DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだ社会では、私たちの生活の利便性は今以上に向上し、仕事の面でもオンラインでの業務が主流となります。
アフターコロナで変わり続ける社会の中から、今回はDX専門家の目から見た、日本企業の未来予想を、3つの事象にしぼって解説します。
- デジタルに根差した生活が主となる
- 企業に求められる「スピード」と「効率化」
- ITへの投資が企業の未来を分ける
自社の状況と照らし合わせながら、今後の戦略の参考となるヒントを読み取っていってください。
目次
1.アフターコロナで生活ベースのデジタル化が加速
改まって言うまでもありませんが、アフターコロナでは、今後ますます、生活ベースのデジタル化が加速すると予想できます。
仕事面では、オンラインを取り入れたテレワーク化が進んでおり、東京都の調査でも「都内にある企業のうち、テレワーク制度を導入している企業はおよそ6割」と公表しています。
資料や印鑑の電子化など、未だ課題は残っていますが、近い将来にはほぼ全ての業務が、オンラインで完結するようになるはずです。
さらにAI(Artificial Intelligence=人工知能)の発達が進んで、システムに取り込めるようになると、あらゆる既存業務が自動化され、人手を介すことなく遂行可能になります。
それだけでなく、私たちの生活面でも、デジタル化は大きな影響を及ぼし、将来的にはDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して、新しいビジネスチャンスの可能性が広がるようになります。
【AIの発達により自動化されるシステム例】
- 勤怠管理:携帯するスマホに専用アプリを入れるだけで、ゲートイン・アウト時に出退勤を自動管理
- 営業管理:SFA(Sales Force Automation=営業支援システム)上で営業数字進捗や売上管理を一元化
- 経費精算:カードリーダーでSuicaの履歴を読み込み、交通費精算に関する必要項目を自動入力
- 小売店や飲食店:レジや商品の配置をAIロボットに任せ、店内を無人化
このように、AIの発達が起因して、一つひとつの業務がデジタルベースとなり、人間が手入力していたものがすべて自動化される未来は近づいてきています。
【デジタル化で生まれる新しい価値・サービス例】
- 5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)を使った高速通信
- IoT(Internet of Things=モノのインターネット)による車の自動運転
5Gが主流になれば、データのやり取りはさらに高速化されていきますので、企業にはそのスピードに遅れを取らないことが求められます。
したがって、変化する社会の中で、どのようにDX(デジタルトランスフォーメーション)を企業経営に取り入れていくかが、自社にとっての大きな課題になるといえます。
2.「スピード」と「効率化」が時代を生き残る鍵
デジタル化が進んだ社会では、これまで以上に「スピード」と「効率化」が求められ、仕事の進め方を変革していくことが欠かせません。
ご存じの通り、日本の人口は急激に減少し続けており、総務省によると「2060年には国内の人口は9,000万人を切り、その内の4割は高齢者になる」といわれています。
つまり、残りの6割の労働者が、高いパフォーマンスを発揮できなければ、確実に、日本経済は衰退していくということです。
各企業における、1つひとつの取り組みがスピーディー、かつ効率的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進につながっていき、一方で、DXを実現できない企業は淘汰されていくと予想できます。
スピード
スピードを上げるためには、先述の業務効率化に加えて、システムに蓄積されたデータを活用し、分析にかける時間を短縮する必要があります。
データの活用という面では、今後は各部門が統一された、システム型のクラウドを利用することが主流になります。
営業進捗から分かる、顧客のニーズやマーケットの傾向を分析して、現状のサービスに対する改善点や、新しいサービスの開発をスピーディーに進めていく企業が、いち早く売上を拡大していきます。
効率化
蓄積したデータをどのように活用して、業務を効率化していくかも、企業の成長の鍵となります。
たとえば、今後は、ディープラーニングと呼ばれるAIの機械学習を使い、必要な情報を即座に取り出せる仕組みを構築して、自社の経営状況を短時間で洗い出し、戦略を立案する企業が増えるはずです。
3.ITへの投資が企業の未来を分ける
経産省は、中小企業のデジタル化に向けた調査において「2007年から2013年にかけて、IT投資をしていない企業の、売上高経常利益率は3.0であったのに対して、投資した企業の数値は3.8だった」と発表しています。
さらに同調査では、「生産性の高い中小企業は、IT投資に積極的かつ、社内スタッフの賃金も高い」という結果が出ています。
2013年の段階では、両者の差異は0.8程度に留まっていますが、今後この差はどんどん広がっていくはずです。
つまり、加速するデジタル化の波に乗るためには、ITの設備投資に予算を割くことが第一優先となり、そこから生産性の向上、売上拡大が期待でき、最終的には社内スタッフの賃金向上につながります。
経産省はDXレポートにおいて「アフターコロナでは、一刻も早く各企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める必要性がある」と述べています。
オンラインの業務体制を構築できていた企業と、そうでない企業は、コロナ禍において如実に生産性の差が出ていることは実証済み。
企業の経営者は「わかってはいるけれど、経営状態が低迷しているため予算が取れない」と足踏みせず、今すぐにでもDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む必要があるのです。
まとめ
DX専門家から見た、今後の未来に起こる3つの事象、という観点で解説してまいりました。
今後一層デジタル化は加速し、仕事面と生活面、どちらにおいても効率化が進んでいきます。
一方で、企業側はそのスピードに置いて行かれないために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れつつ、自社に変革を起こしていかなければ、激化するデジタル社会の競争に淘汰される可能性が高いのです。
アフターコロナで経営状況が厳しい中だとは思いますが、それでもできる限りの積極的なIT投資をして、売上拡大を狙うのが現実的な策といえます。
デジタル化時代のサバイバルに勝ち抜くために、未来を見据えた長期的な目線で、早急にDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を立案・実行していってください。