【中小企業が進めるDX】カスタマージャーニーマッピングによる顧客体験の最適化

【中小企業が進めるDX】カスタマージャーニーマッピングによる顧客体験の最適化

現代ビジネスでは、DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)推進に取り組むことが、企業競争力を高めるカギとなっています。

しかし、未だにDXに取り組めていない中小企業は少なくありません。そうした企業の経営者様は「DXの重要性はわかるものの、DXをどのように進め、どう活用すれば良いのかがわからない」というのが本音ではないでしょうか。

DXに関する膨大な情報が飛び交う中で、何を手がかりに進めていけば良いのかわからずに、頭を抱える日々を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな悩みを解決するために、この記事では「カスタマージャーニーマッピング」という手法を紹介します。

これは、顧客(カスタマー)の視点で、顧客が商品やサービスを経験する過程を可視化する手法ですが、このやり方をDXと組み合わせることで、顧客体験を最適化し、ビジネス成長を実現する強力なツールとなり得るのです。

DXとカスタマージャーニーマッピングは、どのように連携できるのか、活用していくためには具体的にどう行動すれば良いのか。そして、どのような成果が期待できるのか。

こうした点を正確に理解していただくために、DXにおけるカスタマージャーニーマッピングの役割とその進め方を解説していきます。

自社の競争力を最大限に高めたいと考えている企業の経営者様は、どうぞご参考にしてください。

DXとカスタマージャーニーマッピング

DXとカスタマージャーニーマッピング

DXが求められる現代において、顧客の視点を深く理解し、それに基づいてサービスを提供することは極めて重要です。そのために役立つツールが「カスタマージャーニーマップ」です。

本章では、その目的とメリットを詳しく解説します。

カスタマージャーニーマッピングとは?

カスタマージャーニーマッピングとは、顧客が製品やサービスを知るところから、それを購入し、利用し、評価するまでの一連の行動・経験を「マップ」としてビジュアル化する手法のことを指します。

マッピングを行うことにより、企業は顧客の視点で自社の製品やサービスを理解し、さらにその経験をどのように改善するかなど、具体的な改善点を見つけることが可能となります。

例えば、オンラインショップのサイトであれば、カスタマージャーニーマップを活用して、顧客が商品を検索し、選び、購入するまでの流れを詳細に分析することができます。

その結果、商品の検索機能の使いにくさ、決済画面の複雑さなどといった顧客体験のボトルネック(改善点)を明らかにすることができ、サイトの改善に役立てることができるでしょう。

カスタマージャーニーマッピングの目的とメリット

カスタマージャーニーマッピングの主な目的は、顧客の視点から製品やサービスの体験を深く理解し、それに基づいて顧客体験の改善を図ることです。

企業が顧客の経験を正確に把握することで、顧客のニーズにより適切に応え、より良い体験を提供することが可能になります。

具体的なメリットとしては、まず、顧客満足度の向上があげられるでしょう。

顧客体験を改善することで、顧客からの信頼を得やすくなり、その結果、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得に繋がります。

また、課題点が明確になるため、企業としても具体的な改善策を計画しやすくなるのも大きなメリットと言えるでしょう。

DXと顧客体験の最適化

DXによって得られるメリットの1つに、企業がリアルタイムで顧客体験を把握したり、パーソナライズされたサービスの提供が実現できるということがあります。

例えば、AIを用いたチャットボットを導入すれば、24時間対応の顧客サポートを提供できます。

顧客から寄せられた質問を内容ごとに集計し、傾向を分析すれば、多くの顧客が疑問に思っている点が明らかになるでしょう。

また、顧客の購買履歴や行動データを基にしたパーソナライズした推奨商品の提示は、顧客の満足度を高めるとともに、リピート購入の促進にも繋がるでしょう。

これらはすべて、デジタルの力を借りて、顧客経験を一段と豊かで充実したものにしていく試みです。

そして試みの肝となるのが、顧客の行動や経験を深く理解し、それに基づいて改善を進めていく「カスタマージャーニーマッピング」なのだといって良いでしょう。

つまり、DXとカスタマージャーニーマッピングとは、デジタルを用いた顧客体験の向上を目指すうえでは、切っても切れない関係性なのです。

カスタマージャーニーマッピングの進め方

カスタマージャーニーマッピングの進め方

本章では、DXとカスタマージャーニーマッピングを組み合わせた顧客体験の向上を目指す上でのポイントを、ステップバイステップでご紹介します。

このプロセスを通じて、企業は顧客体験を理解し、改善策を設定し、その効果を評価するためのフレームワークを構築してください。

ステップ1:データ収集

DXの基本はデータの活用にあり、全ての改善はデータに基づいて行われるべきというのが基本的な考え方です。

カスタマージャーニーマッピングで活用されるデータには、WEBサイトのユーザー行動データ、ソーシャルメディアのコメントやいいね、顧客からの直接的なフィードバックなどが含まれます。

これらのデータを適切に収集・整理することで、顧客の行動や感じ方を詳細に理解することが可能となります。

ステップ2:カスタマージャーニーマップの作成

収集したデータを基に、カスタマージャーニーマップを作成します。

繰り返しになりますが、カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスに接触する各ポイントについてビジュアル化したものです。

