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日本のDXが進まぬ理由はどこにある?
「出勤者数7割削減目標の撤廃」というテレワーク推進に水を差す政府の決定は、DX推進の観点から見ると、完全に流れに逆行するものです。
この提言が日本企業の代表である経団連から出されたということは、日本企業全体としては、出勤者数を削減してテレワークを推進していくことに対して、あまり積極的ではないということの表れではないでしょうか。
このような企業の姿勢こそが、日本のDX化が思うように進まない理由であると考えられます。
喉元過ぎれば熱さ忘れる日本のDX推進
日本人の国民性は世界的にも、勤勉・真面目と評価されていますし、歴史を振り返れば、敗戦という苦境から高度経済成長期を経て先進国への仲間入りを果たしたように、どんなに苦しい状況からでもそれを打破する力を持っていると言えるでしょう。
しかし、同時に「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という国民性も併せ持っています。
コロナ禍に直面し、人と人との接触機会を減らすために急速に進められてきたDX化も、新型コロナウイルスの猛威が一旦の落ち着きを見せると、たちまち立ち消えになりそうです。
仮に、コロナの脅威が去ったとしても、日本が他の先進国に比べてDX化が遅れているという課題は残っています。
にもかかわらず、元の「緊張感の無さ」として日本の悪い面が出てきてしまっているようです。
テレワーク化などのDX推進は「コロナ禍だからやらなければならない」というものではありません。
来たるべき「2025年の崖」を乗り切り、混乱に陥らずデジタル産業へと舵を取るためには、DX推進は必要不可欠です。
同時に、国際社会の中で他のDX先進国と肩を並べ対等なビジネス競争を戦い抜く。
それこそが、日本の未来を築いていくために必要なDX推進の大命題なのです。
真のリーダーシップを求められるデジタル庁
日本企業のDX推進は、各企業がその重要性をしっかりと認識し、自社にあった最適な方法で取り組むべき問題です。
しかし、各企業が単独で行えることには限界があります。業界としてまとまった大規模なDX推進策や、地域のインフラや地方行政と足並みを揃えた施策が必要な場合もあるでしょう。
また、特に個人経営などの小規模企業においては、DX導入の必要性すら理解していないという現状もあります。
こうした諸々の問題を解決するためには、やはり日本国内のDX推進の旗振り役を担う真のリーダーが必要です。
本来、その役割はデジタル庁が担うべきであり、それはデジタル庁創設の理念にも謳われています。
菅内閣から岸田内閣へと政権が代わっても、デジタル庁にはDXリーダーとしての姿勢と行動が求められています。そして、その真価が問われるのはまさにこれから。
発足から3か月を総括すると、デジタル庁はその枠組みが出来上がったばかりで、本当の力を発揮するには至っていません。今、接待問題などを始めとする、つまらないミスでつまづいている暇はないはずです。
日本のDX化に向けて猛進する強烈なリーダーシップ。
企業がDX推進を行う際に求められる経営層へのリーダーシップと同様に、デジタル庁にも日本のDX推進を担う真のリーダーシップを求めたいものです。
まとめ
コロナ禍が落ち着きを見せている今、経団連から提言された「出勤者数7割削減目標の撤廃」をめぐる一連の流れをきっかけに、喉元過ぎれば熱さ忘れる日本人の気質と、デジタル庁に求める日本のDXリーダーシップについて解説いたしました。
すでに述べたように、DX推進は「コロナ禍だから」必要だったわけではありません。
日本企業が国際社会の中で遅れを取らず競争力を保持するために、さらには来るべきデジタル社会に対応する真のユーザビリティーを実現するために、必要不可欠な変革なのです。それに向けて、各企業が真剣に取り組み、価値あるビジネスチャンスを創出していく必要があります。
企業の方々も、デジタル庁に真のDXリーダーシップを求めると共に、「何のためにDXを行うのか」を自社の企業理念に照らし合わせて、今一度経営陣1人ひとりが自分自身に問いかけてみてください。