目次
UI/UXを意識したECサイト構築のポイント
では、実際にUIとUXを意識したECサイトを構築するために、どのようなポイントに留意すれば良いのでしょうか。
それは、次の3点に集約されます。
- ユーザー目線を意識する
- ゴールを明確にする
- ユーザーテストを繰り返す
それぞれについて詳しく解説します。
ユーザー目線を意識する
UIにしてもUXにしても、その根底にあるのは「ユーザーファースト」の考え方です。
そのため、UIとUXを意識したECサイトを構築するには、まず何を差し置いても「ユーザー目線を意識する」ということが重要です。
ただし、ユーザー目線を意識する際の前提として「どのようなユーザー層をECサイトのターゲットにするか」を決定しておく必要性があります。
その上で、ECサイトはターゲットとなるユーザーにとって、快適に使用できるサイトかどうかを考えていかなければなりません。
ユーザー目線を意識したECサイトを構築するためには、具体的に次のようなポイントを抑えているかを考えると良いでしょう。
ユーザーの行動を促せるかを考える
ECサイトでは、サイトの目的に沿ったユーザーの行動を促すことが重要です。
例えば、ECサイト内で、ある商品を「カートに入れる」や「購入する」というボタンを目立つ位置に配置することで、商品を目にしたユーザーが買い物をしやすくなるでしょう。
また、セールやキャンペーンを実施している場合は、わかりやすく情報を表示することで、ユーザーが割引や特典を利用するためにアクションを起こしやすくなるはずです。
このように、次にユーザーにとってほしい行動をわかりやすく提示することで、ユーザーに特定の行動を促しやすくなります。
この部分の意識が十分でないと、せっかく閲覧してもらっても購入に結びつかないばかりか、「ほしい商品は見つかったのに買い方がわからない」「キャンペーン情報を知らずに割引を利用できなかった」など悪いUXにも繋がってしまうのです。
シンプルで分かりやすいレイアウトにする
ECサイトのレイアウトは、出来る限りシンプルでわかりやすいものでなければなりません。
ページが複雑すぎると、ユーザーはどこをクリックすればいいかわからず、途中で離脱してしまう可能性が高くなります。
詰め込みすぎずシンプルなレイアウトにすることに加えて、ヘッダーやフッターにメニューを配置して、カテゴリーや商品情報をわかりやすくまとめるなど、前述の「ユーザー目線に立った施策」の一環としても重要です。
視覚的な要素を活用する
ECサイトでは、商品画像だけでなく、色、フォント、アイコンなどの視覚的な要素を工夫することで、ユーザーの興味を引くことができます。
ユーザーにより詳しい商品の情報を届けるという観点からみると、商品画像は高品質なものを複数枚掲載することが有効でしょう。
「実際に商品を見ることができない」というECサイトの弱点を補い、ユーザーに安心して買い物をできる環境を整えることは、UXの観点からも重要です。
また、色やフォントの使い方については、CI(コーポレートアイデンティティ/企業の独自性や特色)を含めたブランドイメージとの統一感も重要です。
ECサイトのイメージカラーやフォントを統一することで、ブランドイメージを強化し、企業の信頼感を向上させることにも繋がります。
ページの読み込み速度を意識する
サイトデザインと同じくらい重要なのは、ページの読み込み速度です。
ECサイトでは、ページの読み込みが遅いとすぐにユーザーがページを見ることをやめてしまい、「離脱率」が高くなってしまいます。これは、Googleが公式に発表しているSEOの条件としても重要です。
どれだけ優れたデザインのサイトを構築しても、動作がスムーズでなければUXは悪化してしまいます。
ページの読み込み速度を意識したサイト設計を行い、画像のファイル容量を最適化したり、情報を取捨選択することで、ページの読み込み速度を向上させることも重要です。
モバイルフレンドリーにする
現代では、スマートフォンからECサイトにアクセスするユーザーが増えています。
そのため、サイトを構築する場合には、それを踏まえたモバイルフレンドリーなデザインをすることも重要です。
例えば、モバイル端末の画面サイズに合わせて自動的にレイアウトを最適化する「レスポンシブデザイン」の採用は、SEOの観点からも極めて重要な施策でしょう。
画面サイズの小さいスマートフォンを想定してレイアウトをデザインし、小さな画面でも快適な操作性を提供することで、モバイルユーザーにも快適な買い物体験を提供することができるでしょう。
ゴールを明確にする
ECサイトを構築するにあたっては、サイト利用を通じて「どのような状態になってもらいたいか」というゴールを明確にする必要があります。
先程のメルカリの事例なら「個人がスマホアプリで簡単にフリーマーケットを開けるようにする」ことがゴールです。
「どのようなユーザー層」に「どのようになってもらいたい」かをしっかりと見定めることができれば、スムーズにECサイトの構築作業に移ることができるでしょう。
逆に、商品販売とメンバー登録、購入者のアフターフォローなど、複数のゴールを同時に実現しようすると、求める成果は得られません。
もし同じページ内に、商品案内とメンバー登録フォーム、アフターサービスのチャット機能が混在していたとしたら、ユーザーは混乱するだけです。
もしも複数のゴールを設定したいのであれば、それぞれのゴールごとにページを分けるなど、使いやすさとの両立を意識したサイト設計が求められます。
万が一、明確なゴールが定まっていない場合は、まずは必ずゴール設定から始めることが大切です。
ユーザーテストを繰り返す
実際にECサイトを構築していくと、「設計通りに操作ができない」というエラーや、「デザインを修正したほうが良い」と感じる部分が出てくるかもしれません。
DXにおいては、細かく検証を何度も行いながら、小さなPDCAを回して開発を行う事が求められます。
そのためにも、まずはPoC(Proof Of Concept:概念実証)の一環としてプロトタイプのサービスを作成して、ユーザーテストを行う必要があります。
実際の使用感をテストしてもらうことで、UI/UXの両面から改善点がないかを検証しながら進めていくことが必要なのです。
ユーザーテストを実施することで、当初は想定していなかった課題が判明するということもあります。
このユーザーテストを繰り返し行うことで、よりユーザーにとって使いやすくわかりやすいECサイトに近づくことが可能となるでしょう。
まとめ~DXとしてのECサイト~
本記事では、より良いECサイト構築のために外せない概念であるUIとUXに関して解説いたしました。
DXを成功へ導くためには、「ユーザーにどのような価値を提供できるか」という考え方が必須です。
この考え方を踏まえてより良いECサイトを構築するためには、「UIの改善」でサイトの機能性に注目すること、UIを含めた「UXの改善」ではターゲットユーザーを理解することがポイントになります。
また、真のユーザビリティ向上のためには、ターゲットを明確にし、構築するECサイトを通じてユーザーに「どのような状態になってもらいたいか」というゴール設定を行わなければなりません。
こうした考え方を踏まえて、ECサイトを捉えると、UIやUXを意識することは単に「モノやサービスが売れるECサイトとなる」というためだけのものではないのです。
ユーザビリティの高いECサイトを構築することは、「商品を簡単に手に入れることができた」、「説明書不要でサービスを利用できた」などユーザー満足度の向上にも繋がるでしょう。
DX推進の一環としてECサイトを構築し、新しいビジネスを生み出したいと考える企業様は、ぜひとも本記事を参考にしながら、ユーザビリティの高いECサイト構築を行ってみてください。