新型コロナウイルス感染症の流行により、企業の採用活動も対面からオンラインでの実施へと変更を余儀なくされています。
感染状況が落ち着いてきたとしても、コロナ禍で定着しつつあるオンライン化の流れは今後も加速していくでしょう。
多くの企業がオンラインでの採用活動に力を入れる中で、オンライン対応が追いつかなければ、優秀な人材の確保は困難となります。
現代の企業にとって、採用活動におけるDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)推進は必要不可欠です。
今回は、昨今のオンライン就活の動向や、それに伴う採用活動実施のためのDX推進例を解説します。
時代に即した採用活動のDX推進を行い、コロナ禍に負けない採用活動を実現して下さい。
目次
対面からオンラインへと変容した就活
周知のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまで実施してきた会社説明会や面接、適性検査といった選考プロセスを対面で実施する事が難しくなりました。
大手求人サイトが毎年主催してきた数万人規模の来場者数を誇る合同会社説明会も、軒並み中止に追い込まれており、コロナの影響はこれまでの就活の仕組みを変えるほど大きなものになりました。
多くの企業にとって、就活生が集まる合同説明会の場は、一度にたくさんの人材と接することができる貴重な機会でした。
いかに魅力的な事業を展開していようと、どれだけ福利厚生を整えていようと、それを就活生に知らせる機会がなければ優秀な人材が集まるはずがありません。
合同説明会のような場は、就活生にとって自分の進路を考える重要な機会になるだけでなく、企業にとっても自社をアピールする限られた機会でもあったため、合同説明会の中止は、毎年参加してきた企業にとって大きな痛手となっています。
こうした背景から、企業ではこれまで対面で実施してきた採用活動をデジタル化し、オンライン就活に対応するべく変容することが求められたのです。
企業の採用活動オンライン化
オンラインで採用活動を行なうことは、コロナ禍における移動自粛要請を始めとする様々な制約の影響を受けにくいため、企業と応募者どちらにとってもメリットが多いものです。
一方で、2021年7月に「まるごとDX」が実施した調査結果(上図)が示す通り、「採用担当者やOB・OG、他の就活性など人に会う機会が制限された(29.5%)」、「業界や企業について研究・情報収集するための機会が制限された(27.5%)」、「オンライン上では企業や社員の雰囲気が分かりづらかった(25.5%)」という意見が学生から出されているように、オンラインゆえのデメリットもあります。
オンラインの採用活動のメリット・デメリットを整理すると次のような点が挙げられます。
メリット
- コロナ禍でも採用活動を実施できる
- 遠方の応募者であっても接点が持ちやすい
- 地元密着タイプの中小企業でも、全国的に人材を募りやすい
- 会社説明会の開催等のために会場を借りる必要がなく、コストダウンが可能
デメリット
- 対面であれば伝えやすい会社や社員の雰囲気が、オンラインだと伝わりにくい
- 応募者がどのぐらい会社のことを理解しているか把握しづらい
- 応募者にとっては会社の情報を得るのに限界があり、他社との差別化がしづらい
- 従来と比べて内定辞退率が高くなる傾向がある
就活生のオンライン就活における情報収集の方法
企業が採用活動において様々な困難に直面しているように、学生にとっても前例のないコロナ禍での就活は一筋縄ではいかないものとなりました。
希望する業界で就職するためには、今までの就活生とは異なる努力が必要になっただけでなく、自分に合いそうな企業や入社したいと思える企業を探すこと自体も手探りの作業となってしまいました。
これまでであれば、実際に企業や合同会社説明会に足を運べば、企業の情報のみならず、企業や社員の雰囲気も感じ取りながら就職先を探すことが出来ましたが、コロナ禍においてはそれが出来ません。
そのため、学生はコロナ禍のオンライン就活において、TwitterなどのSNSで企業が運営する公式アカウントや、YouTube上の動画による会社説明会を視聴するなどして、企業の情報収集を行なうなど工夫しています。
また、オンラインのみで情報を集めると、企業のアピールポイントなど良い面の情報ばかりに集中してしまい、これまでのOB訪問などで感じられた雰囲気などのいわゆる『リアル』な情報が把握しづらくなってしまいます。
そのため最近では、IR情報を確認するなど事実に即した開示情報を基に、雰囲気よりもむしろ業績的な観点から企業の状態を冷静に判断している学生も増えています。
企業側も、オンラインでの情報収集に取り組む学生の要望に対応するべく、可能な限り、インターネット上で情報開示を行う姿勢が求められるでしょう。