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オンライン社員教育ツール代表例
前述の通り社員教育をデジタル化するには、オリジナルの研修教材を用意する方法と既存のツールやサービスを利用する方法があります。両者ともメリット・デメリットがありますが、既存のツールやサービスを利用する方が、導入コストの面においては遥かに効率的で多くの企業に利用されています。
ここでは、社員教育をオンライン化する際に役立つ、いくつかの代表的なツール類をジャンルごとにご紹介します。
オンライン会議システム
主催者と参加者それぞれがPC(+カメラ、マイク)やスマートフォンといった端末からアクセスすることで、遠隔地でも顔を見ながら会議を行うことができるシステムを総称してオンライン会議システムと呼びます。
チャット機能を利用して、参加者間で質問やメッセージを送り合ったり、ミーティング(双方向通信)とウェビナー(主催者側からの一方的配信)といった形式を選んだりと、規模や目的に合った配信形式を選択できます。
オンライン会議システムを利用することで、工夫次第でこれまで以上に効果的・効率的な研修を実施することができるでしょう。
オンライン会議システムには様々なサービスがありますが、ここでは代表的な3つのシステムについてそれぞれの特徴と違いについてご説明します。
Zoom(ズーム)
オンライン会議システムの代表格で、オンライン上の集合研修や大人数を相手にした研修にも対応しており、有益なツールも多数実装されています。
ブレイクアウトルームを使用したグループワークや、Q&A機能を使用した講師と出席者の円滑なやりとりの実現など、様々な形式の研修を行えることも魅力です。
アカウントを持っていない人でも会議に参加することができるため、社外の参加者とのURL共有もスムーズに行なえます。
ウェビナー機能を有しているため講義型の研修が多い企業や、ブレイクアウトルームを利用したチームディスカッションを多用したい企業には特におすすめです。
Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)
Microsoft Teamsの最大の特徴は、同社が提供するOfficeソフトとの連携が可能なため、資料の共有やチャットによる連絡事項の伝達が簡単に出来る点です。そのため、オンライン上の集合研修だけでなく、幅広いビジネスシーンで有用なツールです。
Microsoft Teamsは、会議の開催中以外でもチャットの送受信やファイルの共有ができる点を始め、チーム内コミュニケーションを円滑にする機能が優れています。
送受信したデータはOfficeソフトの設定一つで参加者間で共同編集することも可能なため、適宜メンバーに資料を共有しながらプロジェクト推進のための会議を実施するなど、少人数の実践的オンライン会議にはおいては特に真価を発揮します。
Skype(スカイプ)
Skypeでは、通話やチャット、会議中の資料の共有投影が可能です。
上記の2つのシステムに比べて、同接人数が50名までと少人数での利用に限られますが、Skypeは時間無制限かつ基本料金無料(国内通信の場合)であるため、小規模な会議や研修のみを目的にオンライン会議システムを利用する企業には向いています。
また、Skypeの特筆すべき点は、リアルタイムの多言語翻訳システムが実装されている点です。設定をすれば同時翻訳で、字幕が表示される機能を標準装備しているため、多国籍な参加者との研修の際などは利便性が高いシステムといえるでしょう。
eラーニングツール
自社で社員教育に向けたコンテンツ作成を行ないたい場合や、理解度確認テストを実施したい場合等には、コンテンツ作成の自由度が高いeラーニングがお勧めです。
playse. ラーニング(プレースラーニング)
「playse.ラーニング」は、株式会社manebiが提供するeラーニングサービスです。
ビジネスマナーやコンプライアンス、情報セキュリティ、コミュニケーション、労務・人事関連等多岐にわたるeラーニング教材がある他、サービス上で自社の教材を作成する事も出来ます。
オンライン集合研修の実施も可能など、自由度の高いeラーニングを構築出来るのが特徴です。
SAKU-SAKU Testing(サクサクテスティング)
「SAKU-SAKU Testing」は、株式会社イー・コミュニケーションズが提供するeラーニングサービスです。
ビジネスマナー研修、コンプライアンス研修など、全50ジャンルもの汎用的な研修コンテンツがテーマ別に用意されており、各企業に合わせたカスタマイズも出来ます。
