AI時代の今、注目を集めるチャットボット【前編/注目の理由と導入の課題】

AI時代の今、注目を集めるチャットボット【前編/注目の理由と導入の課題】

コロナ禍以降、多くの企業がビジネスモデルの変更を余儀なくされています。

特に、対面接客の制限やテレワーク需要の拡大に伴い、企業の顧客対応モデルは大きく変化してきました。

この変化の中で、急速に利用が拡大しているのが、チャットボットです。特に、テキスト生成AIの技術が発展した現代では、AIを利用したチャットボットは大きな注目を集めています。

チャットボット自体は、問い合わせサポートを始めとする企業の顧客対応ツールとしてコロナ前から利用されていました。そんなチャットボットが、なぜ改めて注目を集めているのでしょうか。

今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の今、注目を集めるチャットボットについて前後編に分けて詳細にまとめました。

前編では、注目を集めている理由をひもとくために、「チャットボットとは何か」という基本から、導入に関する課題までを解説します。更に、後編では業種別の利用シーン7選をご紹介していきます。

顧客対応のリソースを少しでも削減し、業務効率を上げたいと考える全ての企業経営者は、どうぞご参考にしてみてください。

【DX最前線】注目を集めるチャットボット

【DX最前線】注目を集めるチャットボット

DX時代になぜチャットボットが注目を集めているのか。

それを解説する前に、まずはチャットボットについてあまりよく知らないという読者のために、チャットボットとはどういうツールなのか、そしてビジネスにどのような成果をもたらすかについて、詳細に解説しておきます。

チャットボットとは

チャットボットとは

チャットボットとは、「チャット(Chat=1対1あるいは複数人でリアルタイムでやり取りするシステムの総称)」と「ボット(Bot=ロボット)」を組み合わせた造語です。

ユーザーからの問いかけなどに対して自動で回答して会話を行うシステムで、端的に言えば「自動で会話(チャット)するプログラム(ボット)」ということができます。

問い合わせ対応やマーケティング支援などでも利用されており、顧客からの問い合わせ対応をロボットが自動で行うことで、業務効率の向上が期待できるのです。

また、企業と従業員間のやり取りの一部を自動化するなど、顧客対応に留まらない幅広い用途で活用されています。

チャットボットの種類【AI型とシナリオ型】

チャットボットの種類

チャットボットは、ユーザーからの質問に自動で回答するシステムの総称ですが、その回答形式はAI型とシナリオ型の2つに分けられます。

チャットボットを効果的に活用するためには、それぞれの特徴を理解して導入・運用を行うことが重要です。

この点を理解せずに導入してしまうと、業務の効率化を実現するどころか、かえって余計な手間や費用がかかってしまったり、企業のブランディング的にマイナスとなってしまったりすることすら考えられるでしょう。

そこでまずは、それぞれの特徴を簡単に確認しておきましょう。

AI型

AI型チャットボットは、AI(人工知能)を利用したチャットボット方式で、別名「自動学習機能型」と言います。

AI型は、チャットボット上でユーザーからの質問に対してAIが機械学習を用いて回答を生成し、統計的に最も正解に近い回答を選び出すシステムです。

AIは常に学習を繰り返すため、このシステムの使用頻度が上がれば上がるほど、正確で柔軟な対応が可能になるというメリットがあります。

その一方で、正答率を上げるためには、AIに機械学習させるために膨大な量のデータをインプットしなければなりません。

そのため、実際に活用できる段階に行くまでには、それなりの労力と工数がかかってしまうというデメリットがあります。

ただし、近年はChatGPTのようなテキスト生成AIを活用したAI型チャットボットの活用が広がってきました。そのため、その取り扱い自体は平易になりましたが、こうしたデメリット自体が大きく改善されたわけではありません。

