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IoTの課題
IoTの技術は企業のビジネスモデルや運営に画期的な変革をもたらします。
一方で、導入を進める経営者や担当者には、IoTの課題についても適切に認識しておかなければなりません。
ここでは、企業視点からIoTの課題とその対策について深堀りします。
セキュリティの課題
まず第一に考えられるのが、データをインターネットで通信することで生まれるセキュリティの課題です。
企業が導入するIoTデバイスは、サプライチェーンや内部ネットワークのウイークポイントになる可能性をもっています。
適切なセキュリティ対策が取られていないIoTシステムでは、情報の漏えいや、サイバー攻撃の標的となってしまうリスクもあります。
どのような形であっても、重要なデータが外部に流失してしまったり、システムを乗っ取られてしまったりした場合、企業のブランドや信頼性を大きく損なってしまうことは避けられません。
どれだけセキュリティ対策を取っていたとしても、完全にリスクを排除することは難しいですが、最低限次のようなリスクヘッジを行っておくことをおすすめします。
- 導入前のリスク評価と定期的なセキュリティ監査の実施
- セキュリティ対策が取られたデバイスを選定する
- 従業員の教育とトレーニングの実施
個人情報保護とデータ管理の課題
企業が取得するIoTデータは市場分析や予測などの重要な判断材料となります。膨大なデータを効果的に活用するにあたっては、容量の大きなストレージと高度な解析能力が求められます。
また、重要な顧客データを扱う企業は、それに見合っただけの社会的責任を果たさなければなりません。
例えば、一般家庭に設置されたスマートスピーカーやスマートホームシステムから得られるデータは、人々の生活を丸裸にしてしまう可能性を持っています。
家電の利用時間や回数、人の動作などにかかわるデータが流失したり、悪用されたりした場合は、一企業では到底責任を負えないレベルの被害を引き起こしてしまうリスクがあるのです。
このようなデータは、本来であれば一企業が保有すべきデータではないと言えるかもしれません。
こうした事態を引き起こさないためには、日本の個人情報保護法や欧州のEU一般データ保護規則(GDPR)などに従って、情報を適切に管理する必要があるのです。
データ管理の課題に関しては、次のような対策が考えられます。
- クラウドストレージやオンプレミスの適切な組み合わせを検討
- データプライバシーに関する法規制の徹底的な研究と従業員への教育
システム互換性の課題
IoTは便利な仕組みですが、無計画に導入していくことはできません。
IoTデバイスやシステム間の互換性がなければ、むしろ効率的な運用の妨げになってしまいます。
使用するシステム全てに共通のフレームワークが適用されていなければ、担当者の移動や複数業務を担当する際に混乱をきたしてしまうこともあるでしょう。
こうした問題は、自社システムの開発を複数のベンダーに依頼した場合などに起こりやすくなります。
システムの互換性を保って、効率的な運用を可能にするためには、次のような対策が考えられるでしょう。
- 業界標準やオープンソースの技術を優先的に採用する
- 統合プラットフォームの導入やカスタム開発を検討する
- 誰もが適切なデータ管理ができるために行う技術を標準化する