世界のIT業界を牛耳る5つの巨大企業GAFMA。
そのIT業界の体制を崩す可能性のある、Web3.0という言葉を知っていますか?
DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)に取り組む中小企業経営者であっても、「GAFAMが支配的な力を持つ現在の体制を崩すかもしれない」と言われても、ピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
しかし、DXに取り組みデジタル企業として成長するには、常にデジタルトレンドにアンテナを張っておくことが大切です。
今回は、新時代のインターネット潮流を生み出す可能性のあるWeb3.0について、これまでのインターネットの歴史を振り返りながら解説します。
インターネットを介した取引の形態を根本から変え、社会構造すら揺るがしかねないWeb3.0という新しい潮流について知り、考えるきっかけにしてください。
目次
インターネットの歴史はWeb3.0へ!
Web3.0とはいったいどのような概念なのか、またそれはどのような流れの中で注目を集めているのか?
これらの疑問に対する答えは、インターネットの歴史を振り返る事で、鮮明に見えてきます。
Web1.0:インターネットという革命
インターネット、つまりワールドワイドウェブ(Wold Wide Web)が生まれたのは、1989年の事。
この時から2000年代初期までのインターネット黎明期が、一般的にWeb1.0と呼ばれています。
1995年にビル・ゲイツはインターネットの革新性について、「インターネットの凄さは、誰でも自由に発言できる事だ。企業や個人がホームページを持って、最新の情報を発信できる。これまで一部の人しかできなかった情報発信を誰もができることにより、埋もれていた情報が表に出てくる。」と表現しました。
このビル・ゲイツの発言からも分かるように、インターネットの世界では誰もが情報発信の媒体を持つ事が可能です。
誰でも、いつでも、世界中に、情報発信ができる場の創造という革命。その革命が起き、世界中に広まっていったのが、Web1.0時代のインターネットでした。
Web2.0:ソーシャルという繋がり
Web2.0は、今現在のインターネットの姿であり、普段我々が当たり前に利用しているインターネットそのものです。Web1.0との大きな違いは、その「双方向性」にあるといえるでしょう。
Web1.0の時代にも、一部「掲示板」などの双方向ツールもありましたが、その利用方法のほとんどが一方的な情報発信(受信)でした。
これはインターネットの情報伝達速度がまだまだ遅く、それ自体に莫大な時間とお金がかかった事など、技術的な課題によるものです。
しかし、2000年代になるとインターネットは常時接続が当たり前となり、速度も高速化し、画像や動画を配信することも容易になりました。
それに伴い「双方向」で「参加型」の発信が主流となり、ソーシャルメディア(あるいはネットワーク)が一気に普及したのです。
Web3.0:個の時代の始まり
一方通行の情報発信(受信)が主だったWeb1.0が進化し、今では、双方向の円滑なコミュニケーションが行えるWeb2.0が当たり前になりました。
ソーシャルメディア(あるいはネットワーク) は今では日常生活に浸透し、無くてはならない存在になっています。
しかし、Web2.0は、現在のインターネットの仕組みを作り上げた一部の大企業、つまりGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)に代表されるIT企業による独占状態といっても過言ではありません。
情報を収集・管理するクラウドデータベースのほとんどは、GAFAMが作り出したプラットフォームに依存しています。
このGAFAMによる独占状態は、個人情報の収集や利用などをめぐるプライバシー問題や、情報の「中央集権制」の影響によるハッキング被害拡大など、現在のインターネットが抱える多くの問題を生み出しました。
もちろん、様々な情報が世界規模の大企業を介して拡散される仕組みは便利で使いやすく、メリットもあります。
しかし、特定企業への過度な依存は、民間企業である彼らの思惑次第で世界中のビジネス、ひいては世界中の人々の生活が左右されてしまうという危険もはらんでいます。
さらに、GAFAMなど一部企業への富の集中の流れは留まるところを知りません。
このように、Web2.0はインターネットをより身近で使いやすいものにした一方で、ピラミッドの頂点に君臨する一部企業による「封建主義のインターネット」でしかないのです。
しかし、今注目を集めているWeb3.0は現在のインターネットの体制を抜本的に変え、Web2.0の抱える問題を一気に解決できる可能性を秘めています。
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