DXがうまくいかない!「システムの導入=DXのゴール」と勘違いしていませんか?

DXがうまくいかない!「システムの導入=DXのゴール」と勘違いしていませんか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が飛び交う昨今、多くの企業がDX推進に乗り出しています。しかし、その多くが期待通りの成果を上げられずに苦戦しているのが現状です。

  • DXを始めたけど、なかなか成果が出ない。
  • 効率化を目指してシステムを導入したのに、何も変わった気がしない。


このように「DXに挑戦しているのにうまくいかない」という悩みを抱えている経営者や管理職の方は少なくないでしょう。

では、なぜDXはうまくいかないのでしょうか?その大きな理由の一つが、「システムの導入=DXのゴール」という勘違いにあります。

様々な企業のDXを支援してきた経験から、この勘違いの罠に陥らないためのポイントとDX推進の本質について解説していきます。

DX推進がうまくいかないと悩まれていたら、ぜひ参考にお読みください。

よくある勘違い「システムの導入=DXのゴール」

よくある勘違い「システムの導入=DXのゴール」

DXがうまくいかない企業で多く見られるのが、「システムを導入すればDXがうまくいく」という考えです。

残念ながら、これは大きな勘違いです。確かに、新しいシステムの導入はDXの一部ではありますが、それだけでDXが完了したとは到底言えないのです。

どのようなシステムであっても、その導入はあくまでも「手段」であって、「目的」ではありません。

DXの真の目的は、デジタル技術を活用して企業の競争力を高め、新たな価値を創造することにあります。システム導入はその目的を達成するための数ある一つの手段に過ぎないのです。

そのため、DXにおいて最も重要なのは手段の導入ではなく、そのシステムを使って何を実現するのか、どのように企業を変革していくのかというビジョンです。

DXの真の目的は、単なる業務の効率化やコスト削減にとどまりません。以下の例のように「プラスアルファがあるか否か」が大切になります。

  • 顧客により良い体験を提供する
  • 新しいビジネスモデルを創出する
  • 社会課題の解決に貢献する

これら企業価値の向上につながる変革を実現することがDXの本質なのです。

DX推進の本質:目的とゴールを明確にする

DX推進の本質:目的とゴールを明確にする

DX推進において、多くの企業がシステム導入に注力するあまり、その本質的な目的を見失いがちです。確かに、システムの導入にはそれなりの工数や費用がかかることも少なくないため、無事に導入できたことで達成感を覚えてしまうことは無理もありません。しかし、DXの成功には「頭と尻尾」を明確にすること、すなわち明確な目的設定が不可欠です。

この場合の「頭」とは「なんのためにそれをやるのか?」であり、「尻尾」とは「それによってどうなりたいのか?」という意味を指しています。「頭と尻尾」を明確にするということは、目的とゴールを明確にすることにほかならないのです。

目的とゴールを明確にすることで得られる主なメリットは次の通りです。

  • 方向性の確立:長期的なDXの道のりにおいて、明確な指針となる
  • 組織的協力の促進:全社的な取り組みとしてDXを推進する上で、社員の理解と協力を得やすくなる
  • 投資判断の基準:DXに伴うコストと効果を評価する際の明確な基準となる

さらに、経営戦略とDXの目的を整合させることで、より効果的な推進が可能になります。例えば、「顧客のリピート率を上げたい」という目的に対して「顧客満足度を20%向上させる」といったDXゴールが明確に設定されていれば、自ずとその実現に向けて取り組むべき施策は決まってくるでしょう。

逆に、ゴールが定まらないまま、「最近話題の○○を取り入れよう」と施策ありきで考えてしまっては、結果論のような曖昧な成果しか得られない場合も少なくありません。

つまりDXの「頭と尻尾」を明確に定義することが、成功への近道となるのです。

陥りがちな罠:「システム側から作ってしまう」

陥りがちな罠:「システム側から作ってしまう」

DXへの取り組みを始めた多くの企業が、陥ってしまう罠があります。それが「システム側から作ってしまう」ということです。

すでに述べた通り、DXは目標とゴールの明確化から始めなければなりません。しかし、これだけ「DX」という言葉が溢れる昨今においては、少しでも油断すると最新のテクノロジーに目を奪われ、ビジネスの本質的な課題を見失ってしまうことになります。

DXにおいては「最新の情報を取り入れる」ことも非常に重要であるため、この教えに沿って最新のトレンドを押さえているつもりになってしまい、気が付いたら目的もゴールも曖昧になっていた、という失敗は少なくありません。

では、なぜ企業はこの罠に陥りやすいのか。その理由と、どのようにすればこの罠を避けることができるのかを解説します。

システム側から考えてしまう理由

繰り返しになりますが、「システム側から作ってしまう」とは、ビジネス課題や目的を十分に考慮せずに、最新のシステムやテクノロジーを導入することから始めてしまうことを指しています。

こうした罠に陥りやすい理由は、まずテクノロジーの進化が速すぎて、それに飛びつきたくなってしまう人間の心理があります。

現代ビジネスでは、AI、IoTやビッグデータなど、魅力的な新技術が次々と登場します。そして、競合他社は次々とそうした新技術を導入しているという情報にあふれています。

「〇〇を導入したら業務効率が大幅に改善した」

「グローバルな市場に進出した」

「新しいサービスが好評」

など、競合がDXで成功した事例を目の当たりにすると、どうしても「うちの会社も遅れを取るわけにはいかない」という焦りが生まれてしまいます。その焦りから、とりあえずは同じようなシステムを導入してしまう、といったケースが多いのです。

また、DXを目に見える形で進めたいという想いに影響されてしまう場合もあります。端的に言えば、新しいシステムを導入すれば、「うちの会社もDXに取り組んでいます」と胸を張れると考えてしまうのです。

確かに、未来志向でDXに取り組んでいることは、企業の価値や信頼を高める結果に繋がることも少なくありません。

しかし、それが目的化してしまうと単に「新技術を導入しただけ」に過ぎず、その先の成功はありません。むしろ、目的が明確でないシステム導入はかえって現場の混乱を招いてしまうことも少なくありません。これでは、本末転倒でしょう。

正しいアプローチは「ビジネス課題から考える」の発想

正しいアプローチは、ビジネス課題から考える発想です。まず、自社が直面している課題は何か、それを解決するためにはどのような変革が必要かを明確にします。

その上で、その課題解決に最適なテクノロジーやシステムを選択するのです。

例えば、「顧客からの問い合わせ対応に時間がかかりすぎている」という課題があれば、まずはその原因を分析します。その結果、チャットボットの導入が最適解だと判断されれば、その時初めてシステムの検討に入るのです。

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この記事の執筆者

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

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