【業界インタビュー】経理DXの日本と海外でどう違うのか|(株)マネーフォワード執行役員松岡氏(前編)

【業界インタビュー】経理DXの日本と海外でどう違うのか|(株)マネーフォワード執行役員松岡氏(前編)

経理をDXするには「現場目線・相手目線」が重要

日本の経理部門が変化に対して消極的とはいっても、欧米の方が変化に対して積極的というわけではありません。

しかし、それでも日本企業全体で見れば、欧米と比較して経理のDXが遅れているのは、先のデータをみても明らかです。

そこで、欧米と日本の両方でDXを進めてきた松岡氏の視点から、DXを進めるうえで大切なこととは何かをお伺いしました。

(松岡氏)

マネーフォワード松岡氏

DX推進で気を付けなければいけないことは、まず現状をしっかり把握することです。

現状を把握せず、安易に他社で成功したソリューションを導入するだけでは、DXは成功しません。

現状を理解していない状態で改革を推進した場合、反発をくらってしまうだけで物事がうまく進まないでしょう。

DX推進するにあたり、重要なことは「現場で何が起こっているのか、実際に確認してボトルネックを探し当てる」ことです。

私が当社で最初に行ったことは、現場で行っている業務を自ら体験して、現場を理解することでした。

まずは他の経理担当のスタッフと共に、紙の書類で経理業務を行うことから始めたんですね。

そうして共に作業する中で、現場の何がボトルネックかを発見していった結果、メンバーとの具体的な会話もでき、信頼関係も築けるようになりました。

その上で、今やっている大変な業務をDXすれば、「ここがこれだけ効率化できる」というようなDX推進した先の「絵」を見せることによって、自然と協力体制が取れるようになったのです。

あのとき私が、「前の会社ではこんな風にやっていて、それが良かったからここでもこのようにやるべきだ」など、強引にシステム改革を進めようとしていたら、決して今のような形にはなっていなかったでしょう。

DX推進には協力体制を整えることも大切なポイントなため、経理DXの推進を成功させるためには、頭ごなしの否定や強引な押し付けから入るのではなく、まずは自らが現場に入り、信頼貯金を貯めることが重要なのではないでしょうか。

まとめ

株式会社マネーフォワードの執行役員であり、経理本部本部長の松岡俊氏を迎えて、経理部門のDXについてお話を伺う今回のインタビュー。前半となる本記事では、欧米と日本でのDX推進の経験を踏まえて、日本における課題とDX推進に必要な心構えについてお聞きしました。

長年、日本の生産性は低いと言われ続けていますが、その背景には紙やハンコ文化などによる日本独特の企業文化が続いていることが挙げられます。

そしてそれらがDX推進の阻害要因にもなっていることは、この分野のエキスパートである松岡氏のインタビューからも、改めておわかりいただけたと思います。

また経理部門においては、管理部門の一員として会社を守る立場であるため、おのずと保守的な考えになりがちな傾向があり、新たな業務や仕組みには消極的になってしまうことも原因の1つだということがわかりました。

日本でDXを推進するにあたっては、DXを推進するリーダーが現場に寄り添い、信頼を得たうえで、DXの先にあるゴールの共有と具体的な他社事例を示すことが重要です。

自らが現場に入ることで、現場の信頼を獲得しながら、DXを進めた松岡氏の姿勢からは多くのことを学ぶことができるでしょう。

次回、後編では、DXを推進するにあたってこれからの経理のありかたや、具体的にどのようなスキルが必要なのかについて、松岡氏が実際に行ったDXの成功事例などもとにお話を伺っていきます。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード社ロゴ
お金を前へ。人生をもっと前へ。

設立:2012年5月
本社所在地:東京都港区芝浦
事業内容:PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供

>>株式会社マネーフォワード公式サイト

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この記事の執筆者

金融系DXライター

志藤たつみ

経理DXライター。経理歴15年。 プライム企業、中小企業、ベンチャー企業など、 様々な業種や規模での経験・知見を活かしたDXコンテンツを展開中。 「経理のキャリアを楽しく」がモットー。 趣味は近所の散歩とパン屋めぐり。

金融系DXライター

志藤たつみ

経理DXライター。経理歴15年。 プライム企業、中小企業、ベンチャー企業など、 様々な業種や規模での経験・知見を活かしたDXコンテンツを展開中。 「経理のキャリアを楽しく」がモットー。 趣味は近所の散歩とパン屋めぐり。

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