中小企業においても、業務の効率化や収益の最大化を目指す上で自社のビジネスをDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)することは、もはや時代の必然です。
中小企業がDXを推進する際に、ほとんどの企業において課題として立ちはだかるのがDX人材の不足でしょう。内部に専門家がいないことは当然ながら、新たに人材を育成しようにも、その教育基盤の構築自体が課題なのです。
人材不足はDX推進にとどまりません。先端技術を人材教育に活かしながら、組織的なリスキリング(学び直し)をできるかどうかが日本全体で大きな問題となっています。
そこでこの記事では、中小企業のリスキリングとDX教育の推進について、東京都新宿区の「jinjer株式会社(以下:jinjer)」が提供する「ジンジャーeラーニング」を例に解説します。
DX推進がどの企業においても欠かせない現代。貴社のビジネスを変革させ、時代の波を乗りこなす力のヒントとして、どうぞご一読ください。
目次
リスキリング対策の重要性
少子高齢化などの背景から、日本の労働力不足は社会的な問題です。その流れは、当然ながらDX人材の不足にも深刻な影を落としています。
そのため、先端技術を人材育成に活かす組織的なリスキリングを推進することは、日本のビジネス界で大きな期待がかけらた流れなのです。
2022年10月の第210回臨時国会では、岸田首相(当時)の口から「国としてリスキリングに5年で1兆円を投じる」という所信表明があったように、国をあげて取り組まなければならないほどの問題なのです。(参考/日本経済新聞:リスキリング支援「5年で1兆円」 岸田首相が所信表明)
では、リスキリングはなぜそれほど問題となっているのでしょうか。
この章では、まずはリスキリングとは何なのかという基本的問題から、DX時代における課題と重要性について解説します。
リスキリングとDX
リスキリング研究に深い造詣のあるリクルートワークス研究所が発表した「リスキリングをめぐる内外の状況について(2022年5月24日発表)」では、リスキリングとは次のように定義されています。
【リスキリングとは】
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応して価値を創造し続けるために、必要なスキルを獲得する/させること
引用/リクルートワークス研究所「リスキリングをめぐる内外の状況について」
ただし、この定義には、「リスキングとは、すべての従業員を対象とするものであり、高度デジタル人材などの育成とは分けて考える必要がある」という注釈が添えられている点には注意が必要です。
つまり、IT人材やDX人材といったデジタルに関する特別なスキルをもった一部の専門職を育成することと、ここでいうリスキリングは一線を画しているのです。
とはいえ、以前の記事「経産省とIPAが公開した「デジタルスキル標準」にみるDX人材不足への対処法」でも解説したように、企業のDX推進に求められるDX人材とは、「デジタルを作れる人材」だけを指すのではありません。
むしろ、全てのビジネスパーソンが「デジタルやデータを適切に使用できる人材」であることの方が、DX推進、ひいては現代のビジネスではより重要な要素となっているのです。
企業が取り組むリスキリングとは、従業員の現在のスキルセットを再評価し、新しい技術や業界の変化に対応するための新しいスキルや知識を習得させるプロセスを指します。これは単に新しいスキルを学ぶことだけでなく、現在のスキルをアップデートすることも含まれます。
そのため、現代ビジネスにおけるリスキリングを考える上では、デジタルを扱え、DXに適応できるということも、「必要なスキル」と言えるでしょう。
リスキリングの重要性
現代ビジネスにおいて、全てのビジネスパーソンが再雇用やより高賃金を得られることを目的としてリスキリングを推進していくことは、日本が国をあげて後押しをする必要があるほど重要な取り組みです。
この時、リスキリングで学ぶべきことは、先にも述べたように、デジタル活用を含めたITスキルを身につけて「デジタルやデータを適切に使用できる人材」を目指すことも含まれています。
では、なぜ今ITスキルを含めたリスキリングは、これほど重要であると考えられているのでしょうか。
それは、企業に次のようなメリットをもたらすと期待されているためです。
