【DX推進指標】DXを語る上で欠かせない成熟度を読み解く3つのヒント

【DX推進指標】DXを語る上で欠かせない成熟度を読み解く3つのヒント

デジタル化された現代の市場レベルにおいては、どんな企業においても、ライバルとなる企業は国内にだけあるとは限りません。

ネットによりつながるグローバル市場の中では、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進は必須条件です。

そのためにも欠かせない考え方が、「企業のDX推進成熟度を計る」というもので、そのための指標を「DX推進指標」と呼びます。

この記事では、そんな企業の成熟度を計る「DX推進指標」を読み解く上で、ヒントとなる3つの成熟度指標について解説しました。

  1. 経営成熟度
  2. IT成熟度
  3. データ成熟度

これらの指標は、その名のとおり単なる指標に過ぎませんが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を語る上では欠かせない要素となりますので、ぜひ最後までお読みいただき、自社のDX推進のヒントとしてください。

1.経営成熟度

1.経営成熟度

経営成熟度とは経営品質を計る尺度

経営戦略や社内ルールといった、外的・内的な様々な要素が、どれだけ徹底・実行されているのか。

こうした経営の「品質」を計る尺度をのことを「経営成熟度」と呼び、一般に成熟度は次のような6段階(5段階の場合もあり)で定義されています。

【成熟度の6段階定儀(以下、3定儀とも同様)】

  • レベル0:存在しない
  • レベル1:初歩的
  • レベル2:繰り返し可能
  • レベル3:定義されている
  • レベル4:管理されている
  • レベル5:最適化

このような数値目標を元に、経営戦略を策定することが、経営の安定につながるのです。

売上金額という実質的・実利的な目標だけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れ、経営成熟度の向上を目指すことが、現代の企業経営には欠かせない考え方だといえるでしょう。

PDCAサイクルによるマネジメントの必要性

経営品質を高めるためには、PDCAサイクルによるマネジメントが欠かせません。

  • P(Plan):計画
  • D(Do):実行
  • C(Check):確認
  • A(Action):行動

これら4要素で常に軌道修正を行うことを、PDCAサイクルと呼び、経営向上のために取り入れている企業も多いでしょう。

こうした考え方は、当然DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を考える場合にも有効で、PDCAサイクルによる4つのアクションが経営品質を高め、経営品質の向上がDX推進へと繋がります

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、1つの歯車だけでは機能しないということを、今一度理解してください。

2.IT成熟度

2.IT成熟度

IT成熟度こそDX推進の指針

DX(デジタルトランスフォーメーション)によって最先端のITシステムを導入したとしても、企業側にそれを使いこなせる素地がなければ、せっかくのシステムを活かしきることはできません

こうしたITシステムが、どれだけビジネスに取り入れられ、どれだけ使いこなしているかを計る尺度。

それを「IT成熟度」と呼びます。

情報の活用度合い、業務フローの最適化、社内スタッフのITに関する意識・造詣の深さを総合的に評価する際に利用される指標となり、それこそがDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を計る指針となるのです。

IT成熟度に必要な3要素

IT成熟度を計るために必要な要素は全部で3つ。それぞれについて改めて考えてみます。

人材

企業が既存で抱えている人材が、ITシステムを導入することに同調しているか。

これはDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を推し進める上で、もっとも大切な要素です。

IT化による企業の競争力アップや、そこから生まれる価値が社内スタッフの間で共有されていなければ、どこまで行ってもIT成熟度が上がることはありえません。

スキル

スタッフによる意識が統一できたところで、実際にITを扱うスキルが伴っていなければ、せっかくのシステムを活かすこともできません。

社内スタッフの意識改革の次は、教育制度を整えるなど、スキルアップできる環境整備が必要です。

とはいえ、それは一朝一夕でできることでもありませんので、時には社外ベンダーや新規採用なども併用して、ITシステムを扱う全社的なスキルアップを実現してください。

ノウハウ

IT成熟度をあげ、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を後押しする最後のピースは、ノウハウの構築です。

スタッフの意識改革、そしてスキルアップが前提となり、それをシステムに活かすために、全社あげてノウハウ構築を行うことで、はじめてIT成熟度アップへとつながっていきます。

3.データ成熟度

3.データ成熟度

データ成熟度はデータ活用の進行具合を示す尺度

データ成熟度とは、日々の業務や経営分析から生じるデータが、企業経営にどれだけ適切に活用できているかを、客観的に測定した指標のことをいいます。

意思決定やオペレーションを、勘や経験だけに頼るのではなく、しっかりとしたデータによって判断できる体制が整っていることが必要なのです。

企業業績と相関関係が高いデータ成熟度

データ成熟度は企業の業績と高い相関関係があり、データ成熟度が高い企業が、より企業パフォーマンスが高いと判断されます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進においても、データをビジネス価値に変換することは必須条件です。

クラウドやIoT(Internet of Things=モノのインターネット)、VR(Virtual Reality=仮想現実)などのテクノロジーは、大量のデータを生み、同時に保存します。

こうしたデータの活用こそが、DX(デジタルトランスフォーメーション)においては要となり、ただやみくもにデータを保存するだけでは、経営の圧迫にしかならず、とてもデータ成熟度が高い企業とはいえないのです。

DX推進指標で自己診断を

DX推進指標で自己診断を

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、本来データやデジタル技術を用い、顧客視点で新たな価値を創出していくことです。

そのためには、ビジネスモデルや企業文化の変革が求められるのはご存知のとおり。

  1. 経営成熟度
  2. IT成熟度
  3. データ成熟度

これら3つの判断基準などを参考に、企業がDXにまつわる課題をピックアップ。

自社の現状や課題、取るべきアクションへの認識を全社で共有し、自己診断するための指針こそ「DX推進指標」と呼びます。

「DX推進指標」はDX推進の成熟度を6段階に評価したもので、この指標こそがグローバル市場の中で勝ち抜くことのできる、企業力を計る指標そのものとなるのです。

成熟度レベルの基本的な考え方

参考:経済産業省【「DX推進指標」とそのガイダンス】(令和元年7月発表)

まとめ

DXという漠然としたものを企業経営に落とし込み、その推進度合いを計るためには、可視化できる指標が欠かせません。

そして、指標に基づきDXを推進していくことこそが、企業の成熟度を成長させることにつながるのです。

デジタル化された社会の中では、町中の一企業であろうと、ネットによりボーダレスになった、グローバル市場での競争が余儀なくされています。

その中で勝ち抜いていくためにも、こうした指標をよく理解して、今より一歩でも前に進む企業経営のヒントとしてください。

2022/04/12 – DX推進指標についてのドキュメントアップデートが経済産業省からありました。詳しくはこちらをご参照ください。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/DX_image1.png

SNSシェア

この記事の執筆者

中小企業診断士 / 法政大学経営大学院特任講師

福田 大真

DXに関する研究、論文の発表などを行う。 デジタルトランスフォーメーション(DX)の第一人者。 趣味は酵母の発酵についての話を肴に美味しいお酒を飲むこと。

中小企業診断士 / 法政大学経営大学院特任講師

福田 大真

DXに関する研究、論文の発表などを行う。 デジタルトランスフォーメーション(DX)の第一人者。 趣味は酵母の発酵についての話を肴に美味しいお酒を飲むこと。

前後の記事

全ての記事を見る

カテゴリーから記事を探す

ちゃちゃっとボットはこちら