デジタル技術を活用して新しい価値を創出することを目指すDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)推進は、時として仕事のやり方自体を大きく変革しなければならないことがあります。
旧態依然の仕組みから脱却し、新しいシステムやツールを活用していくことは、DXにおいて避けては通れない課題です。
しかし、真に効果のあるDX施策を実施するためには、1つの部署・部門にとどまらず、全社的な取り組みをしなければならない場合もあり、そのプロジェクトは簡単なものではありません。
DXを成功させるには、部署・部門を超えて、時には外部の人材まで含めたプロジェクトチームを設立し取り組む必要があります。
さらに、DX推進を担うチームだけが先走るのではなく、社内で足並みをそろえて一丸となって取り組まなければ、DXを達成することはできないのです。
一方で、多くの人が絡めば絡むほど、当然のようにプロジェクト管理は複雑になります。
この課題を乗り越えるためには、関係者の担当する業務を一元化して、プロジェクトのスケジュールや進捗状況を適切に管理する仕組みが必要不可欠です。
そのためには、DXプロジェクトのスケジュールを共有できるツールを導入するのが最も効果的でしょう。
そこで今回は、プロジェクト管理ツールの選び方をご紹介し、合わせておすすめのツール7選をご紹介します。
DXプロジェクトで情報共有の質を向上させたい方や、DXプロジェクトを効率的に進めたい企業様は、どうぞ最後までご一読ください。
目次
DX推進向けプロジェクト管理ツール選びのポイント
まず、企業や団体でDXを進めるには、経営者や組織の上層部がDXを率先してリードしていくことが必要です。
それと同時に、その指示がプロジェクトメンバーに適切に行き届かなければなりません。
また、試行錯誤の繰り返しになることが避けられないDX推進プロジェクトにおいては、組織やチーム内でスケジュールや進捗状況を常に共有しておくことが重要です。
組織やチームが1つになるためには、プロジェクトのスケジュール管理が非常に重要なのは言うまでもありませんが、関係するアクターも多く、ほとんどの企業にとっては「はじめての経験」であるDX推進プロジェクトの管理は、容易なものではないでしょう。
この課題を乗り越えるには、やはりITを利用したプロジェクト管理、あるいはスケジュール管理のツールを活用することが重要となってきます。
とはいえ、昨今ではこうしたツールは無数にあり、備えている機能なども多岐にわたっています。
その中から、何を基準にプロジェクト管理ツールを選べば良いのでしょうか。
ただ有名だからというだけで闇雲に選んでしまうと、自社の業務内容と合わずに、十分な管理が行えないだけでなく、いたずらに余計な作業を増やしてしまうことにもなりかねません。
そこでまずは、プロジェクト管理ツールの選び方を解説していきます。
機能面・操作性
当然ながら、見た目のわかりやすさを含めた、使いやすさは重視される要素です。
また、自社に必要な機能が不足なく揃っているかどうかは、最初に確認すべきことです。
【機能面】
- 担当者個人のタスクを管理できるか?
- チーム全体のタスク進捗状況を共有管理できるか?
- PDFやExcelなど複数の出力形式に対応しているか?
【操作性】
- メンバー間のコミュニケーションが取りやすいか?
- ドキュメントを一元管理できるか?
- シンプルで使いやすいツールか?
- スマホに対応しているか?
