企業を成長させたい経営者必見!初心者のためのDX対談|後編

企業を成長させたい経営者必見!初心者のためのDX対談|後編

法政大学MBA特任講師であり、中小企業診断士、ITコーディネータでもある福田大真氏と、DX推進企業でありDXportal®の運営会社でもある株式会社MU代表の山田元樹氏を迎え、『企業を成長させたい経営者必見!初心者のためのDX対談』と題して、前後編にわたってお送りしている本対談。前編では5つのテーマについて意見を交わしてきました。後編では更にお二人の考えを深堀していきますので、どうぞお楽しみください。

初心者向けDX7

登壇者/福田大真(法政大学MBA特任講師、中小企業診断士、ITコーディネータ)、山田元樹(株式会社MU代表取締役社長)

聞き手/町田英伸(DXportal®編集長)

>>前編はこちら


町田編集長(以下:編集長)

「大変興味深いお話がたくさん聞けて、だんだん楽しくなってきましたね。それでは、早速次のテーマを発表いたします。」

テーマ6:DX推進コンサルが必要な理由

DX推進コンサルが有効な理由

編集長

「お二方はそれぞれ、中小企業診断士兼ITコーディネータ、そしてDX推進企業の代表というお立場にあるわけですが、企業に対してDX推進をコンサルする上でそれぞれの職業がどうして必要なのか?その意味はどこにあるのか?なんていうちょっと意地悪な質問を用意してみました。」

福田氏

「なるほど、これはちょっと難しいな。」

山田氏

初心者向けDX8

「そうですね……。でも、それでいうと常から思っているのは、何かのプロジェクトの中で、同じ成果物を『1を1として作る』のであれば、どの制作会社さんに頼んでも同じような成果が得られるはずです。十分な技術力とかは備わってるし、ツールなどもAdobe製品があったりとか、今までと同じものを作り続けるための材料は揃っていると思います。

でも、依頼主の経営者さんがご自身では気づいていない領域について取り組もうするとき、例えばWEBで何かを制作しようとか、足りないものを後から探してこうと考えたときには、多分我々がお引き受けする意味があるんじゃないかと。

それを単純にDX推進のコンサルティングというかは分かりませんが、『何とか売上を上げたい』というクライアントさんの悩みの相談に乗れること、社内に制作部隊もいるので、相談を受けてアウトプットもできることが当社の強みだと思っています。

売上を上げたいと考えて相談にお越しになった企業様でも、ご自身では気付いていない欲求があることも多いんです。そこまで引き出してあげて、そこをうまく形にするお手伝いをするために、我々は存在しているのではないかと考えています。それが我々がDXをお手伝いする意味かと思います。」

編集長

初心者向けDX9

「少し余談になりますが、先日、株式会社ウェルネス様に予防医療についてのお話を伺いました。その時に中田社長が『病気の兆候を察知して対処する健康診断などのマイナス面を埋める予防ではなく、病気の兆候が出ないように生活習慣から考え直す手伝いをするよりプラスアルファの予防が本当の予防医療だ』というお話をされていました。

それからすると、企業のマイナス面を埋めるためではなく、プラスを生み出すDX施策を提案するのが株式会社MUの生み出す価値である、と。いうなれば、企業にとっての予防医療のような立ち位置でしょうか。」

山田氏

「ああ、まさにそんな感じですね。」

福田氏

「予防的なデジタル推進、いわゆる促進型のDX推進というものと、もう起こってしまっている問題に対する、つまり病気への対症療法としてのDX推進と、色々な要素があるかなとは思いますね。予防DX推進って言葉は、なかなかいいかもしれない。面白いですね。」

山田氏

「我々の業界からすると、今どきシステムなりを作ろうとか、デザインしようとかいったときに、例えば『テーマカラー何にしますか』などという話はもうしなくなったと思っています。テンプレートを選んで、テーマカラーを選んで、なんていうのはもう10年20年前の話なんですよね。一般消費者の目もWEBに対して肥えてきているし、使う側も慣れてきているので、そんなことよりもその先にある『何か』を見つけ出して、解決することを大事にしたいですね。」

編集長

「なるほど。それでは、逆に福田先生の『中小企業診断士』というご職業からするとどうでしょう。」

福田氏

初心者向けDX10

「ものすごい形式的に言うと、私は中小企業診断士とITコーディネータという資格を持ってるんですが、特にITコーディネータに関しては『DXを推進してね』という資格なので、もうやらざるを得ないというか、そもそもそれが仕事なんです。狭い意味だとそうなってしまいますね。

でも、私がDXに携わってるのは、先ほど(前編)も言った通り日本の85%を占める小規模事業者や個人事業主の方がデジタル使ってトランスフォーメーション(変革)していただかないと、今後の日本はちょっとよろしくないんじゃないかという危機感を持っているからでもあります。

『DX』という言葉自体も『ITを使ってトランスフォーメーションする』という考え方ですし、一昔前は『IT経営』なんていう言葉もありました。さらにもう一昔前は、『リエンジニアリング革命』がアメリカから出た、なんて考え方があったように、実はデジタル使って何とかしなきゃいけないという考えは、もう30年以上前からずっと続いているんです。

でも、なんで近年になって日本政府、特に経済産業省がDXという言葉を使い始めたのかというと、もはやデジタル化が当たり前になってる時代の中で、使っていかないと手遅れになってしまう、という意味合いがあったかと思います。

