能力は、DX人材に求められる必須の能力です。
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