- エンゲージメントの向上:従業員に学びの機会を提供し、キャリア形成を支援すれば、従業員エンゲージメント(会社に貢献したいという意欲)の向上に繋がる
- イノベーティブな組織への転換:リスキリングを通じて、新しいスキルを獲得しようという企業風土が育まれ、イノベーティブな組織に変わるきっかけとなる
- 企業競争力の強化:業界の変化に柔軟に対応できるイノベ―ティブな企業は、競合他社に先駆けて新しい市場やビジネスチャンスを察知し、取り組むことができる。こうした取り組みにより、生産性の向上、売上・利益の拡大を実現できる可能性が高まる
こうしたメリットがあるリスキリング。中小企業であっても、競合がグローバルに広がるDX時代において、企業の競争力を維持・向上させるためには、リスキリングは避けられない課題なのです。
日本におけるリスキリング
先に紹介したリクルートワークス研究所の「リスキリングをめぐる内外の状況について」によると、日本でも大企業を中心として、広く従業員を対象としたリスキリングに取り組む企業が増えてきています。
しかし、それでも日本全体で見れば、リスキリングに取り組む企業は限られているのが現実です。
それに加えて、日本では、既に取り組んでいる大企業のリスキリングでも課題が指摘されています。
多くの企業においては、従業員が現在保有するスキルの可視化や将来必要なスキルの明確化、ギャップ測定などが不十分であり、リスキリングの成果と評価制度が明確に結びつけられていないのです。
日本の雇用者のうち、仕事に関して自己学習をする人はごく少数派に過ぎません。
これは、従業員の意識の問題ではなく、企業による学びの場の提供がほとんどないことにも原因があると指摘されています。
- 日本企業が従業員に対して学びの場を提供し、学ぶべきことを明確化する
- チャレンジングな仕事など、学んだことを役立てられる場を提供する
- 学びによる成長を適切に評価する
こうした取り組みは、従業員が自己学習する意欲を後押しすることに繋がるでしょう。従業員のスキルアップは、結果的に企業にとっても利益となることは間違いありません。
日本全体でこうした好循環を起こすためのカギを担うのが、日本の就業者の約7割が働く中小企業のリスキリング推進なのです。
また、リスキリングを進めていくことは、DX推進の波に乗り遅れないための効果的な施策でもあるのです。
とはいえ、実際に中小企業がリスキリングを行動に移すのは容易なことではないでしょう。
そこで重要になってくるのが、リスキリング対策自体にデジタルを活用していくことであり、現代ビジネスパーソンの教育システムをDXしていくことに他なりません。
そのために役立つのが、今回取り上げる「中小企業のリスキリングとDX教育を推進する『ジンジャーeラーニング』」です。
中小企業のリスキリングとDX教育を推進する「ジンジャーeラーニング」
近年のビジネス環境は、テクノロジーの急速な進化や多様化する市場動向により常にアップデートされています。
このような環境下で、社員のリスキリングやDX教育は不可欠であり、ビジネスパーソンの持続的な学習とスキルのアップデートが求められていることは先述の通りです。
そんな中、こうしたニーズに応える形で2023年8月にリリースされたのが、中小企業のリスキリングとDX教育を推進するためのシステム「ジンジャーeラーニング」です。
「ジンジャーeラーニング」は、人材育成の基盤が手薄になりやすい中小企業が、効率的なリスキリング対策に活用できるシステムとして大きな注目を集めています。
「ジンジャーeラーニング」の提供者jinjer
「ジンジャーeラーニング」の販売元であるjinjer株式会社は、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供している企業です。
世界、特に日本では先述の通り少子高齢化が大きな社会問題となっています。これは、日本が将来的に働き手の減少により持続可能性を失う危機に直面していると言っても良いでしょう。
そんな不確実性が高く、将来予測が困難な現代、「as a Service(製品機能のサービス化)」モデルを軸として、テクノロジーであらゆるサービスを進化させ、顧客の発展や社会問題の解決に貢献していくことが、jinjerの企業目的です。
