街中の交通インフラを支える旅客運送業界。中でも「タクシー業界は旅客バスと比較してDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)が積極的に推進されている」と考えられています。
>>DXportal®/【旅客バスのDX事例】苦境に打ち勝て!業界活性化のヒント2事例
とはいえタクシー業界もバス業界と同様に、運転手の高齢化やコロナショックによる利用者減など多くの問題を抱えており、さらにDXを加速させる必要があることもまた事実です。
そこで、本記事ではタクシー業界の抱える問題を再確認した上で、それらを解決できる可能性のある3つのサービスを紹介します。
タクシー業界の先進的なDX事例から、DX推進に未対応のタクシー業者はもちろん、他業種の方も多くのことを学べると思われますので、是非最後までご覧ください。
目次
タクシー業界の問題点
現在のタクシー業界が抱える最重要課題は以下の2つです。
- ドライバーの高齢化による人材不足
- コロナショックでタクシー利用者が減少したことによる経営難
後者は感染症という予測不可能な出来事に起因するものですが、前者については2000年代には既に問題が指摘されていました。それにもかかわらず、業界全体として解決策を見いだせず、現在では更に深刻な問題になっています。
ドライバーの高齢化による人材不足
2000年におけるタクシー運転手の平均年齢は52.1歳でしたが、2015年には59.5歳に達しており、15年で7.4歳も上昇しています。全国的に見れば、現状で平均年齢が60歳を超える地域も少なくありません。
東京都では2017年以降、大手企業による若年ドライバーの積極採用などにより高齢化に歯止めがかかり、若干の若返りが進んでいたものの、2020年度には再び上昇に転じています。(参考:日刊自動車新聞電子版2021.12.27/東京都内の法人タクシー運転手、平均年齢が5年ぶり上昇 2020年度は58.1歳に)
積極的に若返りを図ってきた東京都においても平均年齢は58.1歳となっており、全業種の平均年齢41.8歳(2022年時点)より16歳以上も高く、タクシー運転手の高齢化は深刻な問題です。
タクシー業界の平均年齢が高いのは、多くのタクシー会社が65歳定年制以降も働ける体制を取っていることと、それゆえに他業種から定年後の転職者が多いことに起因しています。
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が発行する「タクシー会社就職支援」のレジュメには、「現役タクシードライバーの約半数が65歳以上」という記載があることからも、65歳以上のドライバーが人手不足のタクシー業界を支えていることは明らかです。
少子高齢化社会を象徴するようなタクシー業界従業員の年齢構成は、近い将来、高齢のドライバーが一気に退職していく可能性があることを示唆しており、今後さらに深刻なドライバー不足が引き起こされることは間違いありません。
コロナショックでタクシー利用者が減少したことによる経営難
従業員の高齢化問題に関して、タクシー業界としても手をこまねいていたわけではありません。しかし、大手企業を中心とした積極的な若年ドライバーの採用などでこれから更なる若返りを図ろうとしていた矢先に起こったのが、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大でした。
コロナショックに伴うテレワーク推進、外出自粛要請、観光客の激減などによってタクシー利用客は減り続け、タクシー業界は大きな損害を被ることとなったのです。
緊急事態宣言の発動やまん延防止等重点措置の影響もあり、コロナショック前と比較したタクシー業界全体の営業収入は、2020年4月および5月には前年同月比で3割台まで急落しました。
その後は、感染状況により変動はあるものの5~7割台で推移しており(参考:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会サンプル調査)、さらに燃料価格の高騰も加わり、先行きは依然として不透明な現状です。
タクシー業界が抱える課題解決への光明
高齢化による人材不足、コロナショックによる売上減少の二重苦により廃業に追い込まれる中小の事業者は後を絶ちません。
しかしその一方で、これまでのタクシー業界が抱えていた課題解決が可能になる光も見えてきています。それが新たなITテクノロジーの導入です。
中でも、現時点で活用が広まっているのは次の3つのテクノロジーです。
- 配車アプリ
- 配車システムのクラウドサービス
- 自動運転技術
これら3つのテクノロジーについて、次章で詳しく解説いたします。