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DXにアジャイル開発が求められている2つの理由
DX(デジタルトランスフォーメーション)にアジャイル開発が求められるのには、主に2つの理由があります。
1.浮き彫りになったウォーターフォール開発の課題
従来主流であったウォーターフォール開発には、スケジュール管理がしやすくタスクを割り当てやすいというメリットがあります。
しかしながら、デジタル化が進む現代ではその課題が浮き彫りとなり、やり方を変更する必要性が叫ばれ始めたのです。
具体的なウォーターフォール開発の課題としては、以下の項目が挙げられます。
- 完成したシステムがユーザーの意向に沿わない場合、修正が困難
- たびたび仕様変更が発生し、納期遅延が起こりやすい
- 投資金額が大きく、プロジェクトにかける時間も長い
ウォーターフォール型では手戻りがあると追加費用が発生し、業務遂行にさらなる時間がかかっていましたが、アジャイル開発ではこれらの課題を解消できる仕組みが整っています。
アジャイル開発はスプリントごとに改良が可能なため短期間でプロジェクトを完遂しやすく、納期遅延も起こりにくいのです。
さらに1つひとつの開発費用が安く検証を繰り返すことで成果が表れやすいため、大きな予算が取れない企業でもシステム開発の手法として取り入れやすくなります。
ただし、大まかな計画のみで進められるアジャイル開発では臨機応変な対応が可能な分、ともすれば手戻りが多すぎて予算が膨大に膨らんだり、かえって完成までの時間がかかってしまうというデメリットも内包しています。
そのためアジャイル手法で開発を行いたい場合は、明確なゴールやビジョンを見据えておくことが何よりも重要となるのです。
2.時代のスピードに合わせて変化する顧客のニーズ
コロナ禍ではテレワーク制度の導入が急務となり、システムには高い機能性が求められています。
そうした中で「顧客の要望を聞き、システムを設計して……」と悠長に進めていると、瞬く間に数か月が経過してしまいます。
そこで、積みあがっていく要望に即座に応えられるシステムとして台頭してきたのがアジャイル開発です。
たとえば、企業が早急にテレワークシステムを導入しなければいけなくなった際に、アジャイル開発を使えば「とりあえずシステムを利用できる」段階まで持っていきスピーディーに開始できます。
また、リリースする際のクオリティは完璧である必要はなく、次のステップで実際にユーザー(従業員)が使ってみて出てきた課題に対する改修を即座にかけられるのです。
ユーザーのフィードバックに基づいて開発が進むため「不要な機能は削ぎ即時必要なものは追加する」といった柔軟な対応が可能になり、結果として手戻りが少なく顧客満足度の向上につながります。
一昔前は1つの課題に対して最適解をじっくりと導き出し、失敗するリスクを最低限に抑えることが優先されていました。
しかし現在は、短期間で試行錯誤して複数の中から最適解を見つけられるアジャイル開発こそが、時代に合った手法といえるのです。
まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるアジャイル開発についての基本的な情報と、今、必要とされている理由について解説してまいりました。
アジャイル開発はここ数年で普及した手法であり、全体的な比率としてはまだまだウォーターフォール開発の方が多いはずです。
しかし、鉄は熱いうちに打っておくに越したことはなく、デジタル化社会において顧客のニーズに即座に答えられなければ、その熱は冷めてしまいます。
アジャイル開発の必要性を知っていただいて、自社のシステム刷新にこの手法を活かすことが、ビジネスを改革するトリガーとなるはずです。
次回、後編ではアジャイル開発のメリット・デメリットと、成功させるための秘訣について詳しく述べていきます。
後編:【DXにおけるアジャイル開発・後編】メリット・デメリットと成功の鍵はこちらよりアクセス