【業界インタビュー】DXで生徒の学習意欲向上を目指す|ナガシマ教育研究所

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デジタル化で生まれた価値

デジタル化で生まれた価値
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同社のオンライン学習は、まず生徒が自身の進捗に合わせて希望する動画を視聴して学習。

教師はオンラインで各生徒の間を巡回して個別指導を行い、質問に答えるというコーチングスタイルを取ったシステムです。

「授業自体は動画を利用しているため、その場で集団に対して授業をする必要がない分、授業中の教師のリソースはむしろ増えています。

それを有効活用し、各生徒の間を巡回するコーチングを強化した分、生徒個人の学習進捗に合わせた個別指導の質はさらに向上しました。

教師が壇上から授業をする時間が無くなった分、教育の本質である温かい人と人の交わりに注力する事ができるようになった、というところでしょうか。

また、生徒からの質問も個人のパーソナリティに合わせて、声を出すのが苦手な子はチャットを使うなどといった、複数の形を選べます。

質問や宿題もクラウド環境で共有する事により、後日の振り返りも簡単に行えるのが当社のオンライン学習システムです。

これらのシステムを組むことにより、生徒個人の学習進捗に対応しづらい集団授業と、生徒の自主性が生まれにくい個別指導という双方のデメリットをうまく緩和し、むしろいいとこ取りが出来るシステムが作れたと自負しています。」

生徒は自主的に動画サイトへアクセスして授業動画を視聴。授業中は教師が巡回してくるので、分からない事があればそこで好きな方法で質問ができるという同社の授業スタイル。

デジタル技術を活用したオンラインのメリットを最大限に活かし、アクティブラーニングを実現した同社ですが、その効用は保護者との関係にも影響を及ぼしているそうです。

「現在は保護者の方との連絡も、すべて専用アプリを用いて行っています。

これにより今までの生徒が教室に集まって行う集団授業では得られなかった、新しい保護者との形も生まれました。

例えば自室で勉強するお子さんの姿を見ながら、保護者がリアルタイムで授業中に(塾側に)生徒の学習状況を質問するなどは、今までにないアクションです。

こうしたシステムを整備し新しい学習環境を整えることで、今ではおかげさまで生徒・保護者の双方から高い評価を受け、また社内生産性も上がるなど一定の成果が上がっていると感じています。」

デジタライゼーションからDXへ

デジタライゼーションからDXへ

教材をデジタル化することにより、社内では浮いた人的リソースを生徒へのコーチングの強化に活用し、生徒は個人個人の進捗状況に合わせて最適な授業を受けられる体制を作り上げた同社。

しかし、それだけでは既存のシステムやサービスをデジタルに置き換え、ビジネスに活かし始めたデジタライゼーションの段階でしかありません。

真の意味でDXへと昇華していくためには、今後どのような展望を持っているのでしょう。

「教育のナレッジをどう蓄積するか、そして生徒のより主体的なアクティブラーニングをどう定着させるかという事が大きな課題です。

そのためにはデータ活用などは欠かせませんが、そこはまだ道半ばと言うしかありません。

例えば、ホームページからの問い合わせ件数は明らかに増加しましたが、正確な効果検証などは行えていないというのが現状です。

今後は生徒の学習進捗状況や、学習への意識変化などもデータとして活用し、ナレッジとして蓄積していく事が出来れば、『学びを通して子どもたちの幸せな人生に貢献する』という、私達の経営理念にも則ったDXを自ずと推し進めていけるのでは無いかと思っています。」

今後は業務のIT化と共に、DXのもう1つの大きな柱であるデータ活用も積極的に行い、新たな価値を模索していこうという同社。

最後に、同社にとってのDXとはどういうものなのでしょう?という質問を投げかけてみました。

「当社では、教育の本質は先にも述べたように『人と人との温かい交わり』にこそあると考えます。

アプリやAIがどれだけ進歩しようとも、結果的にそれをすべて機械に任せてしまっていては形骸化してしまうのです。

教師との対面での交わり、つまり本当の教育としての心に響くコミュニケーションに関してはどこまで行ってもアナログであるべきで、現在業界的にも主流となりつつある学習管理のIT化は、当社では安易に行うべきでは無いと考えます。

教師と生徒、保護者と私達経営陣。まずは『人』ありきで、効率化のためのIT活用ではなく、人をつなげるデジタルの本質を踏まえたDX推進を心がけて行くべきです。

今後新型コロナウイルスの影響が収まって、人々の往来が元に戻って来るようになれば、当社でも塾での集団授業とオンラインでの個別学習をうまく取り入れ、当社ならではのDX学習環境を作り上げたいと思っております。」

まとめ

コロナ禍で迎えたピンチを、同社が素早くDXにより乗り越えたのは、大きく次のような要因が考えられます。

  • デジタル化によって解決すべき課題と、それによって生じる未来像が明確
  • 既存のSaaSやIoTをうまく活用し、最短で一気に変革を行った
  • 予算のかけどころを的確に見抜き、必要な時に必要な投資を行った
  • 経営者自らがDXを正しく理解し、陣頭指揮を取ってトップダウンで推進した
  • 経営理念とDX推進で、目指すゴールがイコールで結ばれていた

言われてみれば1つひとつはごく当たり前のことでも、特に中小企業においてはこれらの事がすべてクリアになっている企業は多くありません。

何より、デジタルにより生徒の学習意欲をどう変えていけるかなど、DX推進による人の意識変革をしっかりと見据えた好例と言えるでしょう。

こうした同社の事例なども参考に、どうぞ自社のDX推進を見直すきっかけとしてみてください。

ナガシマ教育研究所(株式会社塾のナガシマ)

学びを通して子どもたちの幸せな人生に貢献する

 設立:2015年

 本社所在地:神奈川県横浜市金沢区

 【事業内容】

 小学生、中学生、高校生の学習指導、受験指導

 学童保育施設の運営

 学びに関するワークショップの企画、運営

 通信教材の製作、販売

ナガシマ教育研究所公式ホームページナガシマ教育研究所Instagram(文中画像引用先共)

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この記事の執筆者

DXportal®運営チーム

DXportal®編集部

DXportal®の企画・運営を担当。デジタルトランスフォーメーション(DX)について企業経営者・DX推進担当の方々が読みたくなるような記事を日々更新中です。掲載希望の方は遠慮なくお問い合わせください。掲載希望・その他お問い合わせも随時受付中。

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