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経理のDX推進を成功させる秘訣
「そもそも論」がわかっていないから、DXが推進できない。石井氏が指摘する通り、この課題は多くの日本企業のDX推進を阻む要因になっています。
そうした課題を乗り越えるために、「なぜDXが必要なのか」を経営者を含め、全社的に理解を深めるとが重要だということは、当DXporltal®でもこれまで繰り返し発信して来た通りです。
この点も踏まえて、多くのクライアントを現場で支援してきた同法人の考える「経理のDX推進を成功させる秘訣」とは、いったい何なのでしょうか?
(平氏)
DXを成功させるために重要なことは、まず「無理をしない」ことです。
経営者の中には、DXというと「大きな改善・改革」が必要と考えている方も大勢いらっしゃいますが、それは厳密に言えば間違いです。
DXの価値に気づき、DXを推進させようとトップダウンのリーダーシップを発揮することは重要な成功要素ですが、あまりにも急進的な改革を行うのは、時として良い結果を産まないこともあると理解すべきでしょう。
強引なDX推進は反発を受けてしまうだけで、良い方向には進みません。
まずは目に見える小さな改善を感じてもらい、DXの必要性を理解することが、大切な小さな一歩です。
その上で、DXという大きな「ビジョン」を共有することが協力者を増やすことに繋がり、やがては大きな成功へと繋がっていくと思います。
たとえば、経費精算から改善してみると良いかもしれません。
経費精算をするためにこれまでは毎回紙の経費精算書に記入して、経理に提出する必要があったでしょう。
しかし、デジタルを活用すればスマートフォンでレシートや領収書を写真撮影して、経費精算システムとリンクするだけで時間と場所を選ばずに手軽に処理ができます。
こうした、紙書類を排除して社員自らがオンラインで書類を提出してくれるシステムを導入すれば、それはそのまま電子帳簿保存法に対応できることにもなりますので、経理業務の大幅な効率化に繋がっていくでしょう。
ましてこれは、経理担当者にとって効率的というだけでなく、他部門・他部署の社員にとっても利便性を感じられる施策なはずです。
経理のDXをうまく進める上では、自部署の効率化だけでなく、まず相手(他部署など)にとっての利益を提示してみせることは、DXを成功させるためのもっとも有効的な対処法です。
このスマートフォンによる経費精算システム導入のように、一度でも利便性を経験してもらえば、DXの効果を理解してくれるようになり、次に行うDXの取り組みも進めやすくなるはずです。
一方で悪い例は、一気に何もかも変えようとしすぎてしまうことですね。
あまりにも「大きな絵」を描きすぎると現場も混乱してしまい、収拾がつかなくなってしまいます。
もちろん、場合によってはトップダウンで強制的に変えてしまうことが必要な局面もありますが、その場合でも変える意味や意義をしっかり伝えて、出来る限り相手に納得してもらうことが重要です。
まとめ
2023年の税制改正により、電子帳簿保存法の要件が緩和され、より経理のDXを推進しやすい環境は整ってきましたが、まだまだ課題は多く残っています。
そんな中でDXを推進するためには、平氏が自身の経験をもとに語った通り、現場に寄り添い、相手目線の立場になって小さな成功体験を積むことが重要です。
そのためには経理部門自体が作業だけではなく、相手に協力してもらえるようなコミュニケーション、ひいては人間力を高める必要があります。
それこそが、小林氏の「知恵と経験の力」という発言の主旨であり、これを全ての経理スタッフが身につけることで、経理部門を単なるバックオフィスではなく、より積極的に経営参画できる「攻めのDX」を推進する先進部門へと変革させる事ができるのです。
では、より具体的に経理DXに求められる「知恵と経験」とはなにか。そして、これからの時代において経理はどうあるべきなのか。
経理DXの先にある未来について、次回はさらに迫っていきましょう。
>>後編へ続く
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