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顧客ニーズとシステムの乖離
最近では、かなりご高齢の方でもスマホが使える世の中が訪れていますよね。コンビニなどで『お財布が無くても買い物ができるのは便利だね』と言われるようになってきており、顧客のニーズはキャッシュレス決済に向かっているように思われます。
しかし、個人経営の飲食店などの方は導入に消極的な場合もあります。複数の決済システムと契約しなければならず、それぞれに縛りが発生したり手数料がかかったりして、収入が減ってしまうという声を聞きます。
消費者は求めているのに、事業者側は導入しにくいというジレンマがあると思います。もっとシステム面で解決できると良いのではと思うのですがいかがでしょう。
鈴木氏
「そこがまさにTISが考えている、単なる決済システムのDXではなく、決済×◯◯というシステムが生きてくるのではないかと思っています。
例えば、決済×予約システムであったり、そこに伴って(例えばコース料理などの予約の場合)来店前に決済を済ませるシステムであったりと、一気通貫したプラットフォームの実現は、決済システムの拡充の必須条件ではないかと思います。
すでに旅行関連のポータルサイトで採用されているような、事前決済が行えれば飲食店などにもメリットがあるはずです。」
キャッシュフロー+ビジネスモデル、いわゆるビジネスフローの効率化ができれば、共にWin-Winになるという感覚でしょうか。
実際に飲食店でも、予約をしたのに連絡もせず来店しないなど、顧客側のモラルも問題になっていますね。
鈴木氏
「そうですね。旅行サイトなどでも『いますぐ即時決済』を選べば、相場よりものすごく安い価格で予約ができることが多いです。これまでであれば、ネットで予約を受け付けても、実際に決済がされるのは宿泊当日というのが普通でした。つまり、予約を受けて枠を押さえた段階では、実売上は立たなかったのですが、今は予約の段階で売上まで立てる施策を取っていますよね。
早期予約はめちゃくちゃ安い。その代わり返金もしません、というようなシステムになっているわけです。事業者にも、そういったニーズはあると思っています。飛行機の早割りなども同じ理屈ですね。」
逆に言うと、日本のビジネス文化はその流れに追いついていないのでしょうか?
鈴木氏
「そうですね。その背景には、文化的側面があるかもしれませんね。飲食店などの場合は、まだ食べてもいない料理にお金を前払いするのは抵抗がある、という顧客の意識はあるのではないでしょうか。」
海外のビジネスパートナーと話をすると、しきりに『なぜ日本は1ヶ月まとめて請求をする仕組みがあるんだ』、『なぜわざわざ締め日なんてものを作るんだ。1件1件決済すればいいじゃないか』と言うんですよ。
『日本には長年掛け売りという文化があるんだ』と説明するのですが、どうも理解して貰えません。
鈴木氏
「そういうことはあるでしょうね。企業間の支払いにクレジットカードが使えれば、その都度支払いを行えばよく、月末に経理部の仕事が集中してしまうというような状況も緩和されるでしょう。あるいは、タイミングによって支払いにあてるお金が足りないといったようなキャッシュフローの問題も解決されるかもしれませんね。」
B2B決済が決済DXのカギ
そのあたりをまとめて解決しないと、なかなか決済のDXが浸透したり、キャッシュレス決済が40%を超えていったりするのは難しいと思われますか?
鈴木氏
「消費者が行う決済もそうですが、これから伸びるであろうと考えられているのがB2B決済。いわゆる法人決済のDXだと思います。そこに今、いろんなベンチャーが立ち上がってきています。
当然、TISとしても強みとしているプロセッシングサービスの領域を拡大し、BtoB領域に力を入れていきます。
現金で支払ってきたものを、簡単に発行できる法人カードを従業員に渡して、企業間のお金の流れに現金を使わないように変えていこう、というようなB2B決済も進行しています。
これがうまく既存のシステムに組み合わされていけば、キャッシュフローのようなものも改善されていくのではないかと。個人が利用する◯◯PayのようなB2C決済とB2B決済の両方がDXされていけば、先ほどの『これは文化的に……』というようなものも、もしかしたら改善されていく可能性があるのではと想像しています。」
確かに個人レベルの◯◯Payの利用はかなり広がっていますが、法人対法人の決済は、まだまだ振込で行われていますよね。オンラインを使っているとはいっても、それはあくまでオンラインで振り込みしているだけで、決済方法そのものがプラットフォーム化されているわけではないですものね。
このあたり、ベンチャー主導ではなく、国主導で進めることで、もっと広がっていくとお考えですか?
鈴木氏
「例えばインボイス制度対応のために、今まで手作業だった経理や財務にシステムを初めて検討するという企業は多いと聞いています。
ただ、インボイスにしても、どうしても日本の場合ロードマップがはっきり見えないため、利用する側が戸惑ってしまうというのがあるのではないかと思います。
日本のキャッシュレス決済の推進にしても、韓国の『代わりに減税するよ』というような動きというか、導入を義務付ける一方で『こんないいこともあるよ』みたいなことがあれば、そこまでの抵抗感はないかと思うのですが。」
ただ、ベンチャー主導でもなんでもより良い世界を目指して個々に対応していくというのが現実問題になってくるかとは思います。
そんな中で、TISとしてはどちらかというと今後は少しB2Bの方に力を入れていきたいというところでしょうか。
鈴木氏
「『B2Bも』というところですね。当社は元々クレジットカード、ブランドデビットカード、そしてこれらに関連するサービス提供において強みがありますので、親和性が高いと認識しています。
システムの提供だけではなく、BtoBをビジネスモデルとした新規ビジネスのコンセプト検討から事業計画書策定までをサポートするサービスも始めています。
また、今後はB2Bの中でも、よりエンドユーザーにも近い部分のシステムも担当していきたいと考えています。」
>>後編へ続く
TIS株式会社
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