どのような機能を揃えたツールが良いのかを検討するために、まずは「ツールを導入したら誰がどのような方法で使用するのか」を明確にしておく作業が必要です。
プロジェクトに関わるアクターの働き方を踏まえた上で、必要な機能をリストアップしておくと、ツール選びで重視すべき機能もわかってくるでしょう。
料金とフレキシブルな拡張可能性
多くのプロジェクト管理ツールは無料から利用できますが、利用規模や機能数に応じて追加料金が発生するものがほとんどです。
ツールを有効活用するためには、自社の状況に照らして、利用人数や必要な機能などを決めた上で、コストを踏まえて最終的な導入を決めることになるでしょう。
機能面や操作性については、実際に利用してみて初めてわかる部分も多いため、まずは無料プランから試してみることをおすすめします。
こうしたツールには大きく分けてクラウド型とインストール型があり、用途に合わせて選択する必要がありますが、低コストで押さえたい場合などはクラウド型が定番になっています。
クラウドサービスは、主にクラウド事業者によってシステムが管理されている仕組みであり、従量課金といって、ユーザー企業はシステムを利用した分だけ料金を支払う仕組みになっている場合もあり、必要に応じて利用量の拡大縮小が容易に変更できます。
また、有料の追加機能についても必要なタイミングで一時的に利用可能な契約に変更するなど、フレキシブルに活用できるサービスも多いため、臨機応変に利用方法を変更できるという利点があります。
このようにその時々のニーズに合わせて利用方法を変更できるクラウド型を利用することで、フレキシブルな対応が可能となり、プロジェクトのスケジュール管理の負担が軽減できるのです。
既存ツールとの連携
真新しい機能を搭載したツールに目を奪われがちですが、目新しい技術を搭載したツールに目を奪われてしまいがちですが、既存ツールとの連携も事前に確認すべき重要項目の1つです。
実際のDX推進プロジェクトでは、さまざまなツールやアプリケーションを同時に開いて作業を行っていかなければなりません
例えば、既存の文書ツールとの連携ができれば、ドキュメントをまとめるツールとプロジェクト管理ツールを連携させ、DXプロジェクトのタスクとリンクして参照元にドキュメントを設定するといった使い方もできるでしょう。
しかし、現行で運用しているシステムやツールとの連携ができなければ、新たな管理ツールを導入しても一元管理をするのは困難です。
いちいちそれぞれのツールを確認する必要が生じてしまえば、DXによって作業を効率化するどころか、かえって余計な手間を増やしてしまいます。
そのためには、まずは自社で使っている既存のツールとその機能を洗い出し、新しく導入しようと考えている管理ツールと互換性があり、連携が可能なものから選ぶようにしましょう。
DX推進プロジェクトを効率化するツール7選
Notion
Notionはスケジュール管理や分析、共有などの作業を組み合わせてチームメンバーと連携できる多機能ワークスペースです。
Notionを使えば、プロジェクト管理やスケジュール管理などに関わる全ての情報を1つにまとめることができます。
主に「ナレッジ」「タスク」「データベース」という3つの機能に分かれており、ToDoリストやメモ、資料やメールなど、タスク管理に関わるドキュメントを、メンバー間でほぼタイムラグなく快適に共同編集することができます。
テキストファイルやWordファイルなど豊富なファイル形式のデータが取り込み可能であり、GoogleドキュメントやEvernoteなど、ビジネスシーンでよく使われるドキュメントツールにも対応しています。
また、「テーブル」と呼ばれる仮想デスク上でメンバー間で編集できるため、小規模チームでシンプルに使いたい場合におすすめです。
Salesforce Customer 360
あらゆるビジネスシーンでの商談成立を目指し、クラウド型ソフトウェアを提供するSalesforceのCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)ツールがCustomer 360です。
タスクやスケジュールの管理に限らず、より高次元な顧客満足度向上を目指したカスタマーサポートに関する問題解決にも寄与します。
スケジュール管理を含め、見込み客の発掘からマーケティング支援まで、チームの目的に合わせた拡張性を持つことが特徴です。
ビジネスを成長させる全ての機能を単一のプラットフォームで扱うことができるため、規模や業態を問わずに幅広い企業で適したサービスだといえるでしょう。
Backlog
Backlogは、誰もが見やすく直感的に使えるデザインのUI(ユーザーインターフェース)が特徴的なプロジェクト管理ツールです。
チームメンバーの仕事を1つのプロジェクトにまとめ、担当者や期限を明確にしてガントチャート化できるため、プロジェクト内の進捗や達成率を可視化して管理することができます。
また、システムの不具合を課題として管理する「バグ管理システム」でバグの修正状況を簡単に確認する。プロジェクトの課題を担当者、スケジュール、優先順位を個別に設定できる「課題管理システム」で、作業完了時の連絡や状況の変化に迅速に対応できるなど、プロジェクト管理に必要な機能のほとんどが兼ね備えられています。
