先だっての1月28日、日本マイクロソフト株式会社が、金融機関向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)変換特別支援施策を発表しました。
2019年の10月にも、金融機関向けリファレンスアーキテクチャを発表していた同社ですが、今回はそれをさらにおしすすめた形の支援策となります。
その主な要点は2つで、1つめはフィンテック(金融テクノロジー)及びインシュアテック(保険テクノロジー)領域における、新たなパートナー協業プログラム「Microsoft Enterprise Accelerator - Fintech/Insurtech(MAFI:マーフィー)」の開始です。
日本マイクロソフトが保有するクラウドシステム「Microsoft Azure」やブロックチェーンのテクノロジーと、金融機関が持つBaaS(Banking as a Service)ソリューション、データ分析能力、情報管理基盤などを組み合わせることにより、新たな収益源確保につながる変革を支援するものとしています。
かんたんにいえば、金融機関が持つ金融機能を、外部企業に提供することにより、デジタルでの販売チャンネル拡大を支援するということで、技術支援や共同のオンラインセミナーなどの実施により、DX案件の創出を加速することが狙いです。
現時点でも12社の参加が決定しています。
【共同支援策に参加予定の企業12社】
- インフキュリオン
- SBI R3 Japan
- クラウドキャスト
- クラウドリアルティ
- クレジットエンジン
- justInCaseTechnologies
- ZEROBILLBANK JAPAN
- Backbase Japan
- bitFlyer Blockchain
- Finatext
- マネーツリー
- LayerX
2つめは、デジタルフィードバックループを実現する、リファレンスアーキテクチャ「FgCF(Financial-grade Cloud Fundamentals)for DX」です。
データを取り扱う金融機関では、デジタルフィードバックループが行いやすいとして、その実現に向けた技術基盤を整備するため、テクニカルガイドを新たに提供します。
金融機関は長引く低金利化、少子高齢化などの影響を受け、収益が長期にわたって低迷しています。
それを打開するためのコスト削減やDX投資を行っているものの、テクノロジーと人をうまく結びつけることで、さらなる収益の増大が見込めると、日本マイクロソフト社は説明。
多くの人が「身の回りのレベルと同じ使いやすさのサービスを、金融機関に求めている」として、銀行・証券会社・保険会社といった金融機関に対し、「オープンバンキング/インシュランス」「超パーソナライズされた体験の提供」「データインテリジェンス」「自立型サービスへの進化」という、4つの進化を促すために、デジタル時代の金融サービスの方向性を示す構えです。
これにより、金融機関のDXを支援するパートナーとして、確固たる地位を築く目論見もあるでしょう。
アフターコロナの世の中では、金融機関でも例外なく社内業務のリモートワーク化や、非対面営業なども増加しており、既存システムのモダナイゼーションが加速しているとする日本マイクロソフト社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて新たなビシネスの開拓や、グローバルな競争力強化を求める企業も増えていると評価。
その上で2025年までに、勘定系、次世代決済、オープンバンキングなどのコアシステムを、すべてAzureによるクラウド化をを推進していく方針のようです。
今後複数年にわたる、金融機関とのパートナーシップ推進。日本市場において、早期に戦略的パートナーシップを実現したいとしています。
「日本マイクロソフトが持つテクノロジーおよび顧客リレーションと、パートナーが持つソリューション、ビジネスアイデアという双方の強みを持ち合って、金融機関に向けたDXの提案を共同で行うものである。日本マイクロソフトが感じていた金融業界のモード2(環境の変化に対応する競争力強化に向けた変革)領域における不足部分を、パートナーにおぎなってもらうことになる」と表明された今回の支援策。
これからの日本の金融市場を変革し、経済推進の起爆剤となりうるかどうか。
今回の発表は、その命運を握るひとつの大きなキーポイントとなるかもしれません。