データ民主化が加速する企業のDX推進｜テクノロジーの進化がひらく新時代

DX（デジタルトランスフォーメーション）とは「デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値創出で人々の生活をより良くすること」です。

現代のビジネスにおいてDXは、業種や企業規模にかかわらず、すべての企業が取り組むべきと言えるほど重要なものになっています。とはいえ、DX推進において欠かせない「データ活用」には、これまで専門的な知識とスキルが必要でした。そのため、多くの企業ではDXに取り組もうとしても、データの価値を十分に引き出せていない状況が続いていました。

しかし、その状況が大きく変わろうとしています。専門知識がなくてもデータを活用できる「データ民主化」の波が、企業のDXを新たなステージへと押し上げているのです。

本記事ではデータ民主化がもたらす可能性と課題、企業が取るべきアクションを具体的に解説します。

データ活用の変革期を迎えた今、自社のDX戦略を見直すきっかけとして、ぜひご一読ください。

注目を集めるデータ民主化

データ民主化とは、組織内のあらゆるメンバーがデータにアクセスし、分析・活用できる環境を整備することを指します。

従来、データの収集・分析・活用を行うことができる人材は、データサイエンティストやITエンジニアなど、専門知識を持つ一部に限られていました。しかし、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーの発展により、専門知識がなくても誰もがデータを扱える時代が到来しています。

データ民主化が加速している主な背景には以下の3つが挙げられます。

ビジネス環境の変化

コロナ禍を経て企業のDXが加速する中、「データに基づく意思決定」の重要性が急速に高まっています。

リモートワークの普及により、物理的な対面でのコミュニケーションが減少する一方で、オンライン上のデータ共有や可視化ツールを活用した報告・相談が増加しました。

例えば、営業報告では、売上データや顧客データをリアルタイムで共有し、オンライン会議で議論する、進捗確認では、プロジェクト管理ツール上のデータを参照しながら、チャットやWEB会議で相談するといったケースが増えています。

また、市場環境の変化が激しくなる中、過去の経験や勘だけでなく、リアルタイムのデータに基づく判断が不可欠になっているのです。

それにもかかわらず、データサイエンティストなどの専門人材は慢性的に不足しており、採用競争も激化の一途をたどっています。このような状況下で、データ活用の担い手を広げることは、企業の競争力維持・向上のための重要課題となっているのです。

生成AI革命

ChatGPTに代表される生成AIの登場により、専門的なプログラミング言語ではなく、普段使っている日本語でデータを扱えるようになってきています。

例えば、複雑なSQLクエリやプログラミングの知識がなくとも、「先月の売上を地域別にグラフ化して」といった日常会話的な表現でAIに指示を出して、データ分析をすることができるようになったのです。

また、生成AIは企業が保有する様々なデータ（売上・顧客・在庫など）を分析して「〇〇地域の売上が前年比20%増加している」「△△商品の売上と気温には相関関係が見られる」といった洞察を、人間が理解しやすい形で自動的に提供してくれます。

これにより、データ分析の専門知識がない従業員でも、データから有意義な情報を引き出せるようになったのです。