目次
ブロックチェーンが切り招くビジネスの未来
ブロックチェーンによる変革をもたらす未来を、次の3ジャンルの事例を元にご紹介します。
- 金融・決済
- 証明書関係
- 著作権・芸術品
金融・決済
ブロックチェーンの技術が一般化されれば、金融機関の未来に重要な影響を及ぼします。
現在の銀行手続きにおける第三者の承認や送金手続きが不要になるため、時間もコストも大幅に抑えられるからです。
三菱UFJフィナンシャル・グループはブロックチェーンの技術を使った、デジタル通貨である「coin(コイン)」の実用化を行う方針を決めました。
コインはステーブルコイン(法定通貨や金などの資産を担保として、価格を安定させている仮想通貨)として1コイン=1円の価値をもちます。
同社はリクルートと共同運営を目指し、リクルートのサービスサイトである「じゃらん」や「ホットペッパーグルメ」などで利用を開始させる見通しです。
「coin(コイン)」は他の金融機関でも利用可能とし、実用化すれば銀行としての機能を保ちながら、本人確認の手続き、預金通帳の廃止や送金の効率化などコスト引き下げに繋げるのが狙いです。
中央管理体としての各金融機関も、世界規模で改革が進んでいるブロックチェーンを利用した、金融・決済サービスに乗り遅れがないよう準備をはじめています。
参考:朝日新聞デジタル「三菱UFJ、デジタル通貨「コイン」を今年度後半に開始」
証明書関係
スタートアップ企業である、LasTrust株式会社はブロックチェーン技術を利用した、学位証や資格証など個人の実績をデジタル化できるサービスのローンチを発表しました。
同社のサービスで利用しているブロックチェーン技術は、証明書の世界標準規格「Blockcerts」に準拠しており、ハーバード大学(米国)をはじめ世界中で利用されている規格となります。
ブロックチェーンの改ざん防止技術を活かせば、高等教育機関の修了証書や学習履歴、有資格証、免許証、パスポート、社員証、人事評価等、個人にとって重要な社会的評価・証明をネット上で保証できるようになります。
たとえば雇用のシーンにおいて、学歴詐称の疑いや過去の活動内容など、本人と企業にとって無駄な確認と証明に費やす作業を削減することができ、効率的なマッチングが可能になるでしょう。
著作権・芸術品
ソニーグループは、ブロックチェーンの基盤を活用したデジタルコンテンツの権利を管理できる、処理システムの開発開始を2018年に発表しました。
従来の音楽、映画、VRコンテンツや電子書籍など多様なデジタルコンテンツは、著作者自身または権利管理団体によって管理されていましたが、申請や管理に手間がかかるうえに違法なデジタルコピーによる二次流通に歯止めが利かない状態でした。
ブロックチェーンの技術を利用すれば、著作権の管理や利用料はコンテンツ作成者やクリエイター間で共有可能となります。
具体的には、1つずつの作品に著作権の証明を付与して使用料率を設定することで、不特定多数の人が売買をしても著作者に権利は紐づくため、著作料と著作権はクリエイターに還元されます。
さらには中央管理体にあたる、業界団体を経由する必要もなくなり著作権管理業務が効率化されるでしょう。
参考:ソニーグループ報道資料「ブロックチェーン基盤を活用したデジタルコンテンツの権利情報処理システムを開発」
まとめ
ブロックチェーンの基礎的な内容から、実用化に向けた事例を解説致しました。
日本国内ではまだ懐疑的な意見もあるブロックチェーンの技術ですが、世界各国や国内の一部企業では、既に実用化に向け準備を進めています。
DXを推進させるためには、ブロックチェーン技術の理解と実用化は避けては通れません。
日本政府も第4次産業革命の一つと認めている、次世代インターネットサービスの根幹であるブロックチェーンを活用した、ビジネス戦略を検討してみてはいかがでしょうか。