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TISの新たな挑戦
その中で重要なファンクションとして、B2B決済という考えが生まれ、世の中がようやくその必要性に気づき始めているというのが今ということでしょうか。
鈴木氏
「そうですね。だから我々も決済のDXだけではなくて、小売業界をDXするサービスとして、ユニファイドコマース(統合された商取引を実現するための概念)という概念を推進しています。
ユニファイドコマースはCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)の向上を目指した概念であり、そこで目指しているのは、『オフラインでもオンラインでも、顧客1人ひとりを知りつくしたおもてなし』です。
オフラインとオンラインの差別化ではなく、ユーザーに購買チャネルを意識せずに買い物をしていただく概念ですね。
ユーザーからするとECも店舗の1つしとしてしか見ていないので、店舗側がそこを区別して考えてしまっては、ニーズに応えていけないと考えています。」
ユニクロはネットでオーダーした商品をリアル店舗で受け取れるサービスを行っていますし、Amazonはコンビニに宅配ロッカーを設置しています。このように、オフラインとオンラインの区別はどんどんなくなってきていますね。
鈴木氏
「決済のDXと一口にいっても、そういった今までの話すべてを包括した内容でなければならないと思います。決済だけ単独のDXというのは成立しないと思っています。」
ただ単に「決済DX」という話ではなく、決済にDXがくっついたことでビジネスモデル全体、あるいは社会のモデル全体を変えていく取り組みを今なされているということでしょうか。
鈴木氏
「そうしていかないと、なかなか『貴社の課題を解決します』とは言えないんじゃないかと思います。飲食店には飲食店業界の課題があり、小売店には小売業界の課題があります。また、企業ごとに個別の課題もあるでしょうから、それぞれ個々に対応していく必要があると思っています。
今後はよりフロントに出て行って、お客さまの声を聞いてサービスを拡大していきたいという思いもありますので、色んなお客さまとの対話を通じて、たくさんの情報を集めていって、今後に活かしていきたいですね。」
お話できる範囲で、具体的にご紹介いただけるソリューションはありますか?
鈴木氏
「例えば、三井住友カード様と、『自分たちのブランドで決済サービスを始められます』というサービスの裏方をやらせていただいています。いわゆる自治体Payとか、◯◯Payみたいなものを、自社アプリでやりたい場合のお手伝いですね。これは2023年8月にプレスリリースを出しました。
自分たちで決済を完結させたいけど、自分たちだけではシステムを作れないというニーズに応えています。多くの企業が自分たちのお得意様を経済圏で囲って、より強固なファンを獲得したいというような動きは出てきていると思うのですが、その象徴として決済システムを作りたいという動きがあると感じています。」
昔でいえば企業グループの中で、商社が重要な役割を担っていたところが、世の中が電子化されシステム化された事により、決済システムの提供会社がビジネスの中枢に絡んでくる。これが電子化の世界ですかね。
かつては財閥の流れがあって、それが今はオンラインに代わっています。未だに3大大手は強いですけど、楽天しかり新しい経済圏が生まれてきています。その中でTISの立ち位置というのは、今後益々重要になってくるんだろうなと、期待も込めて思います。
鈴木氏
「そういうふうに見ていただけるように頑張りたいですね。
あとTISは「PAYCIERGE(ペイシェルジュ) 」を展開しています。これはさまざまな決済の仕組みを提供するサービスを総称したトータルブランド名です。クレジット、国際プリペイドカード発行からコード決済、給与デジタルマネーなど幅広いサービスを提供しています。
最近ではこのPAYCIERGEのブランドサイトで私が各企業の先駆者をゲストに迎え、インタビューしたものを記事化していく活動も始めています。タイトルも『シリーズ化!未来への橋渡し―ビジネスを変える!進化し続けるDXと決済の最前線』です。本日のテーマにも繋がるところがあるのかなと思いました。」
まとめ~デジタル化=DXではない
決済システムを中心に、さまざまな企業の裏方として活躍してきたTIS株式会社。今では、よりビジネスのフロントに出て、培った技術とノウハウで社会基盤を支えていこうという取り組みを始めています。
今回お話を伺った鈴木氏は、その中でも社内外のパイプ役としてさまざまな業務を担い、多くの知見を蓄えていらっしゃる方でした。
そんな鈴木氏に、最後に『これからDXに取り組む企業に何かメッセージを』とお願いしたところ、返ってきたのは『デジタル化=DXではありません。まずは目的を持って、人材をうまく活かしていくことが大事です』という答えでした。
そのために必要なのは、やはりトップのリーダーシップです。テクノロジーはあくまでもツールでしかなく、それを活かすのは『人』なのです。
我々が普段目にしている決済システムの裏に見え隠れするTISの技術も、それ単体で成立するものではなく、社会やビジネスの流れを捉えて、人に役立つシステムを開発しているからこそ、これだけの実績を積み重ねることができているのでしょう。
『ここにもいたのかTISインテックグループ』のコピー通り、あらゆる場面で重要な役割を果たすTISの動きは、DXportal®編集部としても今後も注目してまいります。
TIS株式会社
ビジネスを支える基幹システムから、高い競争力を生むアプリケーション、さらにはシステムの基盤となるプラットフォームまで幅広く提供。お客さまの経営課題を把握し、潜在的なニーズを先取りしたITサービスを展開しています。
- 創業:1971年4月28日
- 創立:2008年4月1日
- 本社:東京都新宿区西新宿8丁目17番1号