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バス業界に変革を起こすDX事例
苦境に立たされたバス業界。その中でも、他社に先駆けてDX推進を行い、実際に成果を上げている事例を2つご紹介します。
事例1:茨城の乗合バスDX事例|茨城MaaS
茨城交通や関東鉄道など、茨城県内のバスや鉄道7社が連携する「茨城MaaS」。
「茨城MaaS」は、各社の運行データを集約・連携し、スマートフォンのアプリで決済可能なデジタル乗車券の発券システムを共通化する取り組みです。
この技術を使って、最初に実施されたのが「水戸漫遊1日フリーきっぷ」の発行でした。
このフリーきっぷは、水戸駅周辺で茨城交通や関東鉄道の路線バスを1日乗降できることに加えて、観光地の入場料割引特典も受けられる観光客向けのものです。
ここまでなら観光地でよくみられる取り組みですが、「水戸漫遊1日フリーきっぷ」の場合はデジタルチケット・チケットをスマホ上で購入・発行することが可能です。
ただチケットを発行するだけでなく、乗換検索や観光施設情報等の閲覧、観光施設で利用できるクーポン券の発券がスマホ一つで簡単に行える仕組みであるため、利用者に今までよりも快適な観光体験を提供することができます。
また、昨今のコロナ禍の影響を受けて、バス車内に取り付けられているドライブレコーダーをAI解析し、バスの乗車人数をホームページや専用サイトで表示する取り組みも開始されました。
この仕組みを利用することで、利用者は混雑を避けてバスに乗車することが可能となります。
「茨城MaaS」の取り組みは、チケットの発行業務や路線案内などの業務負担を減らすという業務効率化の役割を果たしつつも、バス会社の効率化だけではなく、同時に利用者の利便性向上にも繋がる好例と言えるでしょう。
事例2:高速バスの予約システムDX事例|Sokko-bus
経路検索サービス「駅すぱあと」を運営する株式会社ヴァル研究所が立ち上げた「Sokko-bus」は、高速バスの座席管理をバス会社の運用に合わせてシステム化したサービスです。
Sokko-busは、単にバスの座席予約を行なうだけの仕組みではありません。
IT技術の活用によって、予約した人が実際に乗車したかどうかを判別。乗車しなかった場合には自動で別の予約受け付けを行えるため、座席の販売ロスのリスクを最小限に抑えることが可能となります。
予約の有無は、スマートフォン予約画面提示によって確認が可能で、乗客にとっても利用しやすい仕組みです。
また、「実際は席が空いているのに乗れない」ということがなくなる点もメリットの1つと言えるでしょう。
Sokko-busは、予約せずに乗車した乗客を含めて、車内全体の乗車状況をリアルタイムに把握できる非常に画期的な取り組みです。
バス会社としても低いコストで導入できるため、DX推進の一歩目にも最適なサービスだといえるでしょう。
まとめ
少子高齢化や労働力不足、新型コロナウイルス感染拡大などによって苦境に立たされているバス業界の課題と、DX推進の2事例をご紹介しました。
現在は利用客が減少しているとはいえ、旅客バスは、人々の生活を支える重要なライフラインです。
以前のような安易な価格競争による集客ではなく、安全性を重視しながら事業を維持・継続するためには、事例で紹介したようなDX推進が必要となります。
また、顧客の利便性を考慮すれば他の交通機関との連携も検討していくべきです。
限られた人員で効率的に業務を回していくためにも有効なDXですが、利用者にとっての利便性向上の実現も同時に目指して、バス事業を持続可能なものとするDX推進に取り組んでください。