DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)は、デジタル技術を活用し、既存のビジネスを変革して新しい企業価値を創出することを目的に行います。
では、DXを推進するにあたって、必要不可欠な「視点」とはどのようなものでしょうか?
それは、「どうすればユーザー体験をより良いものにできるか」というユーザ目線です。
顧客の目線で考え、顧客に今までにないユーザー体験を提供することこそが、DXの目指す「新たな企業価値の創出」であるといえます。
そのためには、ユーザーが求めるモノや嗜好を理解する手助けとなる、データマーケティングが欠かせません。
この記事では、DX推進において重要なカギとなるデータマーケティングについて、その重要性と始め方・注意点を解説します。
目次
DX推進にはデータ活用が不可欠な理由
経済産業省は、日本においてDXへの取り組み拡大の起爆剤となった「DX 推進ガイドライン」の中で、DXにおけるデータ活用について次のように言及しています。
DXを本格的に展開していく上では、そもそも、既存のITシステムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、データを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうという問題が指摘されている。
引用:経済産業省【デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0(2018年12月発表)】
裏を返せば、DX推進においてはデジタル技術の導入だけでなく、それによってデータを効果的に活用できる体制を構築することが不可欠です。
データを活用することによって得られるメリットは多数ありますが、ここでは最も重要な点に絞って3点ご紹介します。
ゴールの策定目安となる
DX推進を実現するためには、まず明確なゴールを設定し、そのゴールに向かってロードマップ(ジャーニーマップ)を作成してから具体的なプロジェクトを進めることが求められます。
このステップを踏まずに闇雲にDX推進を実行しようとしても、場当たり的なデジタル投資や、方向性の定まらないデジタル化を繰り返すばかりとなり、レガシー産業からの脱却は成しえません。
DX推進で最も大切なゴールを策定するためには、まずは必要なデータを収集し、それを活用して自社のビジネスの現状を正確に「診断」することが必要となります。
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イノベーションのアイデアが浮かびやすい
どんなビジネスでも忘れてはならないのがユーザー目線です。
前述のように、ユーザー目線でモノを考え、新たなユーザー体験を生み出すことこそが「新しいビジネスを創出する」ということに他なりません。顧客の視点に立った取り組みが、まさに企業のイノベーションへと繋がっていきます。
しかし、イノベーションを引き起こす画期的なアイデアが突発的に湧いてくることはほとんどありません。
DX推進のためには、企業努力によりマーケティングデータを収集することが重要であり、データを整理し現状を可視化し、俯瞰することで初めて新たなアイデアが生まれてきます。一見地道に見える、マーケティングデータの収集が、結果的には企業のイノベーションへと繋がっていくのです。
意思決定のモノサシとなる
ビジネスにおいては、様々な選択肢の中から1つを選択することが日々求められます。そのために、上役やマネジメント層、あるいは経営者の判断を仰ぐことはビジネスの世界では日常的な光景でしょう。
しかし、DX推進を実現するためにはスピーディな対応が求められる局面があり、選択を迫られるたびにトップの判断を待っていては機を逸して大きなビジネスチャンスを失うこともあります。
DX推進は経営者や経営陣のDX責任がリーダーシップを発揮して、トップダウンで進めていく必要があるとはいえ、現場レベルで迅速に判断していかなければならない局面も当然あります。
DX推進という新たな挑戦を進める中で、現場が適切な判断をしていくためには、トップと現場で共有された「モノサシ」が必要です。
このモノサシは誰かのセンス・感覚といった曖昧なモノではなく、確固たるデータに基づき言語化された明確な指針である必要があるのです。
適切なデータ収集とその活用は、まさにこの意思決定のモノサシを作るための作業でもあるのです。
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