2022年3月16日、Googleが『Googleアナリティクス(通称及び以下:GA)』の計測方法を完全に変更することを発表しました。
具体的には、これまでの計測ソリューションとして使用されていたユニバーサルアナリティクスが、2023年7月1日(無償版の場合、有償版は同年10月1日)で完全に計測停止になるとのことです。
これにより、現在GAで計測登録をしているほとんどのアカウントにおいて計測が終了し、現在のアクセス数のみならず過去のデータを参照できなくなってしまいます。
Googleの狙い
Googleは2020年の10月に、ユニバーサルアナリティクス(通称及び以下:UA)から変わる新しい計測ソリューションとして、Googleアナリティクス4プロパティ(通称及び以下:GA4)をリリースしています。
2013年にリリースされた第3世代UAに変わる、約7年ぶりの大幅アップデートとなるGA4のリリースでしたが、Googleの思惑とは異なり、リリースから1年半近くが経過した現在に至るまで、UAからGA4へのユーザーの移行はうまく行われていませんでした。
現在は、UA方式とGA4形式の両方の形式でアナリティクスを提供しているGoogleですが、当然2つの運用方式を併用することは経済的・人的コストが余計にかかり保守運用といった面でも経済的負担が増大します。
そのため、Googleとしては出来る限り速やかにGA4への移行を推進したいという想いから、今回のUA計測の完全停止へ踏み切ったというのが真相です。
今後のスケジュール
GA無償版
- 2023年7月1日:計測停止
- 2023年7月1日~2024年1月1日:2023年7月1日までの計測データの閲覧保証期間
GA有償版
- 2023年10月1日:計測停止
- 2023年10月1日~2024年4月1日:2023年10月1日までの計測データの閲覧保証期間
完全停止時期
現時点においては、無償版・有償版共に、計測期間停止後も少なくとも半年間はデータの閲覧を保証すると発表されています。
しかし、閲覧保証期間終了後、いつ完全に閲覧不可となるかは現時点までに明らかにされておらず、今後数ヶ月中に正式アナウンスを行なうと、Googleは発表しています。
>>Googleアナリティクスヘルプ/ユニバーサル アナリティクスのサポートは終了します(2022年3月16日)
自社サイトへの影響
GA4のリリース以降、つまり2020年10月14日移行にGAでプロパティを作成したサイトは、既にGA4プロパティを使用している可能性が高いようです。そのため、特に新たな対応をする必要はないでしょう。
しかし、それ以前にプロパティを作成したサイトの場合においては、UAプロパティを使用している可能性の方が高いため、今後も計測データを入手したいと考える場合は、何らかの対策が必要です。
自サイトのプロパティタイプがどちらであるかの判断に迷う場合は、アナリティクスヘルプの【プロパティタイプの確認方法】をご確認ください。
対策
サイトのアナリティクスを確認する場合、過去のデータとの差を計測したい場合もあるでしょう。
しかし、UAによる過去のデータを閲覧する事ができなくなってしまえば、昨年対比の数値などを知ることが難しくなってしまいます。
この課題に対応するためには、過去のデータを事前にダウンロードしておくか、今のうちにGA4を導入しておくしかありません。
完全にデータ閲覧ができなくなる日は現時点ではアナウンスされていませんが、少なくとも(無償版の場合)来年の6月いっぱいで計測が停止されることは決まっているため、今年の6月までにGA4を導入しなければ、来年7月以降は昨年対比のデータ比較が出来なくなってしまいます。
GA4導入へのハードル
UAとGA4は、計測方法や運用方法が根本から違っているため、これまでのUAで慣れている操作感とは大きく異なります。
UAとGA4は全く別のツールとして扱う必要があり、同じディメンション名や指標名(セッション、離脱率等)でも定義が違っているため、これまでの延長で扱えるツールのバージョンアップではないのです。
さらにGA4はUAと比べて機能が大幅に拡張・追加された分、ツールの使い方やツール内の概念自体が変わってしまっています。
GA4を使いこなすためには、新たにGA4の考え方を理解したり、操作方法に慣れる必要があり、導入当初はそれらの作業に労力を取られてしまうかもしれません。
それに加えて、GA4はまだまだ未完成のツールであり、現在でも毎月のように新しい機能追加や更新、あるいは仕様変更が行われています。
GA4導入によるメリットは間違いなくあるものの、刻々と変化するツールを使いこなせるようにその都度対応していくことは、多くの一般企業にとって悩みの種になってしまうかもしれません。
とはいえ、自社でデータアナリストやエンジニアを置きサイト運用を行っている企業であれば、出来る限り早くGA4を導入し、当面の間はUAとGA4を併用しつつ、今後約1年間をトレーニング期間と捉えることも可能でしょう。
むしろ、GA4導入は自社のデータの取り方などを見直す良い機会にすることもできます。
他方で、社内に専門家がいない企業などの場合は、GA4へのスムーズな移行は必ずしも容易な作業ではありません。
しかし、今後もGoogleアナリティクスを使ってデータの計測を続けたい場合、GA4の導入は必須です。
そうであれば、これを機に設計そのものからの見直しを含めて、外部企業のアドバイスを受けることを検討してみても良いかもしれません。
いずれにしても今後数カ月に渡って、GA4に関しては断続的に様々なアナウンスがGoogleから発表されると考えられますので、そうした情報に常に目を向け、適切な対応をとっていくことが重要です。
DXportal®でも今後の動向に注目し、また新たな動きがあり次第ご報告いたします。