中小企業がDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)を進める中で、課題となってくるのが適切な人材の確保です。
経済産業省が発表する「DXレポート2.0」でも、企業のDXが思うように進まない大きな理由の1つとして「人材不足」をあげています。
近年、大手企業では「DXの内製化」がトレンドとなっていますが、多くの中小企業においてはDX推進をすべて社内で行うことは至難の技です。
そこで本記事では、DX推進の内製化と外注化それぞれのメリット・デメリットを解説するとともに、株式会社MU(DXportal®運営元)が提供するDX推進プログラム「経営診断 軍師システム」についてご紹介します。
「DX推進をやらなければいけないとわかっているけど、どうにも思うように行かない」という企業の皆様は、どうぞ最後までお付き合いください。
【DX推進の実行戦略シリーズ】
目次
DX推進は自社だけで実行出来るのか?
「DX推進は自社だけで実行出来るのか?」という問いの答えは、簡潔に言えば「イエス」です。
しかし、そのためにはもちろん人材や資金力など様々な条件があります。全ての企業が出来るわけではありませんし、全ての企業におすすめというわけでもありません。
では、内製化を目指すか否かはどのように判断すれば良いのでしょうか。それを見極めるために、この章では、DX推進の内製化と外注化のそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
DX推進内製化のメリット・デメリット
メリット
全てを社内の人材でこなす内製化のメリットは、何よりも外部スタッフとの調整にかかる無駄な時間や手間が省けるため、開発スピードや改善へのサイクルを最大限早められることにあります。
また、予定外のトラブルの際にも、自社ですべてのコミュニケーションが完結するため、可能な限り早いスピードで対処することが可能です。
余計な手間を省けるということは、それだけ開発や運用にかけるコスト削減に繋がる点も魅力です。
さらに内製化の場合は、開発や運用に関する知識やノウハウを社内に全て蓄積することが出来るため、ビジネスモデルの応用や横展開がしやすくなるというメリットもあります。
蓄えた知識とノウハウを適切に継承することが出来れば、社内の知的財産が増えるだけでなく、その場限りの開発によってシステムがブラックボックス化してしまうことの防止にも繋がります。
デメリット
DX推進を内製化する最大の課題は、先にも述べた通り、人材の確保が難しい点です。これまでDXを行ってこなかった企業に、DX推進を担える人材が豊富にいることは考えにくいでしょう。
そうなると中途採用で即戦力となる人材を確保する必要が生じますが、残念ながら、そのような優秀な人材は各社が奪い合っているような状態です。
市場から人材が枯渇している現状では、中途採用で人材を確保すること自体が難しいミッションとなるでしょう。
自社のITに強い人材をDX人材として育成するとしても、それ相応の時間が必要なことは覚悟しなければなりません。人材育成自体は重要ですが、すぐにでもDXに取り組みたい企業にとっては、内製化できるだけの人材が育つのを待つのはベストな選択肢とはいえません。
更に、仮に人材の問題が解消できたとしても、特定の人材に頼って開発・運用を行ってしまうことにはリスクが伴います。社内の限られたDX人材だけが開発・運用を進めた場合、システムがブラックボックス化してしまい、その人材が離職した場合などにトラブルを引き起こす大きなリスクを抱えてしまいます。
また、目指すDXのゴールによっては、非常に高度で大規模なプロジェクトを推進しなければならない場合もあります。
そうした場合、特定の人材に過度な負荷がかかったり、内部の人材では対応しきれなかったりするなどの状況に直面する可能性もあります。
スピーディーに開発を進められることが魅力の内製化も、そのためにリソースが整っていなければ逆効果になり、最悪の場合はプロジェクトが遅延するどころか、開発品質にも影響を与えかねないことも想定しておかなければなりません。
DX推進外注化のメリット・デメリット
メリット
DX推進を外注化する最大のメリットは、社内に専門的な知識や高度なスキルを有するエンジニアがいない場合でも、システムの開発や運用が行えるといった点にあります。つまり、人材不足の問題を一気に解決することができるのです。
当然ながら、自社の目的に併せてベンダーを適切に選べれば、自社のDXモデルをどこまでも広げていくことが可能です。つまり、自社の人的リソースやノウハウの枠を超え様々なデジタル技術を取り入れて、目指すビジネスモデルを実現していくことが可能になるのです。
また、エンジニアやデザイナー、アーキテクトといった専門職の採用や開発環境の構築・整備など、内製化をする場合に避けられない一連の準備段階のフェーズにかかるコストと労力が不要になる点も魅力です。結果的には、うまく外注化した方がトータルコストを安く抑えられるケースもあるでしょう。
デメリット
外注化のデメリットとしては、どうしてもプロジェクトの意思決定から進行までに一定のタイムラグが生じてしまうことが挙げられます。
システムの開発時だけでなく、その前段階において外注先を選定する時間も必要になります。プロジェクトを実現する適切な外注先を見極めるためには、それ相応の時間と労力が必要な場合もあるでしょう。
この見極めが上手くいかなかった場合、せっかく時間とコストをかけてプロジェクトに取り組んだにもかかわらず、外注先の業者が「満足の行く仕事をしてくれなかった」と落胆する結果となる可能性があるだけでなく、もし極めて不適切な業者に当たってしまった場合、情報漏えいなどの被害にあう危険性さえあるのです。
このようなデメリットを回避するためには、適切な業者選びが不可欠です。外注先を選定する際には、技術力と迅速性だけでなく、仕事に対する誠実さなども合わせて見る必要があるでしょう。
同時に、秘密保持契約などによる基本的なリスクヘッジを確実に行うことが求められます。