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民間企業が「DX+BPR」を実現するポイント
民間企業であっても、「限られた予算と人員の中でいかに優れたサービスを提供できるか」という点は極めて重要です。また、物価の高騰や労働人口の減少などの社会課題に連動して、従業員一人ひとりの生産性の向上を進めていかなければならない状況も、自治体と共通しているでしょう。
そこで、本章では民間企業が自治体のDX+BPRから学ぶべき点を整理するために、成功した自治体DXでは必ず行われている重要なポイントを紹介します。
目標と課題を明確化する
DXにおいては、企業理念や存在意義を明確にしたうえでDXの目標を設定しなければなりません。
その次に、目標の達成を阻害する課題を徹底的に洗い出し、取り組むべき課題の優先順位をつけます。この目標設定と全体的な課題の整理を十分に行わないまま、闇雲にデジタルツールを導入していったとしても、それはDXと呼べるものではありません。
また、課題を一つずつ解決していくプロセスを全体計画にまとめて、現場スタッフや顧客(利用者)に共有することも大切です。
目標と課題を明確化して内部で共有することにより、DXに取り組む機運を高めていくことができます。DX推進計画を社外に発信することは、自社への将来的な期待と評価を高めることに繋がるでしょう。
逆に言えば、企業理念が不明確であったり、ステークホルダーの理解が得られてないDX推進の計画は、破綻する可能性が高まってしまうのです。DXを成功させるための最大のポイントは、新しいデジタルツールやシステムの導入ではなく、それ以前の全体計画の立案と共有にあるといっても過言ではありません。
部門・部署を越えた横断的な意思決定プロセスの導入
DXは最終的には社内のすべての部門にかかわるプロジェクトです。一部の経営陣やDX推進の担当部署が前のめりになり、十分な調整を行わないまま改革を進めようとしても、どこかで行き詰まってしまいます。
同じ社内であっても、部門ごとに抱えている課題は異なる場合が少なくないため、現場の声をくみ取りながら全社的に取り組む状況を作ることが大切です。
そのためには、例えばDX推進にかかる具体的な検討に関しては、関連するすべての部門の担当者を交えた会議体で協議するなど、多角的な視点を踏まえた意思決定の仕組み作りが重要です。
経営陣やDX推進チーム)の役割は、強引にトップダウンでDXを押し付けることではなく、速やかな議事進行のための社内調整や準備、決定事項を現場に浸透させていくための計画の進捗管理など、事務的な部分が大半です。
目新しい技術の導入を目的化しない
RPAやAIなどの新しい技術は、課題解決のための手段の一つに過ぎません。それらの導入は、DXの目的でもなければゴールでもないのです。しかし、残念ながらDX推進の過程で手段が目的化してしまった失敗事例は少なくありません。
もちろんDX推進のために、新しい技術が大きな力になってくれることもあります。大切なのは、最先端の技術にも目を向けつつ、常に目的と課題に立ち返って合理的な手段を選択できるマインドです。
AIなどの技術の進化が目覚ましい昨今、それら先端技術の性能や効果が喧伝される中においても、安易に飛びつくのではなく、立ち止まって自社のDXにとっての必要性を検討できるかどうかがDXの成否を分けるポイントの一つです。
すべてを可視化する
「可視化」はDX成功のための重要なキーワードです。例えば、DX推進の過程では。UX(商品やサービスを通じて得られる利用者体験)向上のための調査を徹底して行い、「顧客ニーズの可視化」に努めることが大切です。可視化された顧客ニーズを実現するためには、「課題の可視化」も必要になります。
また、可視化された課題を解決する方法としては、「業務フローの可視化」を行い、業務の改善を行っていくことが欠かせません。
このようにいかに情報を可視化することができるかどうかが、DXの成功のカギとなるのです。
また、そもそもDXを進めていくためには、DXが生み出す「利益の可視化」も重要です。ここでいう利益とは、企業の売り上げなどだけでなく、顧客にとっての利便性や従業員の働きやすさなども含まれます。
まとめ~「DX+BPR」で企業変革を成功させよう
DXという大きな目的に向かうにあたって、その手段としてBPRなどのプロセスを用いることは重要です。
デジタルの力で企業が変革していくことそのものであり、それ自体が目的となるDXに対して、その目的を果たすための手段の一つがBPRである以上、両者はセットにして用いられることで最大の成果を発揮するのです。
こうした正しいプロセスを得て、貴社のDXを成功へと導くためにも、本記事で紹介したような自治体DX+BPRの成功事例を参考にしてください。
そこに、企業変革への大きなヒントが隠されているはずです。