マッピングにより、顧客が製品やサービスとどのように関わっているのか、どのポイントで満足しているのか、フラストレーションを感じているのかを把握することができます。

その具体的な作成手順は以下の通りです。

ペルソナの定義

まずはこれから販売しようと考える商品やサービスのターゲットとなる層を定め、その中でペルソナを定義して行きます。

ペルソナとは、顧客の代表的な像を捉えるために設定するユーザー像のことを指し、理想的な顧客や重要な顧客セグメントを描き出したものです。

【ペルソナ設定の要素】

  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 趣味
  • 好み
  • 生活スタイル
  • 具体的特性
  • 欲求
  • 動機
  • 行動パターン

これまでに蓄積した具体的な顧客データ、市場調査、社内の知見などをもとに、こうした要素を決定し、ペルソナ像を作成することがポイントです。

ペルソナをしっかりと定義することは、顧客とのエンゲージメントをよりパーソナライズし、効果的なカスタマージャーニーマップを作るための土台となります。

「顧客の旅」のステージ設定

カスタマージャーニーマップとは、その名が示す通り、カスタマー(顧客)の思考・行動をジャーニー(旅)と例えて視覚化したものです。

商品やサービスに触れる過程で顧客は、以下のような商品・サービスの「認知」から「評価」に至るまでの一連のステージを踏みます。

この過程を、「旅」と捉えて、この「旅」の工程を可視化していくことがカスタマージャーニーマッピングにおけるステージ設定です。

  1. 認知: 顧客が製品やサービスのことを初めて知るステージ。広告、口コミ、オンライン検索などがきっかけになる
  2. 考慮・検討: 顧客が製品やサービスの購入の登録を検討し、考慮するステージ。この段階で、顧客はリサーチを行ったり、競合他社との比較などを行う
  3. 購入: 顧客が製品やサービスを購入するステージ
  4. 使用: 顧客が製品やサービスを使用し、その価値を体験するステージ
  5. 評価: 顧客が製品やサービスについて評価を行うステージ。満足すればリピート購入や他者に商品を勧めるなどの行動が期待できる。一方、満足していなければ、別企業の商品への乗り換え、サービス利用の停止や、場合によっては企業へのフィードバックやクレームに繋がる場合もある

タッチポイントの特定

タッチポイントとは、顧客が製品やサービスと接触するすべてのポイントを指します。

例えば、WEBサイトの訪問、電子メールの受け取り、カスタマーサービスとの対話などがタッチポイントです。

「顧客の旅」の各ステージで、どのようなタッチポイントが存在し、顧客がそこで何を感じ、どのような行動をとるのかを特定します。

経験のマッピング

各タッチポイントで顧客がどのような経験をするのか、その感情をマッピングします。

これにより、どのポイントが顧客にとってポジティブな体験を生み出し、どのポイントが問題を引き起こしているのかを理解することができます。

機会の識別

カスタマージャーニーマッピングから、顧客体験の改善機会を見つけます。

問題を解決したり、顧客体験をさらに向上させたりする新たな方法を見つけるチャンスです。

例えば、新たなコミュニケーションチャネルの導入、WEBサイトのユーザビリティの改善、新たなサービスや製品の開発などが考えられるでしょう。

ステップ3:顧客体験の改善

マッピングを通じて明らかになった改善点に対して、具体的な改善策を設定し、実行に移します。

この改善策は前述のように、製品やサービスの改善だけでなく、コミュニケーション方法の改善など、多岐に渡る可能性があります。

ステップ4:改善策の効果評価と再改善

最後に、設定した改善策の効果を評価します。この評価は再びデータ収集と分析によって行います。

改善策が顧客体験にポジティブな影響を与えているか、改善点は適切に対処されているかを評価します。

もし新たな改善点が明らかになった場合は、再度カスタマージャーニーマッピングを用いて改善策を設定しなければなりません。

これを繰り返すことにより、顧客体験を常に最適化し続けることができ、企業の競争力は持続的に保たれるでしょう。

ここまでのデータ収集からカスタマージャーニーマッピングの作成、改善策の設定と評価に至る一連のプロセスをデジタル化することで、より効率的で、顧客のニーズに即した対応が可能となるのです。

カスタマージャーニーマッピングで顧客体験の最適化を

カスタマージャーニーマッピングで顧客体験の最適化を

DXとカスタマージャーニーマッピングは、現代のビジネス環境において競争力を維持し、強化するための重要な戦略です。

企業は、これらの手法を適切に活用することで、顧客のニーズを深く理解し、その期待を超える体験を提供することが可能になるでしょう。

しかしこれは、単なる生き残りのための戦略ではありません。

DXとカスタマージャーニーマッピングは、ビジネスの革新と成長を推進するための強力なエンジンであり、企業が新たな市場を開拓し、新しい顧客層を獲得するための「変革を起こす」前向きな戦略なのです。

カスタマージャーニーマッピングは一見難しい取り組みのように見えますが、その仕組みをしっかりと理解した上で取り組みさえすれば、リソースの限られた中小企業でも、顧客体験を最適化し、貴社のビジネスを次のレベルへと引き上げる力となってくれるはずです。

ぜひこの機会にカスタマージャーニーマッピングについての理解を含め、貴社のビジネスを次のステージへと進める力の1つとしてください。

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DXportal®運営チーム

DXportal®編集部

DXportal®の企画・運営を担当。デジタルトランスフォーメーション(DX)について企業経営者・DX推進担当の方々が読みたくなるような記事を日々更新中です。掲載希望の方は遠慮なくお問い合わせください。掲載希望・その他お問い合わせも随時受付中。

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