成功するDX投資戦略とは？最新【2024年版】デロイト調査を読み解く - DXportal

DX投資を成功させるための4つのポイント

デロイトの調査では、DX投資を成功させるための4つのポイントが提言されています。

野心を適切な規模にする
計画を検証する
適切な行動に報いる
方向転換の準備をする

これらのポイントを、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。

1．野心を適切な規模にする

この提言が示しているのは「DXの目標設定は、大きすぎても小さすぎてもいけない」ということです。DX成功のためには、最初から全社的なシステム刷新や抜本的な業務改革を目指すのではなく、達成可能な目標を設定し、段階的に取り組むことが重要です。

例えば、ある小売企業では、まずECサイトの改善に焦点を当て、オンライン販売の強化に取り組みました。その後、顧客データ分析に基づいたパーソナライズ化や、実店舗との連携によるオムニチャネル化など、段階的にDXを推進することで、大きな成果を上げることに成功しました。

重要なのは、全社的な目標と整合性をとり、長期的な視点を持つことです。短期的な成果にとらわれず、将来を見据えたDX戦略を策定しましょう。

2．計画を検証する

1つ目とも関連しますが、闇雲に動き始めるのではなく、計画段階で実現可能性を十分に検証することも重要です。技術的な部分での実現可能性はもちろん、予算、人材、時間など、あらゆる面から計画を精査しなければなりません。リスクを早期に特定することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

例えば、工場のスマート化を計画してある製造業のケースでは、事前検証を行った結果、導入予定のシステムと既存設備との互換性に問題があることが判明しました。導入に動き出す前に問題を特定できたことで、計画を見直し、早期に必要な調整を行うことで、結果的にスムーズな導入を実現できました。

計画を検証する際には、専門家の意見を聞いたり外部リソースを活用したりすることも有効です。市場や競合の動向を分析し、柔軟に対応することも重要なポイントですので、計画を検証する際の項目に加えておくべきでしょう。

3．適切な行動に報いる

DX推進は長期的には現場の社員にも裨益するものですが、慣れ親しんだ業務プロセスを改革することは簡単なことではありません。そのため、トップダウンで推し進めようとするだけではDXの成功はあり得ないのです。

DX推進は、従業員の協力なしには成し遂げられません。このことを念頭に、DX推進に貢献した従業員の行動を適切に評価して、その貢献に見合った報酬を与えることが、モチベーション向上に繋がります。適切に評価される企業であることは、人材の定着率を高めることにも繋がります。

例えば、ある企業では、DX推進に貢献した従業員を表彰する制度を導入しました。同時に、DX関連の研修や資格取得を支援する仕組みも導入し、従業員のスキルアップも促進しました。

このような具体的な仕組みがあることで、従業員のDXに対するモチベーションを高め、経営層と現場が連携してDXに取り組む環境を作り出したのです。

4．方向転換の準備をする

市場や技術は常に変化しています。特にIT関係の技術の進化はすさまじい速度で起きています。そのため、DX推進においては、変化に対応できる柔軟性を持つことが極めて重要です。どれだけ入念に準備を重ねたとしても、新しい技術の登場や市場の動向によっては、計画を見直して、軌道修正する必要があるかもしれません。

例えば、あるIT企業では、DX施策の一環として取り組んでいたサービスの開発に取り組んでいたものの、開発途中に市場の動向が変化し、サービスへのニーズが低下していることが判明しました。この市場の変化を受けて、開発プロジェクトを中止する決断をしたのです。その代わりに、新たなサービス開発にリソースを集中させることを選択したことで、損失を最小限に抑えて、結果的に成功を収めました。

変化に対応するためには、アジャイル開発やPoC (Proof of Concept／概念実証) などの手法を活用し、迅速な意思決定と柔軟な対応を心がけることが重要となります。