また、教育コンテンツ・テスト共に一からの作成も可能となり、作成から実施、運用において手厚いサポート体制が整っているため、「オンラインの社員教育を実施したいが、ノウハウや人手が足りない」といった企業には嬉しいサービスです。
オンライン研修サービス
社員教育を実施するにあたり、専門的な知識習得を目的とした研修や階層別研修を行いたい場合など、企業が自前で教育コンテンツを作成する限界に直面する場合があります。
そのような場合には、専門知識を有する講師が教育研修を行なうサービスを利用するのも1つの方法です。
Schoo(スクー)
「Schoo」は、株式会社Schooが提供する、定額制のオンライン研修サービスです。
社員の階層別研修動画や、ビジネススキル、自己啓発、プログラミングといった各種スキル習得のための研修動画を豊富に配信しています。
専門的な教育を社員に受けさせたいものの、社内で社員教育コンテンツを作成することが難しい場合に適しています。
GLOBIS(グロービス)
「GLOBIS」は、株式会社グロービスが提供するオンライン研修サービスです。
基本的なビジネススキルのみならず、ヒト・モノ・カネを中心とした思考力を学ぶプログラムを展開しています。また、個人学習だけでなく、参加者間でディスカッションや振り返りまでを実施するのが特徴です。
社員教育におけるDX推進事例
ここまでオンラインでの社員教育のメリットやそれを実現するための具体的なサービスについて簡単に解説してきましたが「オンラインで社員教育を行うメリットは分かったけれど、今ひとつどのようにシステムを組めば良いのかイメージが沸かない」という企業経営者、担当者もいらっしゃるかもしれません。
そこでここでは、既に社員教育のDX推進を行ない実際に成果を上げている企業の事例をご紹介します。
事例1:本田技研工業
車やオートバイなどの研究や開発、製造、販売を行なっている「本田技研工業株式会社」。
同社は新型コロナ感染拡大を受けて、2020年入社の新入社員600名の研修を急遽オンラインに切り替えました。
その際、研修プログラムも従来の実地研修型OJT(On the Job Training:オンザジョブトレーニング)から、ライブ講義とeラーニングを組み合わせた講義形式へと変更。更に、ワークショップを中心とする研修も取り入れました。
また、毎日研修の終わりにはリフレクション(振り返り)を行い、研修を受けての気付きや学びをアウトプットすることにより、研修の内容が参加者のスキルとして定着するような工夫も取り入れられています。
同社では、このように実施方法を工夫することにより、オンライン研修であっても受講者の理解を深めることに成功しました。
事例2:三菱ふそうトラック・バス
トラックやバスなどの製造販売を行なっている「三菱ふそうトラック・バス株式会社」。
同社は、コロナ禍よりも前からオンラインでの社員教育実施に取り組んできました。2017年からオンライン教育システム「ふそうホライズン」の段階的な開発・試験に着手し、2019年から本格導入させたのです。
「ふそうホライズン」では、営業やサービス、財務、製品の機能や技術といった幅広い分野について学ぶ事が出来ます。
2020年には、新型コロナ感染拡大を受けて、テレワーク環境下でも社員教育を実施できるよう、レッスン数を前年比より61%拡充した560以上にまで増やしました。オンラインレッスンの終了者も月平均5,500人以上、前年比162%となりました。
また、日本語のみならず英語版のレッスンも用意し、日本の国内子会社を含む世界70市場以上の全組織が「ふそうホライズン」にアクセスできる環境を整えています(参考:AEG/社員教育のデジタル化を推進 ~新型コロナウイルス感染症拡大に対応~【三菱ふそうトラック・バス】より)。
複数支社や子会社を有する企業にとっては、非常に参考になる事例でしょう。
まとめ
会社を支えているのは社員に他ならず、会社の価値向上は社員の成長が鍵と言っても過言ではありません。
社員教育は、まさに社員の成長に直接影響を与えるものであり、効果的に実施することが望まれます。
コロナ禍においても社員教育の実施は欠かせない業務であると同時に、今後の貴社の発展を支える上でも社員教育のDX推進は重要なテーマです。
現状オンライン社員教育を実施している企業はもちろん、未着手の企業も、オンライン社員教育の在り方を検討し「どのようにDXを推進していけば良いのか」貴社の状況に合わせた施策を策定してみてください。