正社員はどこに消えた?株式会社RYOMAが考える採用課題の解決策

正社員はどこに消えた?株式会社RYOMAが考える採用課題の解決策

オンライン会議システムなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関連する様々な施策が広がったことにより、人々の働き方は多様化しています。

労働人口の減少に加え、転職時にフリーランスの道を目指す人も増えている中、企業側としては「正社員を採用するのが難しい時代が訪れている」といった状況にあるでしょう。

そこで今回は、転職を中心とした企業の採用活動をサポートする株式会社RYOMA(本社:東京都港区)の阿阪滉貴社長をお迎えして、現代の採用活動の課題やデジタルを活用した解決方法についてお伺いしました。

人材採用に関して悩みを抱える全ての企業経営者様、担当者様はどうぞご注目ください。

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転職業界を取り巻く課題

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まずは、株式会社RYOMAの業務概要を教えてください。

阿阪滉貴社長(以下:阿阪氏)

「弊社の事業は3つの柱があり、その全部が採用支援に関わっています。

1つ目がキャリア支援事業部で、いわゆる人材紹介を行う部門です。主に20代の業界・業種に関して未経験の方の人事紹介がメインになっています。

2つ目が採用プランニング事業部で、企業様の採用課題に合わせて、求人広告や採用ホームページの制作支援などを行っています。

3つ目がメディア事業部で、TikTokやYouTubeなど、転職者の方に対して転職のノウハウなどを伝える部門です、こうした活動が、直接的にマネタイズできるわけではありませんが、潜在ユーザー層を広げる活動として行っています。」

YouTubeなどを拝見しましたが、メディアを上手く活用されている企業様だという印象を受けました。

採用を目指す企業と転職者の両方にアプローチをかけている御社から見て、現在の転職業界を取り巻く課題には、ズバリどのようなものがあるとお考えなのでしょう。

阿阪氏

転職業界は、今実際に大きく変わりつつあると考えています。

まずは求職者側の事情から考えると、現在有効求人倍率が大体3倍近くになっていることもあって、求職者側の力が強くなっています。その背景から、正直言ってちょっと傲慢になっている求職者さんが増えているように感じています。企業様に対しても『こちらが選ぶ側だ』とか、我々転職支援サービスに対しても少し上から目線と言いますか、そういう傾向は否めない感じがしますね。

こうした態度の求職者が増えている背景には、最近では様々なメディアを通して、企業の内情などが求職者側に良い点も悪い点もが筒抜けになっている、という事実もあるとは思いますが。」

確かに、近年では企業の内情を実際の従業員が暴露するような、口コミサイトのようなものもたくさんあります。

阿阪氏

「そうしたメディア等の影響もあって、求職者側の目線が高くなっているのかと思います。とはいえ、企業が採りたい人材のレベルが変わったわけではありません。なので、自分の価値をちゃんと分かっている転職者と、その部分を勘違いして実力の伴わない上から目線になってしまっているような方との間に、大きなギャップが生まれつつあるという印象です。

一方、企業側にもこうした『求職者が自分を客観視できていない』という問題に類似する課題があります。現状、企業は『選ばれる側』であるにも関わらず、やはり『上から求職者を見定めている』という姿勢で採用活動をしている企業が少なくありません。例えば、『このハードルを超えられたら採用してやる』といった立ち位置をとったり、あるいは人材会社に対しても『お金は払うから一切合切全部やってくれ』と丸投げしたりといったスタンスです。そうしたスタンスの企業様は採用に失敗している傾向にありますね。」

株式会社RYOMAが転職課題の解決に果たす役割

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転職者と企業。その間のギャップをうまく埋めるために、株式会社RYOMAではYouTubeをはじめとするメディア発信を意欲的に行っているのですね。実際に転職者や企業と対峙する際には、どのようなことを意識しているのでしょうか。

阿阪氏

「まず、求職者と接する際は『イエスマンにならない』ということを大きく意識しています。

例えば、私たちが『その条件での転職は難しいですよ』と伝えて、気を悪くしてしまう方は一定数いますが、それはもう仕方のない部分だと受け止めます。

『正直に申し上げて、今のあなたの状態では、この企業にすぐには転職できません。でも、3年後、4年後に転職を目指せるようにまずはキャリアアップとしての転職を挟みましょう』という提案をする場合もあります。この時に、『今すぐに希望の転職先を紹介してくれないような紹介サービスなら使わないよ』という返事であれば、弊社の場合はそこで諦めます。諦めるというか、元々そのような方は弊社の大切なクライアントに紹介できる方ではありませんしね。

