大手企業が次々とDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、中小企業の担当者は、何から取り組めばいいか悩んでいるのではないでしょうか。
中小企業が今注力すべきDX(デジタルトランスフォーメーション)は、基幹系システムの刷新やツールの導入、人材育成などがあります。
この記事では、中小企業が取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)についてまとめました。
記事の後半では、一歩踏み出した企業が陥りやすい、失敗例も記載しています。
記事の内容を参考に、これからの社会で生き抜くためのポイントを押さえて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させてください。
目次
中小企業が今取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)
中小企業が今取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)は以下の3点です。
- 基幹系システムの刷新
- ツールの導入
- 人材育成
これらの取り組みをすぐに始めることは大変かもしれませんが、DX(デジタルトランスフォーメーション)は一朝一夕で完成するものではありません。
いずれも早期に始めてPDCAを回しながら、2025年の崖を乗り越えるための準備を進めることが肝心です。
基幹系システムの刷新
経済産業省のDX(デジタルトランスフォーメーション)レポートでは、企業が利用している既存システムは、8割が老朽化していると警鐘を鳴らしています。
企業が導入しているシステムは各部門ごとに異なり、管理方法も複雑化しているからです。
そうなると、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が来たときに、老朽化したレガシーシステムがまともに機能せず、結果として役に立たないということになりかねません。
システム刷新するうえでポイントとなるのは、機能の取捨選択とクラウド化です。
頻繁に使うシステムはクラウドに移行して、使用頻度が低い機能は破棄してください。
基幹系システム刷新の目的は、情報を整理してすぐに取り出せる状態を作ること。
クラウド化自体にそこまでコストはかからないので、DX(デジタルトランスフォーメーション)の先駆けとして手を付けるには丁度いいでしょう。
RPA、SFAなどのツール導入
次におすすめするのは、RPA(Robotic Process Automation=人に変わり業務プロセスや作業を自動化する技術)やSFA(Sales Force Automation=営業支援システム)などのツール導入です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)時代は、急速に変化する社会のスピードについていく必要があります。
そのためにはツールを導入し、業務改善に取り組まなければいけません。
まずは今行っている業務を洗い出し、自動化・デジタル化できるものをピックアップします。
そして自動化できる業務はRPAを活用することです。
見積作成や給与計算など、事務作業は自動化しやすいので、DX(デジタルトランスフォーメーション)の先駆けとしておすすめです。
また営業に関するデータはSFAに集約すれば、全社においてリアルタイムな情報共有が可能になります。
営業状況を一目でわかるようになり、会議や数字報告の業務効率化につながるでしょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に強い人材の育成
3つ目はDX(デジタルトランスフォーメーション)に強い人材の育成・採用です。
今後DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ますます大きな市場になっていきます。
そのうえで、新たな時代の波についていけるスキルを持った人材が必要です。
今後どのようにDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるか、目的や施策を具体化したうえで、適切な人材を雇用しなければなりません。
システムを刷新するならクラウドに詳しいエンジニアや、AI、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)領域に長けた人材確保が必須だと考えられます。
また、社会の変化に追いつくためには、在籍している社員の育成も必要です。
自社に知見を持った人がいない場合は、外部のコンサルタントやベンダーと協力しながら、社員のマインドを高めていってください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に踏み出した企業が陥りやすい失敗例
既に挑戦している企業の中でDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させている企業はそう多くはありません。
とりあえず一歩を踏み出してみるのはいいことですが、その前に知っておきたいポイントがあります。
企業が陥りやすい失敗例と、成功に導くための考え方を検証します。
デジタル化=DX(デジタルトランスフォーメーション)ではない
DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩として、デジタル化に取り組む企業がよく見受けられます。
たとえば決済をオンライン化したり、電子ハンコを取り入れたりするといった取り組みです。
しかし、業務をデジタル化するだけではDX(デジタルトランスフォーメーション)とはいえません。
それはただの「デジタライゼーションによる業務効率化」にすぎないのです。
もちろん、時代の変化を考えたときに業務効率化は必要です。
そして、デジタライゼーションによる業務効率化によって新しい価値を創出したり、収益を出したりすることではじめて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させたといえます。
業務効率化に取り組んで
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させた」
と思っている企業担当者が多いようですが、それだけでは不十分。
業務を効率化したうえで、その先にどんな価値を見出すのか。
そこに重きを置くことが重要です。
中身が伴わない部門立ち上げ
DX(デジタルトランスフォーメーション)の間違いとしてよくあるのが、中身が伴わない部門立ち上げです。
経営層からの指示で、とりあえず「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室」などの部門を作る企業は多いでしょう。
しかし仕事の内容は既存業務の移行や、デジタライゼーションをかじった程度であり、中身が追いついていないのが実態です。
この問題の原因は、経営層がDX(デジタルトランスフォーメーション)を理解していないことです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するにあたって、
・どんなサービスを使うのか
・どのように価値を社会に向けて提供するのか
こういった内容を経営戦略に落とし込んで、経営層がプロジェクトに携わることが理想です。
顧客視点でないDX(デジタルトランスフォーメーション)目標の樹立
3つ目の失敗例は、顧客視点でないDX(デジタルトランスフォーメーション)目標の樹立です。
社会の波に乗るために「自社ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めています」と、世間にアピールできる企業になることは大切です。
そういった取り組み自体は素晴らしいのですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるには顧客視点を忘れてはいけません。
自分たちがDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるためではなく、社会のニーズを解決する手段としてDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れる。
あくまでもDX(デジタルトランスフォーメーション)は手段であり、目標ではないのです。
まとめ
中小企業が取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)と、陥りやすい失敗例を紹介しました。
これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に挑戦しようと考えているのなら、まずはシステムのクラウド化や、RPAなどのツール導入から始めることをおすすめします。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とひとことで言っても、何をすればいいか迷うかもしれませんが、新しい情報技術を取り入れながら、企業価値を高める。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質とは、こうした考え方に他なりません。
それらのことを理解したうえでPDCAをうまく回し、企業競争に打ち勝つ力を身に付けてはじめて、本当の意味でDX(デジタルトランスフォーメーション)へ踏み出したと言えるのです。