さらには、SlackやChatWork、Microsoft Teamsなど複数の外部ソフトとの連携機能も完備していて、業種や規模を問わず、あらゆる場面で活用できるため、プロジェクト管理の定番とも言われるほど多くの企業で活用されているのが、Backlogの大きな特徴です。
Trello
Trelloは、デスクトップ上に付箋を貼る感覚で、直感的に使えるシンプルなタスク管理ツールです。
作業は「カード」として並べることができ「着手中」や「完了」などステータスを簡単に変更できるうえ、カードをドラッグ&ドロップで動かすだけで変更もしやすいという特徴があります。
チームのブレーンストーミングや、他サービスとの連携、優先順位の調整など、豊富なオプション機能があるためチームに合わせたカスタマイズが可能です。
個人、あるいは小規模なチームであれば無料プランでも十分な機能性を兼ね備えていますが、タスクの量が多い大規模プロジェクトの場合は有料プランを検討することをおすすめします。
Stock
Stockは、チーム内の情報をストックすることに特化して開発されたツールです。
DXプロジェクトに関わる人であっても、全員がITツールの活用に長けているとは限りません。
そのような人からすると、多機能なツールは複雑でかえって使いづらいということもあります。
しかし、Stockは直感的でシンプルな操作性が魅力なサービスで、DXプロジェクトだけでなく、一般のビジネス現場でも数多く使われているため、ITの知識がない人でも使いやすいツールだといえるでしょう。
また、メンバー間でのメッセージのやり取りなどストックしておくことができるため、SNSなどのタイムラインのように流れてしまうことを防ぎ、チームタスクを手軽に管理することができます。
スマホやタブレットでも利用可能な点や、メンバーごとに権限の設定を含む誤削除防止、セキュリティなどの機能も豊富に取り揃えられているため、ITツールの苦手なメンバーが含まれるチームでの導入も容易です。
Jira Software
Jira Softwareは、なによりスピードを重視するプロジェクトにおいて、チームの連携と開発をサポートするツールとして高い人気を誇っています。
この点から、数多くのアジャイルチームに支持されている管理ツールです。
Jira Softwareの最大の特長は、レポート機能です。
プロジェクトを一元管理することで作業が可視化され、チームの連携をサポートします。
また、スプリント全体の作業を計画・追跡・管理できる「スクラムテンプレート」や、システムのバグに対して報告・追跡・優先順位付けが行える「バグ追跡テンプレート」など、開発者がコーディングに集中できることを優先して設計されたテンプレートが各種用意されています。
その他、他のソフトとのコラボなどの機能も充実している点も魅力です。
Jira Softwareは、システム開発者がコーディングに注力できるように配慮されたソフトウェア開発ツールであるため、あらゆる規模の開発チームにおすすめできるサービスだといえるでしょう。
Redmine
Redmineは、プロジェクト全体の進捗管理やチーム内でのタスク共有・進捗管理など、様々なレベルの作業を記録・管理・共有することを目的に開発された、誰もが自由にダウンロードして利用できるオープンソース型プロジェクト管理ソフトです。
「チケット」と呼ばれるエリアにやるべきことを登録し、担当者や期日、進捗状況などを入力することで、関連のあるチケットと自動的にリンクすることができます。
また、チケットの情報を元にしたガントチャートの自動描画やメンバーへのお知らせ機能など、完全無料ソフトとして類を見ないほどの充実した機能を取り揃えているのもRedmineの大きな魅力です。
また、オープンソースという性質上、様々なプロジェクトに合わせたプラグインが数多く開発され、インターネット上で公開されているため、業務に合わせたカスタマイズ性は無限の可能性を持っています。
まとめ~チームプロジェクトのDXは、管理ツールの活用がカギ
多くのアクターの連携が不可欠なDXを推進するにあたっては、プロジェクトのスケジュール管理が非常に重要です。
DXプロジェクトは複数のタスクが複雑に絡み合い、同時進行で行わなければならないことも多いため、データ化されていなかった既存ビジネスをデジタル化し、業務効率化と利便性を持たせることも重要になってきます。
それには、本記事でご紹介した管理ツールなどを有効活用して、効率的に「見える化」して共有することが必要でしょう。
管理ツールを使うことで、チーム間の情報共有の質を向上させること抜きに、DXの成功は成しえないと言っても過言ではありません。
また、既存の業務の効率化を実現できれば、顧客満足度の向上にも繋がっていきます。
つまり、プロジェクト管理ツールは、DX推進のプロセスにおいて最大の武器になってくれるのです。
これからDXに取り組む中小企業、あるいは未だDXの成果をあげられていない企業で、管理ツールが未導入の場合は、ぜひともこの機会に貴社のビジネスにプロジェクト管理ツールの導入を検討してみてください。