シナリオ型

シナリオ型チャットボットは、事前に設定されたシナリオに従って会話を進める形式のチャットボットです。

別名ルールベース型とも呼ばれており、提示した選択肢の中から、最も質問に近い項目をユーザーに選んでもらう中で、ユーザーの求める回答を提示するやり方です。

つまり、チャットボットはあらかじめ決められたシナリオに従って適切な回答を返す役割を担っています。

ユーザーが質問したい内容を想定した上で、その疑問に対して適切な回答をあらかじめ用意することができるため、想定済みの質問に対してはわかりやすい答えを提示できる反面、決められた質問以外へは対応できないなど柔軟性に欠ける点が最も大きなデメリットです。

チャットボットがもたらす成果

チャットボットがもたらす成果

チャットボットを導入すると企業コミュニケーションに対して、どのような成果をもたらすのでしょう。

その答えは利用方法によって多岐にわたりますが、ここでは、主な4つの成果に絞って解説します。

顧客利便性の向上

チャットボットの導入は、ユーザーにとっても、24時間体制で問い合わせ対応をしてもらえるというメリットがあります。

人が問い合わせ対応をする場合は、平日の日中など、限られた時間にしか問い合わせ対応ができないという制約がありました。

休日や夜間も問い合わせ対応ができるように人員を確保している企業でも、問い合わせ用の電話回線が込み合うと、顧客を長時間待たせることは避けられません。

いくら顧客の利便性を向上しようとしても、人が対応する従来の形式には、人的リソースによる限界があり、課題となってきました。

機械による自動対応であるチャットボットを導入すれば、企業の営業時間や休日に関わらず、いつでもユーザーからの問い合わせ対応が可能になります。

必要なタイミングでいつでもサポートを受けられる環境を整えられれば、ユーザーの利便性は格段に向上するでしょう。

また、そうした顧客利便性の向上は、問い合わせに対応できなかったことによる機会損失を防ぐこともできますので、企業にとっても大きなメリットとなります。

人的コストの削減

これまでの営業・マーケティング部門において、カスタマーサポートを始めとする顧客対応は、最も多くの人的リソースを割かなければならなかった業務といっても過言ではありません。

商品やサービスを提供する以上、ユーザーからの問い合わせに回答することは必要不可欠です。

疑問や不満を持ったユーザーからの問い合わせに迅速に対応することで、顧客満足度を下げることなく消費者・利用者を拡大することが可能だったのです。

その反面、問い合わせ用回線の拡充や対応時間の拡大など、顧客利便性の向上を図ろうとするほど、人的コストが膨れ上がることは避けられませんでした

しかし、チャットボットで顧客からの問い合わせ対応の大部分を自動化できれば、人的コストの大幅な削減に繋がります。

CV獲得率の強化

チャットボットはシナリオ型、自動学習機能型のどちらを導入したとしても、ある程度会話形式でユーザーを求める回答を提供することが可能です。

ユーザーのニーズに応じた提案を行い、CVポイント(質問に対する答えやマネタイズポイントなどチャットボット提供側が誘導したいゴール)までの流れを的確に案内すれば、マーケティング効果は格段に向上するでしょう。

また、EFOの施策の1つとして導入すれば、ユーザーが「何を質問すれば良いか分からない」という問題自体を回避する事もでき、より積極的な営業業務の生産性向上を目指すこともできます。

*EFO:エントリーフォーム最適化(Entry Form Optimization)の略。会員登録や資料請求フォームなどへのアクセス率や入力完遂率を高めるために様々な施策を行い、より使いやすいフォームへと最適化を施すこと。

業務モデルの変革

チャットボットを導入すると、問い合わせ対応や見込み客へのアプローチといった、サポートやマーケティング業務の効率化を実現できます。

これまでは人が行っていた業務の一部を自動化することで、リソースを他の業務に振り替え、より重要性と生産性の高い業務、あるいは新規事業の開拓などに人員を割くことができるようになります。

つまり、新たな企業価値の創出など、「人にしかできない業務」に社内の人的リソースを集中投下することが可能になるのです。

加えて、チャットボットはネットワーク環境さえあれば利用できるため、社内のテレワーク体制整備にも役立ちます。

こういった観点からも、チャットボットの導入による業務体制や業務モデルそのものの変革が期待できるのです。

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この記事の執筆者

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

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