DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)は一日にして成らず。
DXに取り組む企業の方であれば、誰でも共感いただけることでしょう。
どんなプロジェクトにおいても、「ただ闇雲に進み続ければ出口にたどり着けるほど甘いものでない」などというのは、日々ビジネスに携わる企業経営者にとってはわざわざ指摘するまでもない、当たり前の話です。
それにも関わらず、ことDXに関しては明確な戦略を持たず、場当たり的にデジタルツールを導入している企業が多く見受けられます。
DX推進の要は戦略であり、明確なロードマップの策定が必須です。
この記事ではDX戦略の大切さを改めて確認した上で、ロードマップの作成方法を5ステップで解説します。
あなたの企業がデジタル企業への変化を遂げるためにも、ぜひとも最後までお読みください。
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目次
DX推進の要は戦略
2020年9月24日に日本能率協会が発表した調査結果によれば、その時点で既に日本国内の5割強の企業が、何らかの形でDXの推進・検討に着手していました。
しかし、そのうち「ビジョンや戦略、ロードマップが明確に描けていない」「具体的な事業への展開が進まない」と答えた企業は、それぞれ77.7%と76.0%となっており、始めたものの戦略やロードマップがなく迷走している企業が多いという現状が見えてきます。
戦略を立てずにビジネスを行う企業がないように、DX推進も明確なゴールを見据えたロードマップの策定なくして成功はあり得ません。
経済産業省は、2020年12月28日発表の「DXレポート2 中間とりまとめ」において、DXを加速させるためのシナリオを作成し、取り組む時期・期間別にデジタル企業への変革プロセスを提示しました。
それが次の3つのアクションです。
【DXレポート2のサマリー(DX加速シナリオ)】
- 直ちに(超短期)取り組むアクション
- 短期的対応
- 中長期的対応
それぞれの要点をまとめます。
①直ちに(超短期)取り組むアクション
DXを推進する企業が直ちに(超短期で)取り組むべきアクションは、担当者レベルではなく社員や社外のステークホルダーも含め、全社的な「DXへの認知と理解を推し進めること」です。
そして、事例などの情報収集を行い、データをデジタル化し、ツールを導入して業務をデジタル化することが提示されています。
その具体的なアクション例は次の通りです。
- 業務環境のオンライン化:自宅でのオンライン会議など
- 業務プロセスのデジタル化:クラウドストレージを使ったペーパレス化や定型業務の自動化など
- 従業員の安全・健康管理のデジタル化:活動量計等を用いた安全・健康の管理や人流の可視化による労働環境の整備
- 顧客接点のデジタル化:ECサイトの開設や電話応対業務の自動化・オンライン化
②短期的対応
次に短期的に取り組むべきアクションとして、DXレポート2では次の3つが提示されています。
- DX推進体制の整備
- DX戦略の策定
- DX推進状況の把握
コロナ禍の影響もあり、テレワークの導入など「①超短期的なアクション」はすでに行っている企業も多いかと思いますが、その次に進めない理由の多くは、この「②短期的アクション」で提示されている体制の整備や状況把握を含めた、DX戦略が明確になっていないからです。
DX戦略を明確化させるための具体的な方法については、後ほどご紹介します。
③中長期的対応
「②短期的アクション」を実行に移した企業が、さらにDXを成功させてデジタル企業としての競争力を持つためには、次の3点を押さえることが重要です。
- デジタルプラットフォームの形成
- 産業変革のさらなる加速
- DX人材の確保
SaaSサービスやパッケージソフトウェアを存分に活用し、自社のプラットフォームを形成することによりIT投資の予算を削減するなど、デジタル企業への真の変革を目指すフェーズです。
その過程では、DX人材の育成や採用も大きな課題となります。言うまでもなく、このフェーズにスムーズに移行していくためにも、初期の段階からのDX戦略は必要不可欠です。
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