もちろん、どんな求職者の方に対しても、精一杯やらせてはいただきますが、無理強いはせず『この人だったら絶対にクライアントに紹介したい』と思えるところまでしっかりとお話をして、場合によっては意識の改革をお手伝いしてから推薦する、ということを意識しています。」

企業側に対してのアプローチは、どのようなものなのでしょうか。

阿阪氏

「弊社の姿勢は、企業に対しても同様です。

例えば、我々は値下げ交渉を基本的にお受けしていません。実際にしっかりとお金をかけてでも『良い人材』を採用しようとする企業が増えている中で、値下げを交渉する企業は採用活動の優先順位が高くない企業だと思うからです。

あとは、全てをこちらに丸投げの企業などもあまり採用活動に本気度を感じられないので、良いマッチングはできないのではないかと判断しています。

どちらに対してもそうなのですが、私たちは『あなたが選ばれる側です』と伝えています。それを双方にしっかりと伝えていき、その考えに合わない場合は、求職者でも企業でも支援させていただくことはしない方針を取っています。」

人と人の感情とデジタルの棲み分け

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求職者、企業の双方ともに、まずは採用に関する意識を統一させる。そこから次の段階に進むというのが株式会社RYOMAの基本方針だということがわかりました。お互いに「選ばれる側」であるという意識を持ったコミュニティにおいては、転職者、企業、人材会社のどこが上、どこが下ということはないのでしょう。

では、実際に転職者と企業をマッチングさせていく上で、ソリューションとしてどのようにデジタルを活用していっているのでしょうか。

阿阪氏

「まずは我々、人が行わなければならない部分と、デジタルができる部分を明確に分けることから始めました。

例えば、最近ではChatGPTをはじめとしたテキスト生成AIの活用が広まっていますし、弊社でも当然のように生成Aiを活用しています。しかし、AIを活用する場面に関しては厳格なマニュアルを作成しています。『どの場面でChatGPTを使用するか』といったようなことですね。『ここからここまでは人が行う。この作業はAIが行う。』という形で、明確に人とAIとの作業分担をしているのです。

単純に何か文章を書くだけならAIの方が早いですが、その文章をもとに企業に人材を推薦する段階、人と向かい合う時間においては、人間にしかできないことがあると思います。

一方で、文章の誤りをチェックするなどの部分は、人間でなくても問題なく対応できるので、そういった部分には積極的にAIなども活用していますね。」

機械と人間。この作業分担を明確に線引しているのが、株式会社RYOMAのデジタル活用術であるようです。さらに詳しくお伺いしてみました。

阿阪氏

「やはり弊社のサービスは『採用支援』なので、人と人との問題が多いんです。そこを考える上では、『感情』が重要だと考えています。

全てをデジタル化して、人事部に自動で推薦が上がってくる状態にしたとしても、担当者は『この人のどこがすごいの?どうして特別にこの人を採用すべきなの?』という気持ちになることがあるはずです。同時に、弊社の営業マンが転職者と実際に相対して感じた、『その企業にかける想い』のようなものも、AIの文章ではどうしても表しきれないでしょう。

ですので、人と人との感情的な関わりの部分に関しては人間が担当する必要があるんです。そのうえで、それ以外の文章のたたき台を作るといった作業をデジタルに任せるという棲み分けが必要だと感じています。

弊社が採用しているやり方で、クライアントにも推奨しているのですが、面接の段階では採用担当者が直接相対します。これにより、相手のモチベーションアップに努めているのです。

その代わりに、面接の後に自宅でインターネットを使って行う適性検査の実施を求めており、基本的な見極めのほとんどはこの検査の結果を参考にしています。この検査は約2時間もかかるので、面接ではいいことばかり言っていた志望者が、すぐには検査に取り掛からない場合もあります。これによってレスの速さも見極められますよね。

また、適性検査には性格検査から文章力を測る検査、動画面接まであらゆる検査があり、その結果をデジタルでそれこそ機械的に分析します。選考に入ることはとても重要ですが、一方で、選考側の感情によって志願者の能力の評価が左右されてしまう場合もありますからね。このあたりは、機械に任せた方がより公平に判断できる部分もあるかなと思っています。」

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この記事の執筆者

DXportal編集長

町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

DXportal編集長

町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

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