DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)に取り組んだはいいが、どうにも思うように進まない。
中小企業の多くが抱えるこの問題は、成功への道筋が見えていないという事に原因があります。
DXを成功へ導くためにはリスクを取ったチャレンジ精神や、スピーディな意思決定等いくつかの要因が必要ですが、その根幹を支えているのはすべて「ヒト」です。
そこで今回は、DXを成功へ導くDX人材に必要な5つの役割をご紹介すると同時に、デジタル産業へと生まれ変わる3つの鍵について解説します。
目次
DXを成功へ導く5つの役割
IT分野において世界有数のリサーチ&アドバイザリ企業ガートナー。その日本支社ガートナージャパンは、先ごろDX推進に必要となる5つの役割を発表しました。
同社の足立祐子氏は「企業はDX成功の鍵を握る人材の役割を理解し、自社に必要な人材の確保に取り組むべきだ」と語り、その重要性を強調します。
日本企業の多くは見切り発車でDXを推し進める傾向が強く、どのような人材が必要かが分かっておらず、それゆえ採用や育成もうまく行かないのです。
これでは、当然優秀なDX人材を用意することなど出来ず、DXを成功へ導くなど夢幻の如くとなりかねません。
まずはDXを成功へ導く人材の5つの役割を理解しておいてください。
>>参考:ガートナージャパン/Gartner、デジタル・トランスフォーメーションの推進に必要な5つの役割を発表(2021.8.18)
ビジネスアーキテクト
経営戦略上のDXによるゴールを定義し、新たなビジネスモデルの考案やDXに関する企画立案の役割を担います。
経営層や社内外の意思決定を持つステークホルダーとのビジネス面での折衝役でもあり、そのコミュニケーショに責任を持つビジネス系のプロデュース役です。
テクノロジーアーキテクト
ビジネスゴールの達成に向けて、最適なデジタルテクノロジーの特定やテクノロジーの適用によるシステム面の分析・予測などを担当します。
経営層や社内外のエコシステム・パートナーに対する技術面のコミュニケーションに責任を持つテクノロジー系のプロデューサーです。
テクノロジーアーキテクトとビジネスアーキテクトは混同される事も多いですが、求められる知識やスキルは大きく異なるため、この2つは別々に考える必要があります。
ガートナージャパンの足立氏によれば、本来は全従業員がビジネス系プロデューサーの意識を持つことが理想的で、それが企業としてのDX推進の成功につながる意識改革なのです。
エンジニア
テクノロジストの別名通り、現場で実際にテクノロジーを活用する役割を担います。
自動化、データサイエンス、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの進行領域に注目しがちですが、確実にDXを推進するためには通信ネットワークやIT基盤、セキュリティ、クラウドなどの既存領域での役割も重要です。
デザイナー
ソリューション、サービス、アプリケーションなどUX(ユーザー・エクスペリエンス)をデザインし、UX面でのコミュニケーションや、UX及びデザインに関する社内知識の普及に向けた教育も担います。
チェンジリーダー
デジタルテクノロジーの導入に伴う働き方(業務、意識等)のシフト主導、変革の目的やゴールの整理、変革のコミュニケーション計画の作成などを担当します。
関係者全員を巻き込んだ意識と行動変容に向けた施策の計画・展開を担い、ポジティブにプロジェクト推進をリードする役割です。
こうした役割を立てることは、社内のDXをスケールアウトするためには重要なポイントとなり、DX推進部署や経営企画部署などを中心に、社内全体に複数人配置することが望ましいとされます。
また、この役割は必ず社内のメンバーで担う必要があり、ベンダー任せにできない現場でのリーダー役です。