そこに近いところで働いてる身としては、もうDXとは必須なものなのです。もちろん、時代の流れによってあと何年かしたらDXじゃなくて多分違う名前に変わってると思うので、私の肩書も多分変わってるかもしれませんね(笑)。」

編集長

「『中小企業診断士』という職業は、中小企業を診断をして数字的な分析をしたりとか、営業が不振であれば不振の原因っていうのを特定してあげるというところから始まって、それらの課題をどういうふうにデジタルで解決するか提案していく仕事なのだと思います。

それを考えると、やはり企業の営利活動において役に立つものがDXだということが、一番根底にあるということなんですかね。」

福田氏

「そうですね、はい。企業そのものもそうですし、そこに携わってる仕入れ先であったり、お客さん全員がデジタルを使って、またその企業と携わることによってプラスになるかを考えていくということですね。」

編集長

「そこでいくと、結局のところ日本のDXも『経済産業省』が主導してきたこと自体が、まさに『営利活動を第一義に考える』いう姿勢の表れと考えると面白いですね。」

福田氏

「おっしゃる通りですね。今ちょっと幅が広がってデジタル庁ができて、厚生労働省も保険証をデジタル化したり、電子カルテを推進したりとかも始まりましたが、まさに、まずは一旦経済産業省が営利で引っ張ってきたけど、デジタル庁を作って他の分野でも『やっぱデジタル化は必要だ』という順番になったということでしょうね。」

テーマ7:DXのよくある勘違い

DXのよくある勘違い

編集長

「では、テーマ7です。『DXに関するよくある勘違いの例を教えてください』というものなのですが、いかがでしょう?」

山田氏

「さっきの経済産業省の話じゃないですけど、官公庁でも『官のDX』って、なんか歯切れ悪いなと個人的に思っています。具体的な事例を挙げるのはひかえますが、結局のところ組織が大きい場合、DXを推進するのは容易ではないということの証左ではないかと考えさせられます。

そういう意味では、企業の方は比較的DXが進んでいると思います。情報漏えいだとかマイナンバーカードの普及率とか色々と考えると、官公庁さん頑張ってほしいなという気持ちを持たざるを得ませんね。」

福田氏

「そうですね。まさにその通りだなと思います。経済産業省は、お客さんや仕入れ先も変えることがDXだよとか言ってたり、本質は変わり続けることだよと言ってるわりに、デジタル庁がそれができてるかっていうとねぇ……。まぁ、多分現場も混乱してると思うんですが。」

編集長

「テーマのよくある勘違いと言う意味では、先ほども話に出たように『DXとはなにも大げさで難しい話ばかりではないんだよ』というのはありますでしょうか。」

福田氏

「それはあるでしょうね。皆、DXという言葉の定義をすごく気にすると思いますが、物事には広義の意味と狭義の意味のどちらもがあって、どちらも間違いではないと思います。DXにおいても、今自分は(広義と狭義)どちらをやっているのかという立ち位置に関して、迷子にならなければ良いなと感じます。」

企業規模とDX成熟度の立ち位置を把握する

福田氏

「例えば、こんな図(上図)を書いてきたのですが、縦軸に企業の大きさをとったとします。この時、企業の規模によってDXのやり方とか、かけられる資源(予算・人材など)も違うので、自社がどのあたりにいるかをまずは把握しなければなりませんよね。

それから、横軸はDXの成熟度と名付けてありますが、言ってみればどれだけデジタルを使いこなしているか、あるいは全く分かっていないかを正確に分析して、そこの事例を参考にしなければならないのです。

この立ち位置の把握ができていないと、仮に他社の事例を参考にしたとしても勘違いを起こしてしまう原因になってしまいます。

DXレポートとかで取り上げている事例というのは、少し大きめの企業でDXリテラシーレベルも高いところの事例をたくさん出してるので、これをDXへの理解が低い小規模事業者の経営者さんが真似しようと考えても、そこがまず勘違いの元というかギャップが生まれてしまうんです。

あとは、製造業なのかサービス業なのか、小売り業なのかで(縦軸上の)プラス位置も変わってきますし、営業マーケティングなのか配送倉庫の話なのか、事務経理の話なのでやっぱり全然事例が違うと思います。

要は、自分がどこにいるかという立ち位置を整理してから事例をみていかないと、DXに関する勘違いが起きてしまうことはよくあるのかなと。」

山田氏

「私は逆に、提供する側がよくわかってないまま、その顧客にマッチしないDXを勧めるパターンも最近は増えているのではと感じています。そうした、やってはいけない提供側の勘違いというのも問題ですよね。

例えば、先ほどの小さな個人経営の飲食店などに、巨大などこどこ製のレジシステムを売りつけて、それで『DXだ』と言うケースですね。それで売り上げが増えるのかと言えば、甚だ疑問が残ります。こうした店では、それこそ食券機を入れた方がよほど効果的かもしれないし、レジをタブレットにするだけでも効果を得られるかもしれません。」

編集長

「なるほど。では、これ以上このテーマについて話をしていると、話がちょっと危険な方にも流れそうなので、このへんで次のテーマに移りましょうか。」

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この記事の執筆者

DXportal編集長

町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

DXportal編集長

町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

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