「as a Service」を通して、世界で戦える企業を創る。そんなビジョンを持つjinjerは、教育とITの力で組織の課題解決を支援する株式会社インソースと提携し、「ジンジャーeラーニング」を作り上げました。
「ジンジャーeラーニング」の概要
インソース社はeラーニングシステムを通じて、リアルとオンラインで年間2万回以上の研修を実施しています。
その膨大な研修データを活用することができるのが、「ジンジャーeラーニング」最大のメリットです。
さらに、リスキリングや社内研修をオンラインで効率的に展開するために、「ジンジャーeラーニング」は次のような特徴を備えています。
- 最新コンテンツを学べる:専門家が制作する動画を含めた教材コンテンツは170以上あり、トレンドや法改正に合わせて毎月追加・更新される
- いつでもどこでも誰でも学べる:マルチデバイス対応、70以上の多言語字幕機能を搭載
- 仕組み化で受講機能を高める:確認テスト機能、リアルタイムで受講状況ステータス管理、受講状況関連データをCSV出力が可能
「ジンジャーeラーニング」が中小企業のリスキリングに与えるもの
中小企業においては、リスキリングの重要性は分かってはいても、実現に移せないというのが多くの企業の現状でしょう。
- 通常の業務遂行が忙しく、わざわざ従業員を集めての研修を行う時間と手間がかけられない
- 動画コンテンツなどで従業員がオンラインで研修を行っても、習熟度が判断できない
- 法改正やトレンドなど変わり続ける状況の変化に合わせて、その度に新しいコンテンツを提供することが難しい
こうした様々な問題が、中小企業のリスキリング対策を難しくしているのです。
「ジンジャーeラーニング」は先述の通り、こうした問題の多くを解決するシステムが構築されており、中小企業の課題解決に有効なサービスだと考えられます。
とはいえ、近年は「ジンジャーeラーニング」以外にも、こうしたeラーニングを活用した社員教育のDXを推進サポートするシステムは、数多く提供されています。
そんな中で、「ジンジャーeラーニング」が選ばれる理由の1つには、jinjerが提供する人事労務DXシステム「ジンジャー」との連携がシームレスに行えるという強みがあります。
「ジンジャー」は、勤怠管理、人事管理、給与計算など人事労務に関わるあらゆる業務をDXするシステムとして開発されています。
そこには当然、従業員データを一括管理して業務効率をアップするための様々な情報連携がなされています。「ジンジャーeラーニング」もその中の1つとして位置づけられているのです。
つまり、「ジンジャーeラーニング」は単なる従業員の教育システムではなく、人事労務管理の一環としてリスキリング対策を組み込むことのできる、まさに教育をDXするシステムだと言って良いでしょう。
「ジンジャーeラーニング」のような包括的なツールやサービスを活用して業務をDXすることは、業務効率化とビジネスの付加価値創造に大きな可能性を生み出します。
様々なリソースが限られた中小企業にとっては、まさに理想的な就業環境を生み出す取り組みなのです。
まとめ~DX推進にはリスキリング対策が不可欠
中小企業がDXを推進するにあたって、大きな課題となる人材不足と教育基盤の構築の困難さ。これを解決するための、リスキリング対策の重要性について解説しました。
今回紹介したjinjer株式会社の「ジンジャーeラーニング」は、こうしたリスキリングに大きな効果を発揮することが期待できるサービスです。
リスキリングとは、DXやデジタルについてのスキルや知識を身につけるためだけのものではありません。
一方で、高度にデジタル化が進む現代社会において、全てのビジネスパーソンがデジタルを「扱えるスキル」を身に着けておくことは、企業が持続可能なビジネスを展開していく上でも、重要なカギとなるのです。
つまり、リスキリング対策の中にはデジタル活用やDXの知識が必然的に含まれるのです。また、そうした教育システムそのものをDXしていくことは、中小企業にとっても今や欠かすことのできない成長戦略の1つだと言えます。
従業員のリスキリング対策を通してDXリテラシーの向上を図るためには、同時に経営者自身がDXに対してより理解を深めていく必要性があります。
DXは、中小企業の経営者にとっても避けては通れない課題なのです。DXportal®では、今後もこうした中小企業経営者の方々がDXへの理解を深め、持続可能な企業とビジネスを創り上げていくお手伝いをしてまいります。