【DXが創り出す未来】人付き合いが苦手|弱点を武器に変える働き方改革

【DXが創り出す未来】人付き合いが苦手|弱点を武器に変える働き方改革

人一倍五感が敏感で、刺激を受けやすいHSP(Highly Sensitive Person/以下:HSP)はどのコミュニティにも一定数存在するといわれています。

働くうえでも刺激やストレスを受けやすいHSPは、ある意味不利な立場です。

しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)による働き方改革が進み、彼らが活躍できる場所が増え始めているのも事実です。

連載シリーズ「DXが創り出す未来」では、元SIerに勤務していた女性であり、HSPでもある筆者が、自身の経験にもとづくDXの活用法や企業にもたらすメリットについて記していきます。

第1回となる今回のテーマは「HSPを含む、仕事で生きづらさを抱える人の『弱点』を『武器』に変える働き方改革」です。

多様化する社会において、ITテクノロジーを用いて有効な人材活用をお考えの企業は、自社の働きやすさを向上させる参考としてご一読ください。

仕事でさまざまな刺激を受けるHSP

仕事でさまざまな刺激を受けるHSP

本題に入る前に、簡単にHSPについて解説します。

そもそもHSPとは”Highly Sensitive Person”の略で「人一倍五感が強く、刺激やストレスを受けやすい気質を持つ人」を指します。

この他に共感力や感情の強さ、処理の深さ、些細なことに気づくのもHSPの特徴です。

HSPの提唱者であるエレイン・アーロン氏は以下のように説明しています。

全人口の15%から20%が当てはまる。

その性質を備えていると、周囲の些細なことにもよく気が付き、多くの状況で有利になる。

一方で、刺激の強い環境に長時間いると気圧されやすく、景色や音にやられ、神経系がへとへとに疲れてしまう。

敏感であることには、利点も欠点もある。

引用元:エレイン・N・アーロン(2020)『敏感すぎる私の活かし方』(パンローリング出版)

このように、HSPは周囲の環境に大きく影響を受けます。

職場においても同様で、近くに怒られている同僚がいれば自分が同じ状況にいるように感じたり、隣にいる人がイライラしていると気になって仕事に集中できなかったりするのです。

私自身も1人のHSPとして、会社にいるときに何度も話しかけられることや周囲に人がいることが、知らず知らずのうちにストレスになっていました。

HSPの活躍の場を広げるDXの導入例

HSPの活躍の場を広げるDXの導入例

そんなHSPにとって働くうえでのストレスを減らす環境を作ったのが、DXを活用した働き方改革です。

活躍の場を作る要因となった代表的な仕組みを紹介します。

  • リモートワーク
  • AIによる仕事代行
  • チャットツールの台頭

リモートワーク

リモートワーク

1つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大によりメジャーな働き方となったリモートワークです。

HSPは無意識のうちに職場環境から多くの情報を収集し、刺激やストレスを受けます。

それはたとえば、たくさんの人が行き来することや空調の音が大きく感じられることなど些細なことも含まれます。

加えて他の人の気分やペースに飲み込まれてしまうと、ますます本領を発揮できなくなってしまいます。

リモートワークはこうした問題を解消し、HSPが普段どおりの高いパフォーマンスを発揮することに適しているのです。

AIによる仕事代行

AIによる仕事代行

AI(Artificial Interigence=人工知能)による仕事代行も、働くうえでHSPにとってはメリットです。

HSPはこまかいことに気づきやすいので正確性が問われる作業を得意としています。

さらに「他の人の要望」を察知できるので、気を遣って不必要に仕事を請け負うこともあり、結果的に神経をすり減らすことになります。

そうした仕事はAIを活用することで、自身の負担を減らすことが可能です。

たとえばヒューマンエラーが起きやすい手打ち入力の事務作業などは、AIが代行することで効率化につながり、人間がその作業に割いていた時間を他の業務に充てられます。

AIをうまく活用できれば、HSPは受けるストレスを減らしながら効率よく業務を進められるでしょう。

チャットツール

チャットツール

働き方改革ではChatwork、Slack、Microsoft Teamsなどのチャットツールが主なコミュニケーションの手段になりました。

こうしたチャットツールの台頭は、仕事をするうえでHSPのストレスを減らす鍵になります。

たとえば、メールでは「お世話になっております」「何卒よろしくお願いいたします」などの丁寧な挨拶が必須ですが、相手に不快な思いをさせないようHSPは一言一句気を遣うのです。

結果として1つの作業をこなすだけでも膨大な時間がかかってしまい、仕事で疲れる要因が増えることになります。

多少カジュアルな表現であっても許容されやすく、最低限のやり取りで済むチャットツールは、人付き合いで疲弊しやすい人にとってストレスの要因をなくすツールでもあるのです。

企業がHSPのパフォーマンスを高める方法

企業がHSPのパフォーマンスを高める方法

HSPは本来持っている気質を活かせば、職場でいい影響を与えながら成果を出すことが可能です。

企業によっては双方の誤解により、これまでは扱いづらいと感じることもあったこうした人材を、DX推進による働き方改革で自社の戦力として有効活用することは、これからの企業活動においては欠かせないものとなります。

HSP気質を持っているスタッフは企業の役に立ちますが、環境に左右されて能力を活かしきれないこうしたHSP気質を持ったスタッフをうまく活用するための、企業側が気にすべきいくつかの項目は次のとおりです。

こともあります。

  • 仕事ぶりを逐一チェックしない
  • 刺激が少ない環境作りに協力する
  • 自己主張が苦手であることを理解する

こうしたところからも分かるようにHSP気質のスタッフは特にリモートワークとの相性がよく、コロナ禍で変わらざるを得なかった企業の勤務形態を好意的に受け止め、むしろ本来持つパフォーマンスを存分に発揮できる人材だということもできます。

何も他のスタッフと扱いを変える必要はありませんが、在宅でも働けるハード面の整備と、スタッフ1人ひとりのタスクや問題点をピックアップできる仕組みづくりを構築できれば、企業サイドにも大きなメリットが享受できるはずです。

まとめ

HSPを含む働きづらさを抱える人にとって、活躍の場を広げるきっかけとなる「DXによる働き方改革」について解説しました。

人付き合いが苦手な人は、職場環境によるストレスを受けて普段のパフォーマンスを発揮できないこともあります。

しかしDXによって彼らが抱える「弱点」は「武器」に変えられます

コミュニケーションの在り方や人との関わり方が変わることで、力を発揮しやすい社会構造が生まれ始めているのです。

HSPはどのコミュニティにも一定数存在するため、自社にも同じ問題を抱えている人がいる可能性が高く、働き方改革を推進して彼らの活躍の場が広がることは、当人だけでなく企業にとってもメリットになります。

ぜひリモートワークのシステムやチャットツール、タスク管理ツールなどをうまく活用いただき、自社のスタッフが快適に仕事をできるような環境づくりを目指していただければと思います。

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この記事の執筆者

DXライター

今見 ユリ

電気通信事業会社・システムインテグレータの勤務経験があるDXライター。現在はフリーランスとしてIT・デジタル分野を中心にメディアで記事執筆を行っている。趣味は温泉めぐりと自然が豊かな場所に行くこと。

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