【人的資本経営】HRSaaSデータ連携の自動化による、本質的な業務効率化とは

【人的資本経営】HRSaaSデータ連携の自動化による、本質的な業務効率化とは

人的資本経営を先送りにした場合に、起こり得るリスク

人的資本経営を先送りにした場合に、起こり得るリスク

このような課題を理由に、人的資本経営を先送りにすると、企業にとってどのようなリスクが起こり得るのでしょうか?

想定し得るリスクは、大きく4つ考えられます。

複数の人事系システムを扱うことで人事データの接続性が欠如し、社内情報を横断的に把握できない

特に中小企業では、業務別や部署別に、関連する人事系システムを導入するケースが多く、システムの互換性や接続性を考慮せずに、運用している企業が多く存在します。

この状況は、「接続性のない人事データ」を蓄積・保有し、システム連携の手間をかけないと人的資本情報を可視化できずに、適切なデータ活用ができないことにつながります。

人事データの中でも、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、年次有給休暇管理簿といった「法定四帳簿」に関する情報が分散していると、人的資本経営に必要な指標(例:男女間賃金格差や男女の育休取得率※1)を算出するだけでも、膨大な手間がかかります。

※1:人的資本経営に必要な指標の一例

人事データの一例
筆者独自に作成

人的資本経営に必要な指標の可視化が適切にできないことで、経営戦略/人事戦略の策定がスピーディにできない

データを管理するシステムや、管理する部門がバラバラであることは、経営戦略/人事戦略を策定する時に、時間を要してしまう原因となります。

自社の人的資本情報を分析をする際には、算出期間の変更や比較するデータ項目の選択等、分析を行うために必要な人事情報を、さまざまな切り口で見る必要があります。その際に、元のデータを管理するシステムや部門が異なると、データ整備や修正に時間を要してしまいます

これにより、戦略策定以前に、データを整備するための作業が発生してしまい、人的資本経営に向けた戦略策定が、1歩遅れることにつながってしまうでしょう。

人的資本活用の遅れが甚大な経営基盤の脆さをもたらす

人手不足が顕著にあらわれる中小企業において、無形資産(人的資本となる人事データ)を駆使した経営基盤の強化ができないことが考えられます。

特に、中小企業では大手企業と比較して、人材採用の困難な状況が続いていたり、賃上げがなされないことで既存社員が定着せずに離職率が増えたりと、「人に関する問題」の悪循環に陥るケースが増えるでしょう。

マンパワーによる事業運営が続けてしまうと、それを補填するべく人事機能をアウトソーシングすることになり、コスト増につながるといった事態に陥ってしまいます。

上記から、中小企業ほど、人員面/金銭面に関連する問題を肥大化させてしまい、経営体制の逼迫化につながる、というリスクが発生すると言えます。

担当者の工数負担を増やしてしまう

前述した内容につながりますが、人事情報の元となるデータベースの分散や、管理する部門の分散が、人事担当者へのしわ寄せを生んでいます。特に、複数の人事系システムにまたがる人事情報を扱うことは、人事部門の属人的な業務を生み出し、マンパワー体制を継続させてしまう要因にもなっています。

この状態を放置してしまうことは、自社の人事部を疲弊させてしまい、人的資本経営ができないことにつながってしまうでしょう。

現状を打破するために、中小企業がすべきこと

現状を打破するために、中小企業がすべきこと

 このような現状を打破するために、中小企業の担当者がすべきことは大きく3つ挙げられます。

データの連動性を意識した人事データの管理(蓄積/更新)を行う

人事データを効率的に管理するためには、データの連動性を意識した人事データの蓄積と更新が重要です。各システムに分散している情報がどのように接続しているかを把握し、それらを1つのデータベースで一元管理することで、人的資本経営に必要なデータをスピーディに可視化・活用できる環境を整えることができます。

これにより、担当者の業務負担を軽減するとともに、戦略的な経営判断に必要な情報を迅速に行うことにつながります。

統合されたデータベースを活用することが、人的資本情報の効率的な管理と活用の鍵となり得るでしょう。

シームレスなデータ管理のメリットを理解する

人的資本経営に関連する人事情報を効率的に管理するためには、法定四帳簿に関連する人事管理システム・勤怠管理システム・給与管理システムが、1つのデータベースでシームレスに連携していることが非常に重要です。

これにより、複数のシステムに分散していたデータを一元化できるため、必要な情報を迅速に取り出して分析することが可能になります。また、データの整合性が保たれることで、人的資本経営に必要な指標の算出にかかる手間やミスを大幅に削減することができます。

さらに、データが統合されることで、管理業務の効率化や担当者の工数削減にもつながり、より戦略的で付加価値の高い業務にリソースを集中させることが可能になります。シームレスなデータ管理のメリットを理解し、適切なシステム導入を進めることが、これからの人事業務における重要なポイントとなるでしょう。

労務関連の情報を軸としたタレントマネジメントを行う

前述した内容にも通じますが、労務関連の情報を軸としたタレントマネジメントを行うことが、結果的に、効率的な人的資本経営を実現することにつながります。

昨今では、タレントマネジメントに特化したシステムを活用する企業も多いですが、実態としては連動性の問題から人事労務システムから情報を算出する企業がほとんどです(※2)。

このことから、上記をカバーできるシステム選びを行うことで、人的資本経営に通ずるタレントマネジメント業務を、より本質的に行うことができるようになるでしょう。

※2:jinjer「人的資本情報の測定・開示に関する調査」より

まとめ

中小企業は、データ連携と業務の自動化をより意識して、経営をしていくべきでしょう。とくに経営戦略への接続・連動性があるデータを、人的資本情報の開示に使えるデータとして活用するためには、情報の行き来を自動化し、活用できる情報を洗い出すことが重要です。

また、シームレスなデータベースの構築には、人事管理・勤怠管理・給与管理を中心とするシステムを、1つのデータベースでシームレスにつなげることで、人的資本経営に必要なデータの統合と効率化を実現することができるでしょう。

全ての記事を見る

カテゴリーから記事を探す