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NFTのメリット・デメリット
このようにNFTはデジタルの世界に革新的な変化をもたらす可能性を秘めた技術であり、既にその成果は目に見える形で証明されているといえるでしょう。
今後も市場は拡大し続けていくことが見込まれており、間違いなく「DX推進のキー」として注目する価値がある技術です。
ただし、新しい技術を導入する前には、多角的な視点からその可能性とリスクを検討する必要があります。
注目度の高い革新的な技術であるからこそ、そのメリットとデメリットを冷静に把握し、戦略を立てることが重要なのです。
メリット
NFTの主なメリットは以下の3つです。
- デジタルデータの唯一性を担保できる
- 取引の手続きが最小限である
- 二次流通でも制作者に利益を還元できる
1.デジタルデータの唯一性を担保できる
すでに繰り返し述べたように、改ざん不可能なブロックチェーン技術によって、あるデジタル資産の現在の所有者が誰であるかが追跡可能になり、そのデータが本物のデジタルデータか否かを誰でも確認・証明できます。これにより、代替不可能な資産としての価値が担保されます。
偽造などができないこの技術は、将来的にはアートやメディアコンテンツのみならず、公的証明書や医療カルテなど様々な分野においても活用可能になるでしょう。
2.取引の手続きが最小限である
NFTの取引においては、従来の取引では必須だった仲介役である中央集権体が存在しません。
マーケットプレイス上であれば、専用サイトでの入会手続きなどが一切不要であり、個人間で自由に取引が可能です。
さらに、オンライン上の仮想通貨(暗号資産)で決済するため、銀行を介さないで送金が可能となり世界のどこにいても、誰とでも気軽に取引ができます。
3.二次流通でも制作者に利益を還元できる
絵画などのアート作品の場合、一度自分の作品を手放してしまえば、その後いくらその作品の価値が高まったとしても、二次流通で生まれた利益は作者には還元されませんでした。
つまり、ほとんどの場合において、作品の二次流通で生じる利益は作品を作った本人ではなく、その作品を売買する美術商や投資家、コレクターなど第三者が得ていたのです。
しかし、NFTを使えば、最初に流通のルールをプログラムしておけば、売買が行われるたびに、その利益の一部が著作者に還元される仕組みを作ることできます。
これは、デジタルの世界に限らず、作品の売買において画期的なシステムです。NFTは、「オリジナル」の製作者の権利が、より保護される新時代のシステムと言い換えることも出来るでしょう。
デメリット
NFTのデメリットは以下3つです。
- 法律の整備が追いついていない
- 取引手数料が高い
- 価値の値動きが大きい
1.法律の整備が追いついていない
NFTは急速に成長している産業であるため、まだ法律の整備が追いついていません。
例えば、デジタルアートを購入した時に購入者は所有権を獲得できますが、著作権は著作者に帰属します。
しかし、現行法はNFTを利用したデジタルアートの売買を想定していないため、両者の間で法的なトラブルが発生した際、対処しきれない可能性は否めません。
ただし、この点については時代とともにNFTの取引事例が蓄積されていけば、それに関する法律も整備されていくでしょう。
2.取引手数料が高い
NFTの取引においては、手数料に関する規定がないため、現状では手数料が高額になりがちです。
また、手数料は取引量に応じて変動しており、需要が高ければ高いほど手数料が高くなってしまいます。
価格が高く、変動も激しいNFTの取引手数料が安定するためには、技術がさらに発展して市場が安定するのを待つか、法的に高額な手数料が規制されるのを待つ必要があるでしょう。
3.価値の値動きが大きい
唯一無二の存在であることが担保されたことで、資産価値があることが保証されたNFTですが、その価値(価格)は安定していません。
現在、一部の投資家などが投機目的でNFTの売買を行っている影響で、デジタル資産の価格は安定せず値動きが大きくなってしまいがちです。
これは急激に拡大している新興市場ならではの現象ですので、ある程度の時間が経過して、市場が落ち着けばこのような急激な値動きも抑えられると考えられます。
まとめ
今回はNFTについての基礎知識から、NFTのメリット・デメリットについて解説しました。
NFTの可能性は、デジタル資産の流通に限りません。
すでに公的機関が様々な証明書のデジタル発行に向けた取り組みを開始していることからもわかるように、これからの私たちの生活やビジネスに大きな影響を与え得る画期的な技術です。
しかし、社会の常識までもを革命的に変える可能性があるテクノロジーである一方、未解決の課題が多く残されているのも事実です。
後編では、NFTの課題について更に深堀して考察し、その将来性などについて解説致します。
後編も併せてお読みいただき、近い将来、私たちの生活に無くてはならない存在になり得る技術、NFTについての理解を深め、DX推進を考える参考にしてください。