【レジャー産業のDX事例】顧客離れを防ぐ画期的なデジタル活用法

【レジャー産業のDX事例】顧客離れを防ぐ画期的なデジタル活用法

大人から子供まで幅広い層が「娯楽」を求めてやってくるテーマパークや水族館などのレジャー産業。

「娯楽」のために人が足を運んでくる場所だからこそ、顧客を満足させることは絶対条件です。今日では、どのようにDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)を利活用し、顧客の満足度を高め、顧客離れを防ぐかが問われています。

今回は、そんなレジャー産業の課題を解決しながら成果を上げているDX事例を3つ紹介いたします。

現状のビジネスに慢心せず、新たな顧客獲得を目指したいと考える経営者・担当者の方はぜひ参考にしてください。

RFIDを活用して待ち時間を大幅に削減:米国ディズニーリゾート

画像出典:WDW公式ブログ

米国のフロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは、RFIDを活用したウェアラブルデバイス「Magic Band(マジックバンド)」を導入し、利用者のストレス源となる待ち時間を短縮しています。

RFIDとはRadio Frequency Identifierの略で、無線電波を読み込むタグを使い、近距離通信を可能にする技術を指します。

たとえば、Magic Bandには利用者の情報が埋め込まれたRFタグが入っており、腕に付けたバンドを所定の箇所にかざすだけで園内の入退場が可能です。

さらに、テーマパークの周遊だけでなく、周辺施設での滞在期間を快適に過ごせるように、以下のような機能が搭載されています。

  • ファストパス認証
  • ホテルのルームキー
  • レストランのオーダー認証

これらのサービスはあらかじめスマートフォンやパソコンで予約し、パーク到着時にマジックバンドの設定を行うことで利用できます。

従来はアトラクションやホテル、レストランに足を運んで列に並ぶ必要がありましたが、Magic Bandをかざすだけでスムーズにサービスを受けられるのです。

実際に、マジックバンドは待ち時間を大幅に減らす効果があり「使用しないケースと比較して待ち時間が4時間短縮できた」という声もあります。

「利用者のストレスを減らす」というユーザーの視点に立った考えが、Magic Bandの導入につながり、顧客と運営側の双方にメリットをもたらした例といえます。

最近では、サービスがさらに革新され、現在使われているマジックバンドの機能を、今後は誰もが持っているスマートデバイスに移行することにより、マジックバンドすら身につける必要がなくなると公式ブログで公表されています。

日本のディズニー・リゾートにおいても、既に入退場チケットやホテルのルームキーとしてスマホアプリを利用する仕組みが整っているので、今後ますます快適なサービスが整えられていくでしょう。

ARアプリを導入しリピーター増:アクアワールド茨城県大洗水族館

家族やカップル、コアなリピーターまでさまざまな利用者が訪れる水族館では、生き物についてより深く知ることができるARの導入が増えています。

ARとはAugmented Realityの略で、実在する物や風景に視覚情報を追加する技術を指し、直訳して「拡張現実」とも言われます。

たとえば、現実の町中にポケモンを写すことで一世を風靡した「ポケモンGO」は、ARを利用して人気を得たアプリの一つです。

ここでは水族館によるAR活用の事例として、アクアワールド茨城県大洗水族館(以下、大洗水族館)が導入したARアプリ「LINNÉ LENS(リンネレンズ)」について紹介いたします。

LINNÉ LENSの特徴は、アプリを開いた状態でスマートフォンを水槽にかざすと、認識した生き物の名前が瞬時にわかる機能です。

現在登録されている生き物は10,000種類以上あり、アプリを通して見た生き物を種類別にカテゴリー分けしたり、お気に入りをオリジナル図鑑に登録したりすることもできます。

LINNÉ LENSを導入した背景には、「利用者が生き物に対する理解を深め、水族館での体験をより楽しんでもらいたい」という想いがありました。

ユーザーファーストの視点でより良い顧客体験が得られる施策について検討を重ねたことが功を奏し、利用者の反響を呼びました。

さらに、アプリ経由で生き物について勉強できることから、子供連れの家族にも好評だといいます。

生き物を飼育している水族館は、遊園地などに比べ、新規顧客の獲得やリピーターを獲得するためにアトラクションの新設や大規模な改修をすることが困難です。

そんな中で、大洗水族館はARアプリを導入し、今あるものに追加情報を付与することで顧客の新しい体験を創出することに成功したのです。

既存のサービスにDXを活用することで新たな付加価値を生み出し、さらなる顧客獲得につなげた例といえるでしょう。

AI顔認証システムをデータ分析に活用:富士急ハイランド

個性的なアトラクションが人気の富士急ハイランドは、AI(Artificial Inteligence=人工知能)を使った顔認証機能をもとに、データの活用に乗り出しています。

富士急ハイランドはお金を払わずに自由に入退場が可能であり、アトラクションに乗る場合にその都度料金を支払う仕組みです。

そんな中で、安全性の確保のために導入したのがAIによる顔認証システムです。入園する際に顔認証を登録し、アトラクションに乗る際に再び認証を実施する流れになっています。

チケットを買わずにパークに入れる状態では、悪意のある利用者が、万が一トラブルを起こしてもパーク外に退場されてしまえば個人を特定しづらいという課題がありました。

このような課題に対して富士急ハイランドでは、入退場時とアトラクション搭乗時に毎回顔認証を行い、利用者が安心して楽しめる仕組みを整えたのです。

AIの顔認証システムは安全性を高めるだけではなく、データを活用したマーケティングにも役立っています。

たとえば、利用者が移動する導線のログを取っていくつかパターンを抽出し、たくさんの人が通るであろう場所に売店を設置することも可能です。

また、入退場のログを取ることで滞在時間を正確に記録できるようになり、「来年の同時期にどのくらいの人数が何時間パーク内で過ごすか」などを正確なデータをもとに予測し、人材の配置や消耗品の供給量に活かすことが可能です。

DXを効果的に進めるためには、蓄積されたビッグデータを分析して新たな課題やクライアントの傾向を知り、ビジネスモデル変革の材料にすることも一つの方法です。

富士急ハイランドの顔認証システムはまさにデータをうまく活用しており、利用者に安心感を与えると同時にパーク側は無駄のない運営を実現し、売上拡大に結びつけるための種まきをしている事例といえます。

まとめ

今回は、テーマパークとアミューズメントパークの事例を取り上げ、レジャー産業のDX事例を紹介いたしました。

多くの来訪者が訪れるレジャー産業では、いかに効率よくサービスを提供し利用者に楽しんでもらえるかが鍵となります。

そのためには、待ち時間を短縮するRFIDや、既存のサービスに付加価値を与えるARアプリなど、DXをうまく活用することが必要です。

今回紹介した事例をヒントにしていただき、自社の新規顧客獲得や顧客離れを防ぐためには、どのようなDXが適しているか、現状のビジネスモデルに照らし合わせてみてください。

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この記事の執筆者

DXportal®運営チーム

DXportal®編集部

DXportal®の企画・運営を担当。デジタルトランスフォーメーション(DX)について企業経営者・DX推進担当の方々が読みたくなるような記事を日々更新中です。掲載希望の方は遠慮なくお問い合わせください。掲載希望・その他お問い合わせも随時受付中。

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